デビュー25周年“聖闘士星矢の歌姫” 松澤由美はいかに左乳房全摘を乗り越えたのか

「聖闘士星矢」「機動戦艦ナデシコ」などのアニメ作品の主題歌を担当してきた、歌手の松澤由美がデビュー25周年を迎えた。15日には新曲「ひとひら」を配信リリース。これまでスペインを皮切りにパリ、サンパウロ、香港など、世界の20都市で公演し、2016年には左乳房全摘手術も経験した松澤が節目の年に思うこととは?

新曲「ひとひら」リリースに際し、「お花のイメージ」の衣装をまとった松澤由美
新曲「ひとひら」リリースに際し、「お花のイメージ」の衣装をまとった松澤由美

検査で見つかった乳がん

「聖闘士星矢」「機動戦艦ナデシコ」などのアニメ作品の主題歌を担当してきた、歌手の松澤由美がデビュー25周年を迎えた。15日には新曲「ひとひら」を配信リリース。これまでスペインを皮切りにパリ、サンパウロ、香港など、世界の20都市で公演し、2016年には左乳房全摘手術も経験した松澤が節目の年に思うこととは? (取材・文=“Show”大谷泰顕)

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 新曲「ひとひら」は、スマートフォン向けゲーム「Ragnarok M: Eternal Love」の拡張パック「七王家の謎」を記念したテーマソングで、作詞は松澤が担当し、作曲は柴咲コウのヒット曲も数多く書いてきた市川淳が担当した。

 リリースに際し、松澤はSNSを通じて以下のようにコメントしている。

「デビュー25周年目にして、またこうして新しい楽曲を歌える幸せを感じています。たまたまデビュー当時のスタジオでのレコーディングだった今回。色んな想いがあふれました。当時のスタジオに来てくれた親友、プロデューサーは今は天国へ行き、こうしてまた歌えるチャンスをいただいた私は『しっかり良い歌を歌うんだよ』と背中を押されているようでした。四半世紀、音楽業界、この2年で世界も変わりましたが、変わっていく時代に、変わらない大事なものもあり。そういうものが、歌でみなさんに届けられたらうれしいです」

 このたび、25周年を迎えた松澤だが、決して順風満帆に25年間を過ごしてきたわけではない。

 18年11月に更新したブログでは、16年11月に乳がんの手術で左乳房を全摘出し、のちに再建手術を受けたことを衝撃告白した。

 松澤が当時の状況を回想する。

「私の場合は検査で見つかったんですよ。その前年はパーフェクトで問題なかったんですけどね。だけど検査して『もしかしたらがんかも…』って言われた後、ひと月くらいブラジルの各所で公演だったんですね。その時は『がんだとしても初期の初期だから、帰国したら大きな病院で検査してください』って言われて。不安を抱えながら帰国して夏に検査、11月に手術でしたね」

 全摘と告知された際はどう思ったのか。

「その頃、ちょうどハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが全摘したんですね。彼女の場合は、乳がんになる前に、確率が高いと言われた段階で取ったらしいんですけど。だから私も全摘と言われた時に、『私もアンジェリーナ・ジョリーになりまーす』って明るく周りの人に伝えたら、みんなが絶句して『シーン…』ってなっちゃって(苦笑)。家族は笑えないんだなあって当たり前のことを思いましたね」

 女性にとって乳房を全摘するのは、言葉では言い表せないさまざまな思いがあったに違いない。これに関して松澤はこう答えた。

「おっぱいを取ることよりも、生きることのほうが大事。だから究極の選択でした。手術で左乳房を全摘したんですけど、その2年後の自家組織手術の際には寝たきりになったし、手術で40センチも切ったりしたんです。だけど歌を歌うにはお腹の力も使うので、当初は手術をしたら、また元のように声を出して歌が歌えるのか、もう歌えなくなるのかなと不安にもなりました」

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