高橋優、10周年ライブ完走 感染対策の中で見えた新たな景色「今は今の良さがある」

シンガーソングライターの高橋優が、デビュー10周年を記念して昨年秋から全国で29公演を行い、その締めくくりとなった日本武道館2DAYS(2月8、9日)でアニバーサリーイヤーを終えた。コロナ禍という状況の中、これまでとは違うステージから見た風景に何を感じたのか? 本人に聞いた。

コロナ禍での10周年ライブを振り返った高橋優【写真:塩見徹】
コロナ禍での10周年ライブを振り返った高橋優【写真:塩見徹】

観客と声を出さずに拍手だけで楽しめる方法を準備した

 シンガーソングライターの高橋優が、デビュー10周年を記念して昨年秋から全国で29公演を行い、その締めくくりとなった日本武道館2DAYS(2月8、9日)でアニバーサリーイヤーを終えた。コロナ禍という状況の中、これまでとは違うステージから見た風景に何を感じたのか? 本人に聞いた。(取材・文=福嶋剛)

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 高橋は今回の全国ツアーでこれまでにないある試みを実行した。

「今回、29公演ほぼすべての会場で僕だけ必ず前日入りをしてみたんです。たぶん、デビューして初めてだったと思います。というのも全国に足を運ぶのが久しぶりだったこともありますが、コロナ禍でその土地で暮らす人や街の空気をちゃんと感じてみたかったんです」

 感染対策とルールを守った上での限られた行動ではあるが、移動先の街や人を見ると今までにない発見もあったという。

「この状況でアクセルを踏んだり、ブレーキを踏んだりと実際にそこに暮らす人の気持ちもそれぞれ変化があった時期なので、コロナ前の光景とはもちろん違うものを感じるところはありました。例えば学生さんたちやカバンを持ったサラリーマンの表情を見ていて、普段の自分の生活圏内だけでは感じることのできなかった風景に刺激を受けました」

 そんな前乗りを経て、いざライブが始まると目の前には全員マスク姿のお客さん。ステージから見る景色は一変した。歓声を上げられず、拍手と身振り手振りのリアクション。もちろん最終地点の日本武道館も同じだ。しかし高橋には楽しみ方、楽しませ方の秘策があったという。

「声を出さなくても楽しめるようなステージを僕なりに準備して行ったんです。それは『拍手いじり』でした(笑)」

 お客さんの声色ならぬ拍手の色(=反応)によってステージからツッコミを入れたり、反対にお客さんが拍手でツッコミをいれたりというとてもユニークな試みだった。

「お客さんは拍手でしか意思表示ができないから、それをあえて逆手にとってコミュニケーションを取ってみたんです。例えば僕がちょっとスベッてしまうようなMCをした後に、お客さんの大きな拍手が起こって『何それ? 今はどっちの意味の拍手なの?』とか『今の拍手は絶対に悪意があるよね?』と言って拍手によってツッコミをいれるんです。

 そこで温まってきたら次は『手拍子いじり』が始まって(笑)。『さっきの手拍子はみんなよかったよ!』って言うと大きな拍手が起こったり。お客さんの気持ちが解き放たれていく様子も感じましたし、そんな光景をステージから見ていると僕も楽しくなりました」

次のページへ (2/3) コロナ禍でもお客さんと僕たちの距離感は変わらない
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