改めて思う「お客様への感謝」 東京女子プロレスが新型コロナによる無観客試合を実施

21人選手出場によるワンデイトーナメントを開催した東京女子プロレス【写真:(C)DDTプロレスリング/村上由美】
21人選手出場によるワンデイトーナメントを開催した東京女子プロレス【写真:(C)DDTプロレスリング/村上由美】

新型ウィルスのピンチをチャンスに変えた団体力

 さて、優勝を飾った中島だが、前プリンセス・オブ・プリンセス王者の実績からすれば順当と言っていいだろう。愛野とは対照的な闘いぶりも印象に残った。中島は今回のルールをフル活用しトーナメントを制してみせた。2回戦の辰巳とはフルタイム後にジャンケンで勝利。準々決勝の渡辺には延長戦で1カウントフォールをゲットした。ある意味で大技を温存し、決勝では序盤からペースを握っていく。途中で愛野の反撃に遭うも、結果的には貫禄の優勝だ。次の対戦相手が読めないという不安にはメキシコ遠征の経験も活かせたのではなかろうか。突然のトーナメント決定にもうまく対処できたのが中島だったのだ。

「優勝するにはいったい何試合したらいいんだよってくらい団体の人数が増えていたのがとってもうれしかったですね。決勝でユキと試合して苦戦したのも悔しいやらうれしいやらで、今日はとっても大満足です。最近の勝ちで一番大きな勝ちを手に入れたのではないでしょうか」とは試合後の中島。その通り、これだけの選手が揃ったのは東京女子という団体を継続させてきたひとつの成果であり、壮観でもあった。アクシデントから生まれたトーナメントではあるものの、ピンチをチャンスに変えたのは団体力にほかならない。同時に、ピンチを個人のチャンスに変えた代表格が今回の愛野であり、渡辺も愛野同様の闘いぶりでポテンシャルの高さを見せつけた。また、無観客状態における白川の独特な空気作りも印象的だ。

 無観客での試合について、中島はこのように振り返る。「お客さんの声援はけっこう力になりますから、それがなかなか聞こえないという難しさというか、自分の中で気持ちを上げていかないといけない難しさはありました。なので、自分で自分を応援しないとちょっときつい。お客さん、やっぱり大事です。お客さんに”いつもありがとう”という気持ちをあらためて感じました」

 東京女子では3月8日(日)も道場にて無観客試合をおこなうことを発表。通常大会が元通り開催されることを願いつつ、選手たちはこの経験を活かし、次のステップに進んでいく。

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