「会いたい人がいるから生まれてくる」 紗羅マリー、新作映画で再確認した“絆”

歌手で女優の紗羅マリーが、井浦新と成田凌がダブル主演する映画「ニワトリ☆フェニックス」(かなた狼監督、4月15日公開)で謎の花嫁を演じている。かなた監督に見初められ、スクリーンデビューした前作「ニワトリ★スター」から4年。作品の鍵を握る人物の役を任された紗羅は、主題歌「ありがとう」も手掛けている。

家族への思いを歌に【写真:舛元清香】
家族への思いを歌に【写真:舛元清香】

息子や夫への「ありがとう」を主題歌に

 歌手で女優の紗羅マリーが、井浦新と成田凌がダブル主演する映画「ニワトリ☆フェニックス」(かなた狼監督、4月15日公開)で謎の花嫁を演じている。かなた監督に見初められ、スクリーンデビューした前作「ニワトリ★スター」から4年。作品の鍵を握る人物の役を任された紗羅は、主題歌「ありがとう」も手掛けている。(取材・文=西村綾乃)

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 紗羅はモデル、ミュージシャンなど、アーティスティックな分野でキャリアを重ねてきた。各分野を深化させるため、20代のときは「演技」の分野からは一線を引いていた。視野を広げていく中で、「自分が知らない、自分の姿を見てみたい」と思うようになった。

「『何でもチャレンジしよう』と思っていたときでした。かなた狼監督から『映画に出てみないか』と直々に声を掛けていただき、『ニワトリ★スター』で覚せい剤依存に悩むシングルマザーの知花月海を演じました。月海がつけていそうな香水を買いに行き、撮影時にはその香りをまとうことで、『月海になるんだ』と切り替えていました」

 正解がない世界。撮影を終えると、かなた監督から「もっと映画に出ろ」と激励された。そして、監督の新作「ニワトリ☆フェニックス」への出演を依頼された。井浦、成田ら主要キャストは続投も、紗羅は演じる役や設定が異なるという変化球に挑んだ。

「グループLINEで連絡を取り続けていたので、4年というブランクを感じることなく撮影に入りました。みんながお互いに頼れる存在になっていて、狼組の一員として全てをさらけ出すことができました」

 演じたのは謎の花嫁。ラストシーンでは、衝撃的な展開が待ち受けている。

「コロナ禍でエンターテインメント業界や社会が揺らぐ中、映画を撮影できたこと、みんなが普通に集まることができることをありがたいと感じました。今回の映画は、狼組からの『ありがとう』のかけらを集めて生まれたものです。ダークな印象だった『スター』とは異なり、ほっこりと笑える映画になっています」

 映画の中に込めた感謝の気持ち。演者のセリフを受け取って、紗羅は「ハッピーになってほしい」と願っている。

「私が響いた言葉は、悟りの僧侶のひとこと。『自分たちは何で生まれてくるのか』という問いに向き合ったのですが、『会いたい人がいるから生まれてくるんだよ』という言葉に胸を打たれました。生まれた後はその記憶がなくなってしまうことが続くのですが、私自身も会いたい人がいたから生まれてきたのかなと、温かい気持ちになりました」

 手掛けた主題歌のタイトルは「ありがとう」。歌詞には紗羅が感じた幸せを散りばめた。

「コロナ禍で自宅で過ごしていたとき、『当たり前のことなど何もない』と痛感しました。朝目が覚めて、カーテンを開けるだけで幸せ。息子と『おはよう』とあいさつを交わせることも、幸せなことなのだと感じました。ハグをしたり、買い物したり。繰り返し続くと思っていた時間が失われて、見逃していた幸せのかけらを、再確認できました。『ありがとう』には、止まっていると感じた時間の中で見つけた光りを込めています」

 自身がおおらかになれたのは、息子の存在が大きいという。

「私にとって子育ては、一方的に『育てる』ものではなく、一緒に成長していくものです。マイナス思考で、起こってもいないことを想像して心配していた自分は、息子と暮らしてからどこかに行ってしまいました。『お腹空いた』『好き』など、感じたことをストレートに表現してくれる息子を見ていて、無駄なことを考えないようになったんです。落ちていることが基本でしたが、今は安定しています。基礎体温が上がった感じです」

 愛息と成長していく日々の充実感が、表現者としての輝きにつながる。

□紗羅マリー(さら・まりー)1986年12月12日生まれ。10代の頃からモデルとして活動開始。女優、歌手、自身のファッションブランドirojikakeのデザイナーも務めるなど、幅広い分野で活躍中。2017年にミュージカル舞台「RENT」、2018年に映画「ニワトリ★スター』、「花と雨』(20年)など。

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