【電波生活】火野正平「こころ旅」起用の背景 NHKが明かす驚きの素顔「あらゆる生き物に好かれる」

「こころ旅」の番組ロゴ【写真:(C)NHK】
「こころ旅」の番組ロゴ【写真:(C)NHK】

野山で見つけた草木の判断基準は「食べられるか、食べられないか」

 火野が旅人にピッタリ、出演依頼となったが、この話にはオチがあるいう。

「実は、番組の発案者は火野さんに出演のお願いに行くまで、そもそも火野さんが自転車に乗れるかどうかを知らなかったんです。出演の依頼に行ってさんざん企画意図を説明した後で、『ところで火野さん、自転車に乗れるんですか』とおそるおそる聞いたそうです。火野さんは『昔、自転車、大好きで乗ってたで~』と。子役時代の出演料はほとんど自転車につぎ込むほど自転車好きだったそうです」

 火野は草花に詳しいことも番組を通じてうかがわれる。

「野山を走っていて、野草や果実類を見て、何が食べることができ、何が食べられないかをよく知っています。野山で何か見つけると『食べられるか、食べられないか』が最初の判断基準のようです。以前、和歌山で、道に落ちていた珍しい果実を拾って『なんやろね。甘い香りがする。食べられるんとちゃうか』と言いながら、ペロッとなめたんです。何か分かっているんですかと聞くと『いや、知らん』。驚きました。毒があったらどうするんですかと言っても、『甘いで』と。幸い、食べられる果実でしたが。他にも渋柿をそのまま食べたらどのぐらい渋いだろうかとか、何でも自分で試してみないと気が済まないようです。自分で確かめて体で覚えていくことをずっとやってきたのだと思います。とにかく、めちゃくちゃ面白いです」

 訪ねた先々でネコが火野の周りから離れずにいるシーンもよく見かける。

「あらゆる生き物に好かれます。牧場に行って、起立! と号令をかけたら寝転んでいた牛が立ち上がって火野さんの前に寄ってきたりします。湖で手紙を読んでいたら白鳥が近づいてきたこともあります。何があるんでしょうね。本当に不思議です。火野さんは、よく太陽や雲、雨にも話しかけています。岩や木にも話しかけることがあるんです。人に対しての接し方は相手が誰であろうと全く変わらないです。スタッフひとりひとりにはもちろん、街で声をかけてくれる人にも、ちょっと偉いのかなと思われる人にも隔てなく同じように対応しています。よく見ていると人間だけでなく生き物にも同じスタンスです(笑)。多分、それで生き物も仲間と感じるのか、自分のことを分かってくれていると思うのか、それで近寄ってくるんだと思ったりします」

 人間離れした存在にも感じる。

「妖精みたいなところがあります。妖精なのか精霊なのか。本当にすごい人です」

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