東京の家賃相場“西高東低”のワケ 23区内単身向け物件の最新事情、“穴場”の駅とは

東京23区内の単身向け賃貸物件の「家賃相場が安い駅」はどこなのか――。不動産ニュースサイト「SUUMO ジャーナル」がこのほど最新の調査結果を発表した。1位は葛西臨海公園(江戸川区)の「5.7万円」で、2位からは金町(葛飾区)「6.0万円」、京成金町(同)「6.05万円」と続く。ランキングは足立区を含めたいわゆる“下町”が多い印象だ。SUUMO副編集長を務める笠松美香氏に、最新事情や賃貸ならではの傾向などを聞いた。

東京23区内の単身向け賃貸物件(写真はイメージ)【写真:写真AC】
東京23区内の単身向け賃貸物件(写真はイメージ)【写真:写真AC】

SUUMO副編集長が教えてくれた 1位は江戸川区・葛西臨海公園駅の「5.7万円

 東京23区内の単身向け賃貸物件の「家賃相場が安い駅」はどこなのか――。不動産ニュースサイト「SUUMO ジャーナル」がこのほど最新の調査結果を発表した。1位は葛西臨海公園(江戸川区)の「5.7万円」で、2位からは金町(葛飾区)「6.0万円」、京成金町(同)「6.05万円」と続く。ランキングは足立区を含めたいわゆる“下町”が多い印象だ。SUUMO副編集長を務める笠松美香氏に、最新事情や賃貸ならではの傾向などを聞いた。(取材・文=吉原知也)

 調査は2021年10月~12月にかけて実施。駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件が調査対象となっている。同率順位を含む13位まで(17駅)のランキングでは、江戸川区が7駅、葛飾区が4駅、足立区が3駅、世田谷区が1駅、北区が1駅、杉並区が1駅となった。

 23区の東部地域の“家賃相場が安い”と言えるワケ。笠松氏は「一般的に東京の家賃相場は『西高東低』と言われています」と説明する。構図の成り立ちは江戸時代までさかのぼるといい、「山手線の内側に加え、本所・深川・浅草を中心とした河川から水を得ることができやすい場所が、当時から栄えた町民が多く暮らしてきました。一方で、新宿や渋谷は中心部こそ宿場や武家屋敷などで栄えていましたが、現在の山手線の外側の方面は農地や自然が多く残されていました。約100年ほど前から、私鉄による沿線の都市開発が始まり、特に1960年代以降、本格的に宅地化、都市化が進んでいきました」。

 ここで笠松氏は「山手線の東側・西側」の尺度を使って解説を加える。新宿・渋谷・池袋といった山手線の西側にある駅周辺には、オフィスや商業施設が多くできて人々の働く場所・遊び場として発展するように。一方で、東側では、かつて、集団就職の時代には上野が玄関口と呼ばれていたが、東京駅以外は、オフィスや商業施設としてスケールが大きく、かつターミナルとなる駅がなく、西側ほど発展しなかったことから、全体の傾向について「ほかにも要因はありますが、結果的に、山手線西側の方の人気につながりました」という。

 今回のランキングでは、山手線のターミナル駅に直接接続していない駅も見受けられる。「山手線のターミナル駅に接続してない沿線周辺は、している沿線に比べ家賃が割安になる傾向」という。ただ、大丸有と呼ばれる、東京駅(大手町)から丸の内、有楽町にかけての再開発などが計画されていることから、「東側でもさらなる利便性の向上につながるとみています」と分析している。

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