“溶けにくいアイスクリーム”の開発に成功 気温35度で1時間経過しても形状を維持
業務用食品卸の株式会社中庄本店が、新事業として溶けにくいアイスクリーム「ZuT(ずっと)」ブランドを立ち上げ。介護事業者の声から、気温35度で1時間形状を保つことができる、溶けにくいアイスクリームの開発に成功した。
クリーム類の離水を抑制、気泡の弾力性を向上させる「イチゴポリフェノール」に着目
業務用食品卸の株式会社中庄本店が、新事業として溶けにくいアイスクリーム「ZuT(ずっと)」ブランドを立ち上げ。介護事業者の声から、気温35度で1時間形状を保つことができる、溶けにくいアイスクリームの開発に成功した。
口溶けがよく栄養価の高いアイスクリームは、摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害者にも適しているものの、配膳が基本の病院食などではすぐに溶けて液体になってしまうアイスクリームの提供は難しいと言われている。そこで、溶けにくいアイスクリームを開発しようと、ジャージー牛乳を生産する「ミルク工房そら」に協力を依頼。熟練の職人と一緒に手作りで丁寧に一つずつ何度も試作を繰り返し、溶けにくいアイスクリームの開発に成功した。
形状を保つ仕組みの1つは、金沢大学の太田名誉教授とFULLLIFE株式会社が研究開発を行った、イチゴ果実から抽出されるポリフェノールを核とした原料「イチゴポリフェノール」。100%天然素材、天然抽出物ならではの風味と甘いイチゴの香りが特徴で、クリーム類の離水を抑制して溶けにくくする機能と、気泡の弾力性を向上させて崩れにくくする機能で、溶けにくいアイスクリームの製造が可能となった。
中庄本店ではさらに研究を重ね、海藻成分を使うことで独自の配合を見出し、アイスクリームの保形性をさらに向上させることに成功。この独自配合により、アイスクリームを食べたときの口溶けの瞬間をより長く楽しむことが可能となった。同社実験では室温35度で1時間後も形状を保ち、表面温度は約5度で濃厚なクリーム状、内部温度は約-3度でソフトクリーム状の食感となり、2つの味わいを楽しめるという。
味は、京都丹後産の希少なジャージー牛乳朝搾りをそのままミルクアイスクリームにした「白」、スイスに本社を持つバリーカレボーの100%カカオフルーツのみで作られたホールフルーツチョコレートの風味豊かなチョコレートアイス「黒」、奥京都苺を使いあえて30分ほどで溶けるように仕上げたイチゴソースとジャージーミルクアイスクリームのハーモニーが楽しめる「赤」の3種類。
モニターアンケートでは、「凍っているまま食べると、口の中で変化を楽しむことができました。溶けにくいので、ミルクの後味が長く続き、濃厚さが引き立つみたいです」、「凍っていても硬くなりすぎないので、力のない高齢者の方でも食べやすそうです」、「溶けにくいので、子どもの服が汚れなくて良いと思います」、「今まで諦めていたテイクアウト商品にもアイスクリームをのせて提供できそうです」、「溶けにくいアイスクリームにウイスキーをかけてフランベする『炎のアイスクリーム』は、WOWを求めている飲食店さんに勧めたいです」などの声が寄せられ、さまざまなシーンでの可能性が期待される。