子ども同士のケンカも原則静観 開設40年“禁止事項のない公園”が目指す遊びの在り方

「近所の公園、ボール遊びも大声を出すのも禁止で子どもがかわいそう」「遊具の順番を守らない子に注意したら、向こうの親から文句言われたんだけど」。公園での遊び方や子どもとの関わり方をめぐる投稿が、SNS上で連日のように話題となっている。子ども同士のケンカは親が仲裁に入った方がいいのか、危ない遊び方をしている子どもには親が注意すべきなのか。子を持つ親の悩みや疑問について、“禁止事項を設けない公園”を運営する認定NPO法人プレーパークせたがやに聞いた。

高さ3メートルの手すりのない遊具【写真:ENCOUNT編集部】
高さ3メートルの手すりのない遊具【写真:ENCOUNT編集部】

高さ3メートルの柵のない遊具の他、たき火や刃物を使った工作も

「近所の公園、ボール遊びも大声を出すのも禁止で子どもがかわいそう」「遊具の順番を守らない子に注意したら、向こうの親から文句言われたんだけど」。公園での遊び方や子どもとの関わり方をめぐる投稿が、SNS上で連日のように話題となっている。子ども同士のケンカは親が仲裁に入った方がいいのか、危ない遊び方をしている子どもには親が注意すべきなのか。子を持つ親の悩みや疑問について、“禁止事項を設けない公園”を運営する認定NPO法人プレーパークせたがやに聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 時代の流れとともに子どもたちの遊び場が様変わりするなか、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーに、禁止事項を設けない公園として話題となっているのが「羽根木プレーパーク」「世田谷プレーパーク」など世田谷区の4つの公園を運営する認定NPO法人プレーパークせたがやの取り組みだ。ここではたき火や刃物を使った工作の他、小屋の屋根によじ登ったり、壁に落書きをしても怒られることはなく、子ども自身が主体性を持ってルールに縛られず自由に遊ぶことができる。

世田谷区羽根木公園内にある羽根木プレーパーク【写真:ENCOUNT編集部】
世田谷区羽根木公園内にある羽根木プレーパーク【写真:ENCOUNT編集部】

「危ないから、迷惑だからと先回りして禁止することは簡単ですが、子どもが遊び方を工夫したり、ときにケガをして危ないことを学んだり、なぜやってはいけないのかを考えたりすることが成長につながると考えています。特に小さいうちは、自分の体の使い方を試している時期。早いうちから身のこなしを覚えることが、結果的にケガを防ぐことにもつながります」とプレワーカーの比留間蘭さん。木造の建物や遊具も多いため、火のついたものを持ち歩いたり、工作用の工具を使ったケンカなど、本当に危険な場合は止めに入るが、それ以外は子どもの遊びを阻害せず、なるべく見守ることを徹底しているという。

 園内には高さ3メートルの柵のない遊具や、工作で使う刃物、クギやガラス片など、一見危険に思われるものも多い。プレーパークが設立されて40年あまり。過去に事故が起こったり、クレームが寄せられたことはないのだろうか。ボランティアで30年以上この活動に携わる齊藤何奈さんは「命に関わるような事故は起きていませんが、まあ骨折くらいはありますね」と笑う。

「高い遊具は階段がなく、それなりの身体能力がある高学年の子でないとよじ登れないような作りになっています。先日は投げ合っていた泥団子が近隣のお宅に入ってしまい苦情がありましたが、泥遊び自体は禁止せず、やる場所を決めてやらせるようにしています。最近は在宅ワークが増えたことで騒音のクレームもありますが、もう活動を始めて長いので、近隣住民にも理解のある方が多いです」

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