【映画とプロレス #4】アメプロファンなら見るべき映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」とは?

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」 (C)2019 PBF Movie, LLC. All Rights Reserved.
「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」 (C)2019 PBF Movie, LLC. All Rights Reserved.

元WWEスーパースターのジェイク・ロバーツ、ミック・フォーリーが好演

 ここから先が本作の“プロレスパート”だ。ジェイク・ロバーツ、ミック・フォーリーの出番もこの先だ。試合はバックヤードレスリングで、CZWの屋外大会をイメージしたような場所でおこなわれている。ハードコアな闘いを間近にしたザックはドン引き。果たしてザックは夢を叶えることができるのか?

 本作でザックを演じるのはザック・ゴッツァーゲン。自身もダウン症だが、かねてから映画スターを夢見ていた。ある日、本作を監督することとなるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツと出会い、その夢を語ってみせた。この2人を含め、「そんなの無理に決まってる」と周囲から嘲笑されていたザックだが、「だったらあんたたちで作ってくれよ!」とヤケクソに言い放ったところから映画化が動き出した。よって、本作にはリアルなザック・ゴッツァーゲンが投影されている。だから役名もザックなのではなかろうか。プロレスラーをめざすストーリーも、彼がプロレスファンだったからだ。

 製作途中にはシャイア・ラブーフが不祥事を起こし逮捕される事件が起こった。一時は作品の公開までピンチになった(結果的に17館スタートが全米1470館公開に拡大する大ヒットを記録)。そのときザックはラブーフに面と向かい、「キミがボクの夢を壊そうとしているなんて!」とぶちまけたという。この言葉を真摯に受け止めラブーフは更生したという。映画の中身を地にいくようなエピソードの連続だが、出演しているジェイク・ロバーツ自身も問題を抱えながら人生のカムバックを果たしたひとり。プロレス映画史上最大の傑作、ミッキー・ローク主演の「レスラー(2008年)」のモデルになったことでも知られている。そのロバーツは今作ではしっかり「JAKE“THE SNAKE”ROBERTS(ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ)」とクレジットされている。この気配りがなんともうれしい、プロレス映画でありながらホッコリした気分にもなれる作品だ。

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」
2020年2月7日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開中
(C)2019 PBF Movie, LLC. All Rights Reserved.
配給:イオンエンターテイメント

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