三代目藤間紫「本当に幸せです」 襲名公演で45分以上の大曲「娘道成寺」を披露

日本舞踊「紫派藤間流」の家元・三代目藤間紫を襲名した女優の藤間爽子が30日、東京・国立劇場で三代目藤間紫襲名披露公演「紫派藤間流舞踊会」を開催した。祖母は「紫派藤間流」の創設者で、女優としても大活躍した初代藤間紫。爽子は2021年2月に三代目を襲名し、家元となった。

「紫派藤間流舞踏会」で大曲「京鹿子娘道成寺」に挑戦した三代目藤間紫【写真提供:紫派藤間流 藤間事務所】
「紫派藤間流舞踏会」で大曲「京鹿子娘道成寺」に挑戦した三代目藤間紫【写真提供:紫派藤間流 藤間事務所】

本公演のために制作した「藤の紋の手ぬぐい」が登場

 日本舞踊「紫派藤間流」の家元・三代目藤間紫を襲名した女優の藤間爽子が30日、東京・国立劇場で三代目藤間紫襲名披露公演「紫派藤間流舞踊会」を開催した。祖母は「紫派藤間流」の創設者で、女優としても大活躍した初代藤間紫。爽子は2021年2月に三代目を襲名し、家元となった。

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 襲名披露公演は二部制で18演目を披露。それぞれの部のトリを三代目藤間紫が務め、一部では長唄「京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)」を、二部では兄の初代藤間翔(かける)とともに義太夫「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」を踊った。また初代藤間紫の十三回忌追善も兼ねていることから、演目には「雷船頭(かみなりせんどう)」など初代に縁のある曲が選ばれた。

“女形歌舞伎舞踊の最高峰”と表される「京鹿子娘道成寺」に挑んだ三代目藤間紫は、華やかな赤い振袖と烏帽子姿で登場。能仕立ての厳かな舞いから軽やかな町娘の踊りに変化したかと思えば、赤い振袖姿が一瞬にして水浅葱(みずあさぎ)色の衣装に変わる「引抜(ひきぬき)」という手法を見せるなど、観客を沸かせた。さらに、一つの赤い笠から三つの笠が連なる「振り出し笠」を使った踊りや、羯鼓(かっこ)を打ちながらの舞いなど、次々と小道具も披露した。

今回の公演のために制作された「藤の紋の手ぬぐい」を使ったクドキ場面【写真提供:紫派藤間流 藤間事務所】
今回の公演のために制作された「藤の紋の手ぬぐい」を使ったクドキ場面【写真提供:紫派藤間流 藤間事務所】

 手ぬぐいを使用する「クドキ」の場面では、今回の襲名披露公演のために制作された「藤の紋入りの手ぬぐい」が登場。紫派藤間流の紋と藤間家の紋を入れたものだという。また舞台上から別の種類の手ぬぐいも撒かれ、客席を賑わせた。クライマックスでは巨大な鐘の上に登り、鱗(うろこ)模様の衣装を披露。鐘の下いる坊主たちを鋭い目つきで見下ろす「鐘入」の場面で幕となり、45分を踊りきった。

 無事に襲名披露公演をやり遂げた三代目藤間紫は、「先ほど襲名披露舞踊会が終わりました。第一部で『京鹿子娘道成寺』、第二部では『道行初音旅』を兄・翔と共に演じました」と報告。「どちらの演目も古典舞踊の大曲で、無事に踊れた喜びと安堵、そして古典演目の難しさ厳しさを痛感しました」と思いを明かした。また「このようなコロナ禍の中、沢山の方々のお力添えをいただき、お弟子さん方と喜びをご一緒できましたことは、本当に幸せです。これから益々精進致します。どうぞよろしくお願い致します」と語った。

次のページへ (2/2) 【写真】赤い振袖から水浅葱色の衣装に一瞬で変わる「引抜」
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