東京女子プロレス旗揚げからのエース山下実優が考える「レスラーとしての強さ」とは

東京女子でさらなる飛躍を誓う山下【写真:新井宏】
東京女子でさらなる飛躍を誓う山下【写真:新井宏】

3月17日に25歳 これから目指す"自分なりのレスラー像"

 山下には、これまでいくつかのターニングポイントがあった。プリプリ王座を獲得した試合、王座を落とした試合、里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)とのシングルマッチ、などなど。その中で直近のターニングポイントが、両国国技館での大舞台だった。

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 また、この日の両国では失ったプリプリ王座の奪回を心に決めた。前回は“筋肉アイドル“才木令佳のベルト姿を見せつけられ、自分が王者となるさまをイメージできた。そして奪回に成功すると、絶対王者に君臨。王者として海外で試合をし、東京女子の知名度も上げてきた。ほぼイメージ通りの防衛活動ができたという。が、16ヵ月にわたる山下政権は中島翔子に明け渡し終幕。そして両国では坂崎ユカが中島から王座奪取。両者とも東京女子の旗揚げメンバーだ。山下が刺激を受けないはずがない。そして再び、返り咲く姿がイメージできた。「坂崎に勝って、”ああしよう、こうしよう”っていう考えがあったんです」。

 だからこそ、今年のイッテンヨン後楽園(1月4日)で挑戦できたのだ。しかしながら、イメージと現実は必ずしもイコールで結ばれない。山下は坂崎に敗れ、3度目の戴冠には至らなかった。「私にとって、ベルトって“魔物“なんですよ。あの負け以来、いまのところまだベルトを持っても自分でなにができるのかとか、チャンピオンとしてどうするのかとか想像ができないので、まだその時期じゃないのかなとは思いますね。いまはチャンピオンの坂崎がすごいなって思います。海外にも行ってるし、こういう王者像もあるんだって見せられている感じ。そこはジェラシーもあるし、刺激にもなっています」。

 そんな山下は3月17日に25歳の誕生日を迎える。レスラーとしても、まだまだこれからだ。「24の年って、ほぼチャンピオンだったんです。だから25歳でどういう経験をするのか、興味がありますね。プロレスしている以上はチャンピオンというかナンバーワンをめざしたいですけど、もしかしたら自分にとってチャンピオンがすべてじゃないかもしれない。でもベルト好きなので、またどこかでもらいに行くかもしれないですね」。

 東京女子は20年11月7日、東京ドームシティホール(TDC)で団体史上最大のビッグマッチを開催する。新日本・東京ドーム裏のイッテンヨンをはじめ、後楽園大会のほとんどで山下はメインを張ってきた。それだけに、TDCでもメインで闘いたい気持ちは大いにある。所属やフリーも含め、レギュラー参戦する選手はいまや20名を超えた。「渡辺未詩(わたなべ・みう)、舞海魅星(まいうみ・みらい)、鈴芽(すずめ)、愛野ユキだったりが入ってきたあたりから東京女子の未来が見え始めてきたんですよね」と山下は言う。下からの突き上げも感じるし、競争は今後ますます激しくなっていく。「誰かを超える、超えないとかじゃなくて、今後は個人で目立っていかないと東京女子ではやっていけなくなると思います。他よりも優れている何かを見つけて伸ばしていく方が必要だと思いますね。その子しか持っていないものをどんどん見せていかないといけないんじゃないかな」。

 18歳でデビューし、20歳で初代プリプリ王者に輝いた。そして迎える25歳。山下実優の歴史は、団体の歴史そのもの。ベルトの有無にかかわらず、山下は東京女子をこれからも支えていく。

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