10年超続く「ひとり旅」長寿の秘訣は2歳で目覚めた鉄道愛 アンテナ巡らし都内を闊歩

 お笑いコンビ「ダーリンハニー」の吉川正洋がMCを務めるスカパー!「鉄道チャンネル」の旅番組「新・鉄道ひとり旅」が、7日の放送分で吉川の通算出演回数200回を迎えた。ENCOUNT編集部は、都心から羽田空港までをつなぐ「東京モノレール」の撮影に密着取材。“鉄道ひとりっ子”として、約6時間をかけた「行き当たりばっ旅」をレポートする。レポート後半はモノレールのドクターイエローを見つけた「昭和島駅」から、最終目的地の「羽田空港第2ターミナル駅」までを追いかける。

出演回数200回目の節目は、東京モノレールで旅した吉川正洋【写真:ENCOUNT編集部】
出演回数200回目の節目は、東京モノレールで旅した吉川正洋【写真:ENCOUNT編集部】

東京モノレールの旅に記者が同行、気付いた魅力

 お笑いコンビ「ダーリンハニー」の吉川正洋がMCを務めるスカパー!「鉄道チャンネル」の旅番組「新・鉄道ひとり旅」が、7日の放送分で吉川の通算出演回数200回を迎えた。ENCOUNT編集部は、都心から羽田空港までをつなぐ「東京モノレール」の撮影に密着取材。“鉄道ひとりっ子”として、約6時間をかけた「行き当たりばっ旅」をレポートする。レポート後半はモノレールのドクターイエローを見つけた「昭和島駅」から、最終目的地の「羽田空港第2ターミナル駅」までを追いかける。(取材・文・撮影=西村綾乃)

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 モノレールの車庫を敷地の外から眺めた後は、最寄りの「昭和島駅」に戻り、「天空橋駅」を目指していく。整備場駅から羽田空港エリアとなり、天空橋駅は地下のホームになる。各国の飛行機が泊まる駐機場を見ていると、「ひとり旅、見ています」と50代くらいの男性が声を掛けてきた。10年以上も続く番組。広く認知されているのだなと感じた瞬間だった。

 すれ違った子どもも大人も航空機を見ていたが、吉川は鉄道のアンテナをビュンビュンと張り巡らしている。道でふと足を止めると、「ここからは、浜松町方面から空港にやって来るモノレールが、地下鉄にもぐる瞬間が見られる!」など、あちこちにあるビュースポットを紹介。吉川に「なぜ分かるのか?」と聞くと、「う~ん」と言いながらも、「歩いていると、『怪しいな』と感じるんです」と野生の勘のようなものが働いていることを明かした。

 穴守橋方面へ向かう途中で、歩道にある地図を確認。5分ほど考えた後、「穴守稲荷神社」まで歩くことに。10分ほど歩いた所に赤い鳥居を見つけると、吉川が社務所で撮影を交渉。「本当にアポイントなしなんですよ……」と苦笑いしていた。

 江戸時代に創建された穴守稲荷神社は「旅の安全」、奥之宮は「芸事の上達」を祈願できると聞いた吉川は「私にピッタリ」と笑顔。早速、お参りすることになり、「健康でケガなく、これからもこつこつ番組を続けられますように」と手を合わせた。境内にある千本鳥居を抜けた先にある奥之宮では、「招福砂」をいただきご満悦。持っていると家庭円満などのご利益があると聞き、私もひとさじいただいた。

 お参りを終えてベンチで休憩。午後2時を回っており、吉川が「そろそろお昼にしましょうか」と提案。ラーメンやうどんののれんを見つけるも、「準備中」の札が出ていた。「やってないかな~」と肩を落とすと、再び赤い鳥居が目に入った。そこは「京急穴守稲荷駅」。鳥居の先に改札があるユニークな駅だ。

 お昼のあてはなかったが、吉川は「あ~、そうだ。ここは鳥居があるんですよね」と、ポケットからスマートフォンを取り出して鳥居を撮影。どんなときも鉄道のスイッチが入ると、笑顔になるのだなと感嘆した。

