【週末は女子プロレス#48】声優目指して上京、役作りでプロレスデビュー “デスマッチ狂”世羅りさが誕生した理由

3度のプレ旗揚げ戦を経て本旗揚げとした理由を語った世羅りさ【写真:新井宏】
3度のプレ旗揚げ戦を経て本旗揚げとした理由を語った世羅りさ【写真:新井宏】

プロミネンスは「とにかく、2年は突っ走りますよ!」

 あれから7年。いまでは女子のハードコアも珍しくはなくなった。が、まだまだ満足がいかない。溜まりに溜まった感情を吐き出すかのように、世羅は団体を飛び出すことを決意した。しかし最初はユニットなど結成するつもりはなく、一人で行動を起こすはずだったという。

「自分が好きなときに好きなことを好きなだけやるしかないと思って、団体を飛び出しちゃいました(苦笑)。なので、自分一人のつもりでした。が、(団体を)やめようと思うんだと話した選手で、『世羅がやめるなら私もやめる』と言ってくれたのが、いまのプロミネンスのメンバー(藤田あかね、鈴季すず、夏実もち、柊くるみ)なんです。最初は5人も集まるなんて思ってもみなかったですね。といっても団体を背負っていく自信はないですし、だったらユニットで活動しようと思いました。選手それぞれはフリーランスなので、それぞれのプロデュースもできるし、プロミネンスとして集まったときは思いっきり暴れようよと。団体という足かせがない状態が心地いいと思ったので、ユニットとしてプロミネンスで頑張っていくことにしたんです」

 スターダムにもまさかの上陸を果たし、女子プロ界で旬な話題を振りまいたプロミネンス。いきなり旗揚げの形をとらず3度のプレ旗揚げ戦を経て本旗揚げとしたのにも、理由がある。

「前にいた団体がすごく環境がよくて甘えていたんです。(運営について)何も知らなかったし。そんな状態でいきなり旗揚げ戦なんて無理なので、自分たちの下積み時代をやろうと思い、ライブハウスでのマットプロレスを3回やりました。その間にチケットや備品の管理は誰がやるんだとか決めて、準備してきたんです」

 そしてたどり着いたのが、男子のトップデスマッチファイターも招いた4・24新木場での初リング。世羅はリーダー論を学ぶためFREEDOMSを切り盛りする佐々木貴と蛍光灯デスマッチで闘い、メインを鈴季&葛西純組vs藤田&ビオレント・ジャック組の凶器持ち込みタッグデスマッチに託した。

「佐々木選手からは試合はもちろん、試合前後から次の日に至るまでのリーダーとしての動きというものを学びました。試合では、自分がプロミネンスを引っ張るんだとの思いだけは絶対に負けないと思ったので、その意地だけで闘いましたね。メインはダメージが大きすぎて見ていなかったんですが、試合が終わってから『呼ばれてるよ!』ってもちさんに言われてリングに向かったんです、そこですずが勝ったんだと知って感慨深かったです。しかも次回(5・29新木場)のシングルマッチを要求されて、うれしかったですね。もちろんデスマッチで闘うので、いまからすっごく楽しみです!」

 過去、世羅と鈴季はシングルで2度対戦。初の一騎打ちが19年12・15で、2度目がハードコアマッチとなった20年11・21。どちらも世羅が勝ってはいるが、現在のプロミネンスにおいて切り札的カードを第2戦で惜しみなく提供するのはなぜなのか。

「すずだってプロミネンスを引っ張る覚悟で指名してきたと思うんですよ。第2戦でもうやる、ではなくて、第2戦からまだまだやりますよという意味なので、むしろ始まりの(世羅vs鈴季)第1戦ととらえてほしいです。この試合でプロミネンスを誰が引っ張るのか、誰が中心になるのかが見えてくると思います」

 旗揚げ戦を成功させた世羅たちだが、プロミネンスと同時に個人としての闘いも待っている。それぞれがそれぞれのリングでファンのハートをつかみ、その成果をプロミネンスに還元させたい。例えば世羅はwaveの「CATCH THE WAVE」にエントリー。毎年ユニークなブロック分けがされる恒例のシングルリーグ戦で、世羅は「ハードコアブロック」に入った。まるで彼女の決勝進出を後押しするかのようなブロックであり、だからこそ勝ち抜かなければならないだろう。

「ハードコアでいろんな選手と闘えるので、すごく楽しみです。宮崎有妃選手ともまたやりたいし、正危軍としてえげつないことしてくるであろう桜花由美選手も楽しみ。(カラーズの)SAKI選手ってアイテムの使い方がうまいと思うし、同期なので負けられないですね」

 現在の立場を利用し、これまで実現できなかったさまざまな闘いをしていきたいという世羅。反響を呼んだスターダムとの闘いもまだ終わってはいない。

「スターダムって遠いところだと勝手に思ってたんですけど、こちらが考えていた以上に受け入れられたので、今後もことあるごとに顔を出そうかなって思ってます。むしろ交流のない団体間を行き来したいんですよ。いまこそ以前かなえられなかったことをやっていく時期だと思うので、いろんな団体のタイトルに挑戦していきたいと思います」(スターダム4・29大田区で朱里がワールド・オブ・スターダム王座戦次期挑戦者に世羅を指名)

 そして、自身命名によるプロミネンスについては……。

「2年は突っ走ろうと思ってます。1年でやめたらそこまでだったのかとなるし、2年間突っ走ってどんな景色が待ってるか。その後はそのときが来たら考えます(笑)。とにかく、2年は突っ走りますよ!」

 2年後、女子プロのデスマッチ&ハードコアがどんな世界になっているのか。そのときの世羅の立ち位置とは?

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