改めて思う「お客様への感謝」 東京女子プロレスが新型コロナによる無観客試合を実施

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、プロレス界でも興行、イベントの中止や延期が相次いでいる。DDTグループも2月26日に発表された政府の自粛要請に従い、2月28日から3月8日までのDDT、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの大会を中止(3月1日現在)。代替えとして東京・御茶ノ水道場にて無観客試合を実施し、その模様を動画サービス「DDT UNIVERSE」にて配信。東京女子プロレスは団体として初となる無観客試合を敢行した。

ワンデイトーナメントを優勝した中島翔子(右)【写真:(C)DDTプロレスリング/村上由美)
ワンデイトーナメントを優勝した中島翔子(右)【写真:(C)DDTプロレスリング/村上由美)

道場から無観客試合を生配信

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、プロレス界でも興行、イベントの中止や延期が相次いでいる。DDTグループも2月26日に発表された政府の自粛要請に従い、2月28日から3月8日までのDDT、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの大会を中止(3月1日現在)。代替えとして東京・御茶ノ水道場にて無観客試合を実施し、その模様を動画サービス「DDT UNIVERSE」にて配信。東京女子プロレスは団体として初となる無観客試合を敢行した。

 無観客試合は2月28日のDDTからスタートし、東京女子は翌3月1日に開催。当初は、両国KFCホールにてサンダー・ロサのインターナショナル・プリンセス王座に中島翔子が挑戦するタイトルマッチをはじめ、辰巳リカ&渡辺未詩組VS伊藤麻希&らく組のプリンセスタッグ選手権試合、山下実優VS万喜なつみのシングル第3ラウンドなど好カードがラインナップされていたが、会場を道場に移し大胆なカード変更を実施。21選手参加による「ジンギスカン霧島presents春ビューティフルワンデイトーナメント2020」を急きょ開催することとしたのである。なお、大会中止に伴いインター王者ロサは来日をキャンセル。4月3日(現地時間)フロリダ州タンパで開催される東京女子アメリカ大会にてあらためてロサVS中島のタイトルマッチがおこなわれることが濃厚だという。

 21人参加により、トーナメントは全20試合がおこなわれるという大ボリュームとなった。1回戦から準々決勝が5分1本勝負の2カウントフォールマッチ、時間切れの場合はジャンケンで進出者を決めることとなる。準決勝は通常ルールの5分1本勝負で、時間切れは1カウントフォールによる時間無制限1本勝負。最後の決勝戦は通常ルールの10分1本勝負。こちらも時間切れになると時間無制限の1カウントフォールに突入する仕組みだ。

 優勝賞品のジンギスカン料理をゲットするには最高5試合を闘わなければならない過酷なルール。しかも駒を進めるごとに形式が微妙に変化していく。なかにはデビュー以来はじめてのトーナメント参戦や勝てば複数試合という選手もいる。なかでも初の無観客試合という不安は全員に大きなプレッシャーとしてのしかかった。実際、第1試合を闘った伊藤麻希は場内の静寂に対し、「耐えられない。心が折れちゃったよ……」と正直な感想をいきなり吐露(次の試合で対策を立てて臨んだのはさすが)。ファンの声援を力にする選手ほど、やりにくさを痛感したのではなかろうか。

 それでも試合はテンポよく進み、万喜なつみVS白川未奈をはじめシングル初対決も続出、注目の対戦がダイジェスト的ながらいくつも実現したのだから見どころは多かった。しかもルールがルールだけにサプライズも生まれやすい。そのサプライズを起こしたのが、2回戦で”東女のエース”山下実優をピンフォールしてみせた愛野ユキだった。

 愛野はサイドスープレックスにより山下から”2カウント”をゲット。通常ルールだとしたら、いくら得意技でも3つは取れなかったのではなかろうか。ここで繰り出したサイドスープレックスはフィニッシュ狙いというよりも、とっさに出たような印象だ。それだけに山下も意表を突かれたはずである。これで勢いをつけた愛野だが、同時に冷静さも持ち合わせていたのが決勝まで勝ち進めた要因だろう。準々決勝の乃蒼ヒカリ、準決勝の白川ともヴィーナスDDT(リバースDDT)からフォール勝ち。2カウントだからといって丸め込みの連続などでカウントを取りにいくのではなく、あくまでも自身の闘い方で得意技につなげていく。ふだん通りを貫こうとするこの闘い方が、キャリアの浅い愛野には功を奏したのだ。最後は中島に敗れたものの、終わってみれば準優勝。甲田哲也代表の好意により賞品をもらったのだから、デビュー以来はじめてと言っていいシングルでの実績か。

 振り返ってみれば、愛野は東京女子の元リングアナウンサーである。さらに遡れば一度は挫折し、団体から消えた。「自分のせいであきらめてしまったんですけど、ずっと悔しかったんです」と愛野は言う。あとから入ってきた練習生たちが次々とデビューしていく。姉もレスラーだけに、自然と情報は入ってきてしまう。

「やっぱりあきらめきれなくて……。売店でもいいからなにかお手伝いさせてくださいと言って、もう一度やらせてもらったんです。そのころちょうど前任のリングアナの方がやめられたタイミングだったので、やってみませんかと声をかけてもらったんです」

 リングアナをやりながら再びトレーニング。そして18年5月、ようやくデビューにこぎ着けた。姉・天満のどかと”爆れつシスターズ”を結成し、プリンセスタッグ王座に3度挑戦。いずれもベルトには届いていないが、今回のトーナメント準優勝は今後の躍進を期待させるに十分の活躍だ。若い世代の底上げにもつながるだろう。当然、中島とはファンのいるところでしっかりとまっさらな状態で再戦したい。「メッチャ(再戦)したいですよ! そしたら、もしかしたら、もしかしたらですよ。もしかしたら、結果違うことになるかもしれないですよね(笑)」(愛野)

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