 神様が見てくれていたのか、この日の“お食事場所”は、駅前で店を構える「ブックカフェ羽月・はねだぷりん」に入店。文豪の小説や、写真集、漫画などを自由に楽しめる店内では、かつて羽田周辺でアサリを獲ることができたことへのオマージュとして「あさり飯 海鮮かき揚げ丼」を提供している。吉川は、この名物と「大空」と名付けられた店自慢のプリンをオーダー。到着するまでの間も、「京急の音がする」とガタゴトと響く音に反応するなど、鉄道レーダーは休まることがない。揚げ丼を頬張った吉川は「おーいし!」と一言。鉄道ひとりっ子にとってはおなじみのキメぜりふを生で聞くことができて、うれしい気持ちになった。

 お腹を満たした後は、下町ゾーンを抜けて天空橋駅近くにある大鳥居へ。辨天橋を渡ると京都の平安神宮のように大きな鳥居が見えてきた。大鳥居は、穴守稲荷神社が羽田空港の敷地内にあった昭和初期に建立されたものだという。吉川は「鉄道ひとり旅が、こつこつこつこつ続きますように」と願いを込めて鳥居にかけられた鈴を鳴らしていた。

 そして、「ここからはひと駅散歩」と空港方面を目指していく。開発中で工事をしている場所が多い道は歩きにくく、途中で相笠ディレクターが足を取られて膝を落としていたが、カメラは吉川をとらえたまま。制作者としての根性が感じられた。

 空を行く飛行機を見上げながら、「羽田空港第3ターミナル駅」に向かって歩く。広がる多摩川の先には2022年3月に完成したばかりの多摩川スカイブリッジが見えた。新設されたばかりの橋はピカピカ。「向こう岸は川崎です」と眺めを堪能した。

 羽田空港第3ターミナル駅へ向かう歩道橋を渡ると、再び一時停止。「ここ、良い!」と叫んだ場所は飛行機とモノレールを一緒に写真に収められる場所。すぐスマホを取り出すと、カシャカシャと撮影が始まった。上り、下り。カーブもあり、行き交うモノレールを同じ目線で見られるスポットは、見ていて飽きなかった。

 空港内の撮影では、羽田空港第3ターミナル駅の改札に向かう吉川に、相笠ディレクターが「ウェルカム ジャパン」と声を掛けた。吉川は戸惑いつつ、「それ、番組違いますよ」と突っ込み。そのやり取りにふき出した。

 最後に乗り込んだのは午後4時3分発の「空港快速 羽田第2ターミナル行き」。わずか5分で最終目的地に到着し、「ここまで来たか」と大きな安堵が広がった。

 朝9時半に始まった「行き当たりばっ旅」はここで終了。航空機の出発案内板にテンションが上昇した吉川は「これから沖縄に行って、沖縄そばを食べてきます」と最後のあいさつをして、撮影が終了した。

 モノレール浜松町駅までは快速に乗車し、高速で戻っていく。上りは各国との玄関口である飛行場から、日本の物流を支える倉庫街、街灯などが反射した光が印象的な運河、そして、夜景が美しい東京のビル街へ。1日をおさらいするように、車窓が変化していく。

「航空機に乗るための移動手段」として活用していた東京モノレールが、四季はもちろん、その時間帯でも表情が変わることを知れ、とても有意義な旅だった。

 密着後のインタビューで吉川は「この先も、のんびり続けていきたい」と言った。約6時間同行して、目的を持たない気ままな旅は、2歳で鉄道に魅了された吉川の「好き」がなせる業だと感じた。

「好き」がフル回転し働く「勘」。「さ~、次はどこに行きましょう。鉄道ひとり旅。ごきげんよう」の締めの言葉を長く聞いていたい。そう思った。

□「新・鉄道ひとり旅」スカパー!546ch「鉄道チャンネル」で隔週土曜日午後10時から放送。ほか、tvkなど地上波ローカル局ではタイトルを「鉄道ひとり旅」として不定期放送中。

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