電車内での暴行仲裁、乗務員はどこまで対応できる? 駅では武具配置も車内は“丸腰”

JR東日本宇都宮線の電車内でたばこを吸っていたことを注意された男が、注意した男子高校生に殴る蹴るなどの暴行を加え重傷を負わせた事件。一部報道では男が乗務員の制止を聞かず、高校生に暴行を加え続ける動画も公開され、物議を呼んでいる。電車内で暴れたり、時には凶器を所持している場合もある危険人物に、駅員や乗務員はどこまで対応できるのか。JR東日本に見解を聞いた。

電車内での危険人物への対処法が話題になっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
電車内での危険人物への対処法が話題になっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

報道番組でショッキングな動画公開「クソガキ、土下座せいやはよ」「ぶっ殺すぞこら」

 JR東日本宇都宮線の電車内でたばこを吸っていたことを注意された男が、注意した男子高校生に殴る蹴るなどの暴行を加え重傷を負わせた事件。一部報道では男が乗務員の制止を聞かず、高校生に暴行を加え続ける動画も公開され、物議を呼んでいる。電車内で暴れたり、時には凶器を所持している場合もある危険人物に、駅員や乗務員はどこまで対応できるのか。JR東日本に見解を聞いた。

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 事件は23日正午頃に発生。一部の報道番組では25日、男が仲裁に入った女性乗務員や車掌の制止を振り切り「クソガキ、土下座せいやはよ」「ぶっ殺すぞこら」と高校生に暴行を加えるショッキングな事件現場の映像を公開。ネット上では男の振る舞いを断罪する声のほか、止めに入った車掌や乗務員に一層の制止を求める声も上がっていた。

 ただ、列車の車掌や乗務員は警備員ではなく、危険人物への対応は通常業務の範疇(はんちゅう)に含まれない。電車内で暴れたり、凶器を所持した危険人物を相手にどこまで対応すればいいのか、その基準はあいまいだ。

 JR東日本は、取材に対し「お客さまと社員の命を最優先に、状況に応じてお客さまの避難誘導を実施することを基本としています。基本的には当該人物と距離をとりながら、速やかに警察に通報し、お客さま及び関係社員の安全を確保しながら速やかな避難誘導を実施します」と回答。安全を最優先し、距離を取った上での対応が基本で、今回のように間に入っての仲裁はかなり踏み込んだ対応と言える。

 また、さす股や防護盾など、危険人物を制圧するための武器や防具の配置については「駅においては、2018年6月に発生した東海道新幹線車内で起きた殺傷事件を受け、駅でのセキュリティー対策を強化し、さすまた、防刃チョッキ、催涙スプレーを新幹線停車駅全駅、在来線主要駅等に配備しています」としつつ、「車両においては、駅間が比較的長い新幹線の車両には配備しており、在来線では武具等による対応ではなく、避難誘導を基本としています」と説明した。在来線の車内では乗務員の対抗手段も手薄なことから、相手が凶器を手にしていた場合は返って危険が付きまとう可能性もある。

 いずれにせよ、最初に行動すべき事項は「状況を的確に把握し、すみやかに関係箇所に連絡すること」とJR東日本。年々増加する電車内でのトラブルや凶悪事件。乗客はもちろん、駅員や乗務員の安全を確保するための体制作りも急務だ。

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