“三代目藤間紫”を襲名した女優・藤間爽子の決意 家元と女優「どちらも本気です」

家元も女優も「どちらも本気」と決意を語る【写真:舛元清香】
家元も女優も「どちらも本気」と決意を語る【写真:舛元清香】

「本番をたくさん踏むことができる」女優業で得られる経験

――女優としてドラマにも多数出演されているほか、「阿佐ヶ谷スパイダース」では舞台活動もされています。それぞれのお仕事で、気持ちや感覚は違うのでしょうか?

「女優のお仕事は、その作品を作る上で『自分の役割をしっかりまっとうしたい』という、“作品や現場の一員”という気持ちで臨んでいます。日本舞踊は『自分がまとめなきゃいけない側』です。“その場の一員”というよりは、『みなさんを見ていかないといけない』という、ちょっと違う感覚。『まとめていく側』の視点で見なきゃいけないというのが違います」

――女優業からどのようなことを学んでいますか?

「女優業や舞台は、本番をたくさん踏むことができます。お稽古だけじゃ分からないことってたくさんあります。実際に“本番を踏む”、“お客さまに見てもらう”ことが一番の勉強です。女優のお仕事をさせていただくと、舞台は何日も公演があって本番を何度も経験できます。今回の襲名披露公演は、1年がかりでお稽古しても本番は1回こっきり。そういった点では、(女優業で)たくさん本番を踏ませていただく経験が力になっていると思います。また女優のお仕事をすることで、いろんな方と出会えるチャンスが多いです。新たに出会った方から刺激を受けます。同年代やいろんなお仕事をしている方とお会いできるので、そういった経験から『自分ならではの何か』を残せたら」

――おばあさまも家元と女優業の「二足のわらじ」をはかれていました。おばあさまを参考にしたり、逆に「自分はこういうスタイルでいく!」という気持ちはありますか?

「祖母は、『女優よりも私は舞踊家だから』という気持ちが強かった。『私の軸はあくまでも舞踊。女優は次』と言っていました。祖母はそういうスタイルだったけど、私は家元と女優の『どちらも本気です』というスタイルです」

――家元、そして女優として、今後挑戦したいことはありますか?

「今27歳なので、20代最後に何か自分のリサイタルをしたいです。今回の公演は祖母の追善と私の襲名なので『舞踊会』という形ですが、20代最後に(演技も舞台も)好き勝手にやれるものができたらいいなと考えています」

(中編に続く)

□藤間爽子(ふじま・さわこ)1994年8月3日、東京都出身。幼少より祖母・初代家元藤間紫に師事し、2021年、三代目藤間紫を襲名。日本舞踊家・女優として舞台や映像を中心に活動中。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、日本テレビ「ボイスII 110緊急司令室」(21)などに出演。今年はテレビ東京「僕の姉ちゃん」の放送が控えている。青山学院大学文学部比較芸術学科卒業。劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に所属。

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