【電波生活】コロナ禍の「のど自慢」舞台裏 お祭りムードだったかつての予選会とは「全く違います」

「NHKのど自慢」の番組ロゴ【写真:(C)NHK】
「NHKのど自慢」の番組ロゴ【写真:(C)NHK】

アナウンサー人生で初だった思い出も

 10年目となるといろんな思い出がある。アナウンサー人生で初めての事も。

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「放送で泣いてしまったことがあります。初めてでした。2014年に沖縄市で開催された時。高3の女子高生がお母さんのために、かりゆし58の『アンマー』を歌って合格し、大喜びして泣き崩れたんです。数日前がお母さんの誕生日だったそうです。お母さんは1人で子供たちを育て、頑張って働いて、その子は短大に進学させてもらえると話していました。母思いのその子はアルバイトをしてお母さんに洋服とケーキも買ってお祝いをしたそうです。彼女のお母さんへの気持ちにうるっときました。一緒に泣きました。歌と人間ドラマが見えてくる番組。気持ちに任せてやってもいいかなと思いました」

 あらためて番組の魅力をどう感じているか聞いてみた。

「日本全国ほぼ平等にお邪魔して地元の皆さんと一緒に作る番組はなかなかないと思います。その土地で地元を守っている人がいて、地元から離れて地元を思う人もいます。そこをつなげる役割をしていると思っています。全国くまなく行って、日本人の気持ちの中にある古里への思い、そこで暮らす人への思い、地元の思いを掘り下げていることが大きな魅力だと思います」

 毎週、全国を訪ねていく仕事は大変そうに思える。

「週に3日出張という形です。旅は好きなので、どんな街なのか、どんな風景があるかなとか、ワクワクしながら現地に入ります。地元ならではの物を食べる喜びも。『のど自慢』をやって9キロ太りました。スタイリストの方にはサイズがだんだん上がるのでいい加減にしてくれと怒られました(笑)。これはまずいと食事制限と歩いて走って7キロ戻しました。頑張りました」

 川名知行チーフプロデューサーは、開催地の放送局と自治体は準備に2、3年かけているとし、頑張って準備してきた人たちの思いを感じながら、ギリギリまで粘って、悩んで開催を判断していると説明した。状況に応じ、開催マニュアルを随時更新しているとも。取材した時点の予選会はさみしそうだった。コロナ禍前の熱気が一日も早く戻ることを願いたい。

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