皇治の倒されない美学、KO負けは49戦でたった1度 「倒れる意味が分からない」と語るワケ

“皇治”はリングに置いていると話した皇治【写真:山口比佐夫】
“皇治”はリングに置いていると話した皇治【写真:山口比佐夫】

「必死こいて諦めずに泥臭くを見せていくのが俺の仕事」

 毎回スポンサーの数でも世間を驚かせている皇治。今大会も公開練習前日に契約を締結させたことを発表した。表面からみる皇治とまた違う新たな面が見えてきた。

 自身の人気を「初心と漢気を忘れなかったから。どうなったって損得じゃないと思っていますし、分かりやすく言ったら利益が全てじゃない。お金よりも人間関係やと思っているので。それを忘れたら一気に、人として地に落ちるやろな」と分析する。

 若い選手に対して今の“皇治”だからこそ伝えたいことがある。「今の若い選手は舞台がある程度整えられたところにいく。よく自分が言うのはチームプレーとかって、チームに入ればおのずとファンがついているんですよね。俺はそうじゃなかったし、なんもなくて、何のコネもなかった」。

 そのうえで「だから1番初めのスポンサーの年間5万円(契約)とか、そんなんがあったから今がある。俺は今もその人たちに感謝しています。なんならそういう人たちの値段を上げたことはないんですよ。有名になったから値段を上げてくださいとかを言ったことはないです。初心を忘れないことはどの世界でも大事なんじゃないかなと思っています」と続けた。

 5月にキック引退を宣言している皇治。残りは今大会を含め、2試合か。今まで魅せてきた生き様も口にした。

「泥臭い生き様ですよね。フロイド・メイウェザー(米国)とか天心とか武尊くんとか、かっこええですよ。もちろんあの子らにはあの子らなりの苦労はある。でも、この世界の人たちって大半は自分寄りだと思うんです」。

 いつになく口調は熱を帯びていく。

「結果出したいけれど、出せなかったり。。カッコつけたいけれど、つけられなかったり。思い通りにいかない人生を歩んでいる人が多いと思う。でも、必死こいて諦めずに泥臭くでもやっていけば、こうなるんやって見せていくのが俺の仕事です」

 キック引退後に挑む“トライアスロン”にも言及した。

「まあ、みんな色んな期待を膨らませてくれたらいいんじゃないですか。ひとつ言えることは俺はみんなを楽しますとか、少しでも盛り上げたいって気持ちは変わらない。『また皇治がこんなことやるのか』って思ってもらえるように行動します」

 最後にこう締めくくった。

「俺は“皇治”っていうファイターのリングネームもありますけれど、その前には田中宏治。リングを降りるときは“皇治”をリングに置いている気ですし、降りたら普通の32歳のおっさんなので。それを忘れず、みんなと関わらせてもらっていますね」

 カッコいい曲で花道を歩き、皆の視線をリングの上で一身に集めている姿だけが全てではない。“皇治”と“田中宏治”、2つの顔。遠くにいても存在を近くに感じさせてくれる。“浪速のエンペラー”はこれからもファンとともに闘い続ける。

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