「母を幸せにして」亡き父から託された思い 福井から世界目指す25歳ラッパーの覚悟

福井県出身のラッパー・MC小法師が4月6日に2枚目のアルバム「Alarm AM 06:00」をリリースした。新作には、日本を代表する2大ラッパーを招き生まれた楽曲のほか、福井県から“マイク一本で成り上がれ”と気炎を上げるアンセムソング(応援歌)、母に捧げたものなど9曲を収録。5月28日には福井を盛り上げるライブを主催する予定だ。「人に裏切られても、人に救われ」と叫ぶ25歳が目指す未来とは。

MC小法師のライブカット【写真提供:来福Entertainment】
MC小法師のライブカット【写真提供:来福Entertainment】

MC小法師 最新アルバムを6日にリリース 母に贈った曲も

 福井県出身のラッパー・MC小法師が4月6日に2枚目のアルバム「Alarm AM 06:00」をリリースした。新作には、日本を代表する2大ラッパーを招き生まれた楽曲のほか、福井県から“マイク一本で成り上がれ”と気炎を上げるアンセムソング(応援歌)、母に捧げたものなど9曲を収録。5月28日には福井を盛り上げるライブを主催する予定だ。「人に裏切られても、人に救われ」と叫ぶ25歳が目指す未来とは。(取材・文=西村綾乃)

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 10代で「表に立つ仕事がしたい」と憧れたが、「家庭環境が良くないから……」と夢に背を向けた。心が折れかけた頃、支えてくれたのがヒップホップだった。「マイナスをプラスに変えよう」と、世間に対する不満をリリック(歌詞)に変えた。

「ヒルクライムなどに憧れ、ヒップホップの魅力にはまりました。音楽活動を始めたのは17歳の時です。『見返したい』と思っていたので、今、思うと『青臭いことを書いているな』と思う部分もあります。でも、格好悪かったこと、心の底からうれしかったこともあります。感情をさらけ出すことで気持ちが楽になっていました。ラップのスキルは上達していますが、マインドの部分は今も昔も同じです」

 裏表のない言葉は、葛藤しながら生きる人たちの共感を呼んだ。2018年にはAbemaTVが配信する人気番組「ラップスタア誕生!」で準優勝。その名を全国区にした。

 20歳で上京。YouTubeでの再生回数が8万回を突破した「Sleep」や、DJ松永らが楽曲提供したデビューアルバム「TOKYO 360」では、全10曲を東京で制作した。東京と福井を行き来しながら活動する予定でいたが、FM福井で番組を持つことが決まり、地元に拠点を置くことになった。約1年7か月ぶりに発表する新盤は、「1人の記憶に残るような応援歌を作ること」をテーマに、慣れ親しんだ土地で作り上げた。

 晋平太、輸入道ら日本を代表するアーティストと生んだ「It’s All Right」では、裏切られた痛みをつづり、「人に心殺され 今は人に救われ」と逆境を経て、強くなった自分自身を歌っている。

「ヒップホップ界ではレジェンド的な存在のDJ WATARAIさんがオケを担当し、DJ AKAKABEさんがスクラッチをしてくれています。輪入道さん、晋平太さんなど、前から知っているけれど、初めてコラボレーションして作った曲。熱いメンツで生んだ曲はミュージックビデオも作ったので、ぜひ、見てほしいです」

 昨年、母の誕生日に贈った「散歩」の歌詞では、ライブでは最前列に陣取って声援を送る母の姿を描写した。「命は永遠じゃないから、ちゃんと言葉にするよ。いつもありがとう」とつづると、ダメ出しばかりする母が「いいね」と喜んでくれたという。

「中学の時に亡くなった親父に、『母を幸せにして』と託されました。親父は刑務所にいたのですが、余命2週間で釈放されました。反抗期だった自分は、病院に行くことを避けていました。どこかで『死ぬわけない』と思っていたし……。だから、その死を受け入れるまで5年ぐらいかかりました。『男らしく、筋を通して生きろ』というのが、親父にもらった言葉です。自分は4人きょうだいの末っ子でしたし、心配かけてばかりだったので、母を幸せにしたいです」

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