ライセンス、コンビ結成26年 中堅芸人になって生まれた“悲哀”「鏡見たらおじさん」

コンビ結成から26年目を迎えたお笑いコンビ「ライセンス」。“中堅芸人”と呼ばれることも増えたが、藤原一裕と井本貴史は芸人界でいう“中堅”というポジションについてどのように考えているのだろうか。

インタビューに応じたライセンスの2人【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じたライセンスの2人【写真:ENCOUNT編集部】

四半世紀以上一緒にいる相方とは?

 コンビ結成から26年目を迎えたお笑いコンビ「ライセンス」。“中堅芸人”と呼ばれることも増えたが、藤原一裕と井本貴史は芸人界でいう“中堅”というポジションについてどのように考えているのだろうか。(取材・文=島田将斗)

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 四半世紀以上、26年のコンビ生活。隣に立っている相方はどんな存在なのか。長い芸人生活を感じる瞬間を明かした。

「今の子どもらって僕らのことを全く知らない。むしろ子どもたちの親の世代なので。子どもに『おっちゃん、知らん』って言われるときに長くやってんなって思います。26年とかやっている人らで何もなかった人っていないんじゃないんですかね。例えば彼女とかいたときに3か月でもなんかあったでしょ? それの26年分ですから(笑)」(井本)

「親が隣におるの普通ですやん? なんかそういう感覚っすよね」と藤原は笑う。2人の関係性を表す言葉を探すのに思案していた。

 よく聞かれるという「相方さん、どうしているんすか?」の質問。ライセンスにとって、それは愚問だった。

「知らんしって言うのが正直なところ。僕らからしたら『相方何してんの?』が『お母さん何してるの?』と一緒なんですよ」(井本)

 続けて「大きな病気とかになったりしたら、またそこで違う感情にもなるんでしょうけれど、難しいですよね。家族未満なんかな? 兄弟かと言われても違うし、家族でもないけれど、そこら辺のボーダーラインを超えてるんすよね」と首をかしげた。

 間髪入れずに藤原が「大親友以上って言われたら、大分大親友以上なんですよ。以上じゃないな、大親友とはかなり違うんすよね。20年間、誰かと付き合ってもめたりしていただくしか、この感覚は味わえない」とうなずいた。

 互いに何をしているかは気にも留めない。だが、2人で話すとテンポ良く会話が進む。仲の良さともまた違う。まさに阿吽(あうん)の呼吸だった。

“中堅”とはいったいどんな存在なのか

 26年のコンビ生活で“中堅芸人”と紹介されるシーンも増えてきた。各々が感じている“中堅”の意味に言及する。

「ドラゴンボールでいう『天津飯』みたいな感じですかね。弱くもないし、戦えないわけでもないけれど主戦場には行かないみたいな。プラスで“悲哀”が入ってきますよね。年齢的なもの、体力的なものもあるし、若手を見てて、『今、その時期ね』って思うこともある。でも、突き抜けて業界のトップじゃないという気持ちもある」(藤原)

 自身の若手時代とも比較した。「人の気持ちが分かるようになりますね。昔は、全部自分がやっているっていう気持ちになっていました。『マネジャーこれやっとけや』ってこともありましたけれど、今は『あいつも大変やし』ってね。悪いことばかりじゃなくて、おもしろいですよ」。

 一方の井本は感覚をつかめずにいた。「周りが『中堅』って言うやつでしょ。感覚で言ったら若手でいます。気がついたら『中堅やん』っていうのを周りが言ってる。戦場でいうところの1番前で槍を持って突進してたのに、知らない間に『僕ら行くんで、もう1列下がってください』って言われて、2列目に下げられてて……。まだうまくすり合わないですよね」と苦笑いした。

 それでも「ちゃんと家帰って鏡を見たらおじさんなんで。それが藤原の言う“悲哀”なんでしょうね」と笑い飛ばした。

 結婚生活とも兄弟ともまた違う感覚の26年。一定の境界線を超え、言葉で表すことのできない領域にたどり着いた。年齢、経験とさまざまなものを吸収して、2人が醸し出す“悲哀”。それは唯一無二の武器なのだろう。

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