超難関の渋幕中入試 前泊保護者を悩ませる昼食問題 「リラックス体操」対策も必要

ユニークな「リラックス体操」 元受験生「面白かった」

 さて、日付が変わって入試当日22日の朝。ホテル内のレストランには受験生とみられる親子連れが次々と現れた。ホテル側はこの日に限って朝食ビュッフェ(小学生以上1500円)の開始を通常の午前7時から30分繰り上げ同6時30分に設定。入試に臨む受験生とその親への配慮だ。和食と洋食の両方があり、千葉県産にこだわった食材を提供していた。食事を終えた親子はいったん部屋に戻った後、受験票や文房具類を最終確認したうえで、試験会場へと向かった。ホテルからは徒歩10分足らずで校門に到着する。

 渋幕中は受験生の入校時間を受験番号によって分けている。偶数は午前7時10分から同8時、奇数は同7時30分から8時20分。奇数の受験生の方が時間的余裕を持って来場できた格好だ。受験生の着席は同8時30分で、5分後に説明と出席確認がスタート。同9時から国語(50分)、算数(50分)、社会(45分)、昼休みをはさんで理科(45分)の順で試験が行われ、午後2時に時差解散となった。20日に幕張メッセで行われた市川中学校の入試は午前8時35分から始まり、昼休みをとることなく午後1時前に終了している。

 渋幕中の入試がユニークなのは朝の出席確認後の午前8時45分から「リラックス体操」の時間を5分間設けているところだ。受験生の緊張をほぐすためのアイデアで、体を伸ばしたり座ったまま体を回転させたりする動作を一斉に行う。渋幕中入試の一大イベントとして語り継がれており、元受験生の間からは「面白かった」「謎の男女2人組が突然踊りだす」「かえって緊張した」などの声が上がっている。全国でも珍しいリラックス体操に驚かないために、サピックスオープンや日能研渋幕トライアルテストでは実際にリラックス体操を組み込んでいるというから侮れない。

隣接する渋幕中と昭和学院秀英中【写真:ENCOUNT編集部】
隣接する渋幕中と昭和学院秀英中【写真:ENCOUNT編集部】

前泊受験のメリットは試験開始後、親がホテルの部屋で休息可能

 渋幕中の入試当日の課題は、受験生の昼食をどうするか、だ。当日、入試会場に向かう親子は自宅で昼食用の弁当を作ることができるが、入試前日にホテルに宿泊した場合、昼食は別途調達しなければならない。コンビニでおにぎりを買って子どもに渡す親もいるが、駅構内のDeli franceや駅北口のロッテリア、タリーズは午前7時から営業しており、パンやサンドイッチ、ホットサンドなどが買える。駅構内のおにぎり権兵衛は午前8時からの営業なので時間的に厳しい。渋幕中の校舎内ではパン、おにぎり、飲料などの販売が一切ないため注意が必要だ。ただ、入試係員に頼んで子どもに届けることは可能だ。予備的にコンビニのおにぎりやパン、飲料水を持たせ、食べる食べないは子どもに任せてお昼の休憩時間を理科の復習や最終チェックに使うという選択もあるだろう。お昼は食べず試験がすべて終了した後にあらためて昼食を気兼ねなくたくさん食べる、という考え方もある。

昭和学院秀英中学校でも入試が行われる【写真:ENCOUNT編集部】
昭和学院秀英中学校でも入試が行われる【写真:ENCOUNT編集部】

 この日は渋幕中のすぐ隣に位置する昭和学院秀英中学校でも入試が行われており、例年会場を間違える親子が続出している。渋幕中入り口で係員が「学校名を確認してください!」と保護者に呼び掛けていたのもこのためだ。背中を丸めて試験会場に入って行く子どもの姿を見届けた保護者は、わが子の幸運を祈りつつ1人、2人と会場を後にした。当日朝に自宅から会場にやってきた受験生の保護者は試験開始後、駅前のカフェなどで時間をつぶすケースが多いが、ホテルに前泊した保護者は子どもを見送った後、ホテルに戻り暖かい部屋で一休みできることが大きなメリットだ。従って前泊を選択した保護者はホテルのチェックアウト時間を確認することが極めて重要となる。駅周辺の主要ホテルのチェックアウトは午前11時が多いが、ホテルニューオータニ幕張は正午となっている。

 渋幕中一次入学試験の合格発表は24日午後2時ごろ同校ホームページで。

トップページに戻る

1 2
あなたの“気になる”を教えてください