苦悩の芸能界引退からパティシエ、子育て…ribbon・佐藤愛子が32年ぶりに表舞台に立ったワケ

1989年にデビューした3人組アイドルグループ・ribbonのメンバー、佐藤愛子と松野有里巳が8月23日、活動休止以来となるワンマンライブを、都内のライブハウスで開催する。1995年の芸能界引退後は一切表舞台に出てこなかった佐藤だが、昨年11月に開催されたイベントに出演し、32年ぶりにファンの前に元気な姿を見せた。ENCOUNTでは、佐藤にロングインタビューを実施。ベールに包まれた引退後の生活や、再びステージに立つ理由など、その半生に迫った。

元ribbonの佐藤愛子【写真:冨田味我】
元ribbonの佐藤愛子【写真:冨田味我】

8月23日にribbonの松野有里巳と2人でサマーライブを開催

 1989年にデビューした3人組アイドルグループ・ribbonのメンバー、佐藤愛子と松野有里巳が8月23日、活動休止以来となるワンマンライブを、都内のライブハウスで開催する。1995年の芸能界引退後は一切表舞台に出てこなかった佐藤だが、昨年11月に開催されたイベントに出演し、32年ぶりにファンの前に元気な姿を見せた。ENCOUNTでは、佐藤にロングインタビューを実施。ベールに包まれた引退後の生活や、再びステージに立つ理由など、その半生に迫った。(取材・文=福嶋剛)


【PR】世界の公道が舞台…ラリーの最高峰『WRC』をABEMAが全戦無料生中継

 東京都板橋区で生まれた佐藤は4人家族の長女として1973年に生まれた。中学では卓球部で県大会に出場するほどの実力だった。だが、友人の誘いで人生が大きく変わった。

「高校生の時、友達の付き添いで受けたオーディションに落選が続き、最後のつもりで受けたアイドル番組『パラダイスGoGo!!』(フジテレビ系)の期間限定レッスン生募集オーディション(通称・夏季セミナー)で合格しました。私はそのまま乙女塾(タレント育成講座)の3期生メンバーになりました」

 乙女塾は、し烈な争いを勝ち抜いたメンバーがデビューすることが通例だったが、佐藤は加入からわずか1か月という異例の早さでribbonのメンバーに選ばれた。当時ribbonのデビューを控えていたが、予定されていたメンバーのソロデビューが決まり、急遽の代役として佐藤が選ばれたという。永作博美は3学年、松野は1学年先輩と年齢差があり、結成後しばらくは敬語が抜けなかったという。

「オーディションを受ける前からテレビの画面越しに見ていた、憧れの先輩2人のグループに加わるなんて考えられないと思っていたので、加入してしばらくはずっと緊張していました。そんなある日、ひろ(永作)ちゃんのお家にあみ(松野)ちゃんと一緒にお泊まりに行かせてもらいました。そこでひろちゃんに『あいちゃん、もう敬語じゃなくていいんだよ』と言ってもらえたことがきっかけで2人との距離が縮まりました」

 1989年12月に1stシングル『リトル☆デイト』でデビューすると、『そばにいるね』『あのコによろしく』『Virgin Snow』と4作連続でオリコントップ10入り。3人の明るく親しみやすいキャラクターが人気を集め、新時代のアイドルとしてバラエティー番組でも活躍した。

「3人のノリと笑いのツボが同じだったので、楽屋でも移動中でもゲラゲラ笑いながら、寝ることも忘れておしゃべりばかりしていました。私とひろちゃんはどちらかというとマイペース、そこをあみちゃんがバランスを取るという関係も良かったのかも。マネジャーさんもすごく陽気な方で、『楽屋の雰囲気のままテレビに出なさい』とか『いい意味で猫かぶるなよ』とよく言われていました」

 3人は「劇団☆新感線」とコラボするなど、アイドルの枠を超えて活動。永作と松野は舞台をきっかけに俳優の道も開けたが、佐藤は違ったようだ。

「私は演技の才能はなかったです(苦笑)。やっぱり歌手として活動している時が一番楽しかったですね。ribbonは、J-POPやコミカルな歌などアーティストっぽい曲も多かったので、歌う楽しさがありましたし、バラエティー番組のロケも面白かったですね。よく覚えているのが深夜番組でハワイのワイキキビーチにこたつを置き、みかんを食べるという訳の分からないコントをやったことですね。あと清水エスパルスの応援ソング『“S”ENSATIONAL WIND』を歌った際、選手たちに喜ばれたのですが、私たちが行くと負けるというジンクスがあり、大事な試合には行かなかったんです(笑)」

花嫁修業のつもりが料理にハマってパティシエに【写真:冨田味我】
花嫁修業のつもりが料理にハマってパティシエに【写真:冨田味我】

芸能界とは180度違う世界でセカンドキャリアを歩んだ

 ribbonとして5年目を迎えた94年に入ると、グループとしての活動が激減し、そのまま年末にribbonは終焉を迎えた。

「ribbonは休止も解散も正式発表しないまま今に至るので“あやふや”なんです。ファンの方たちには申し訳ないなと思っていましたし、私もあの頃はすごく寂しかったですね」

 その後は、佐藤は主にバラエティーの世界でタレントとして活動した。

「中京テレビさんの番組でMCを務めたり、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の木曜レギュラーで笑福亭鶴瓶さん、ダチョウ倶楽部さんたちとご一緒させていただいたりしました。バラドル全盛期は、面白いことを言ってお茶の間を楽しませる人じゃないと生き残れなかったんですけど、私にはその才能がないことを痛感しました」

『笑っていいとも!』のレギュラー出演が終わり、佐藤は芸能界を引退した。

「やっぱり3人だったから私はやっていけたんです。ribbonとしての活動が終わった瞬間からずっと寂しくて。この先、一人で続けていくことは無理だなって感じていました。それでソロになって1年くらいたって『もう限界かな』って思いスパッと辞めました」

 引退後、佐藤は結婚し、その後に取り組んだことがある。

「この世界に入ったのが高校1年生の時でアルバイト禁止の高校でした。私がテレビに出るようになると、生徒の親御さんから『あの子は芸能界で働いている』と学校にクレームが入り、私は高校を中退しました。あの時の悔しさが残っていたので芸能界を引退してすぐに通信制の高校に通い、高卒認定を取りました」

 また、セカンドキャリアは芸能界とは180度違う世界を歩むこととなった。

「昔から好きなことを見つけるとついのめり込んでしまう性格で花嫁修業のつもりで通い始めたお料理教室がきっかけでお料理にハマってしまい、将来はカフェを経営したいと思うようになりました。そこで調理師学校に通って、調理師免許を取り、ケーキ作りも学びたくてホテルでパティシエの修行を経験しました。その後オーガニックカフェで働いていた時に息子が生まれて、それからは育児、子育て中心の生活を送っていました」

秋には東京と大阪でイベントに出演する【写真:冨田味我】
秋には東京と大阪でイベントに出演する【写真:冨田味我】

32年ぶりにファン前に登場

 ribbonのメンバーとは今でも仲が良く交流が続いているという。

「ひろちゃん、あみちゃんとは今でもたまに連絡を取り合うなど、昔と全く変わらない仲です。息子も大学4年生でまもなく社会人。大学に入ってからは一人暮らしをしているので、私はちょっとだけ子育てロスになっていました。そこでまた何か新しいことを始めたいと思っていた時、あみちゃん、まきちゃん(宮前真樹)、さっちゃん(今井佐知子)のトークイベントを見に行きました。引退後それぞれの道を歩んでいた3人が、乙女塾時代のように楽しそうにステージに立つ姿を見て、忘れていた気持ちがよみがえりました。もう一生ないだろうと思っていたのに気付いたらあみちゃんに『私も上がってみたいかも』と今の気持ちを伝えました」

 昨年11月、32年ぶりにファンの前に登場し、松野とribbonの曲を歌った。イベント後のSNSは、佐藤の久しぶりのステージ復帰を喜ぶファンのコメントでにぎわった。

「32年ぶりだったのでファンの皆さんを失望させないように、食生活も気を付けながら毎日を過ごしました。当日はすごく緊張しましたけど、今でも振り付けとか立ち位置が体に染み込んでいて自分でもビックリしましたし、本当に楽しかったです。SNSも昨年から始めて、ファンの皆さんに元気な姿をお届けしています」

 佐藤にとってribbonとは「人生そのもの」。「こうやってまたribbonと向き合える日がくるなんて思ってもいなかったです」と喜びの思いを語る。

「8月23日には、吉祥寺にあるStar Pine’s Cafeというライブハウスで、あみちゃんと2人でribbonの曲を歌う『松野有里巳・佐藤愛子サマーライブ Majika-de AmiAi2026』を開催します。どんなライブになるのか私たちもワクワクしていて、ribbonファンの皆さんにきっと喜んでいただけるはずです。また秋には『まきあみさちあい』(宮前真樹、松野有里巳、今井佐知子、佐藤愛子)のイベントも予定しているので、ぜひ皆さん一緒に楽しみましょう」

□佐藤愛子(さとう・あいこ)1973年10月22日、東京都生まれ。89年、フジテレビ主催の乙女塾3期生に選ばれ、永作博美、松野有里巳とribbonを結成。同年12月、1stシングル『リトル☆デイト』でメジャーデビュー。グループ休止後はタレント活動し、『笑っていいとも!』木曜レギュラーで活躍。95年引退後、調理師免許を取り、パティシエなどでセカンドキャリアを歩む。2025年、元アイドルが集うイベントに出演し、32年ぶりに表舞台に登場した。同時にSNSも開設。26年8月23日に『松野有里巳・佐藤愛子サマーライブ Majika-de AmiAi2026』を開催。「まきあみさちあいトーク&ミニライブ2026」を10月11日に東京カルチャーカルチャーで11月29日大阪・新世界ZAZAで開催する。

次のページへ (2/2) 【写真】ribbon時代の懐かしい写真やお宝グッズ
1 2
あなたの“気になる”を教えてください