「永遠のサムライ」船木誠勝の魅力を追跡 ストイックなのにファイトは幅広い

「永遠のサムライ」船木誠勝が正念場を迎えた。ノアの1・22エディオンアリーナ大阪第2競技場大会でGHCナショナル王者・拳王に挑戦するが、昨年2月に続いて2度目の挑戦となるだけに、今度こそベルト奪取しかない。

船木誠勝のこのファイティングポーズたまりません【写真:柴田惣一】
船木誠勝のこのファイティングポーズたまりません【写真:柴田惣一】

切れ味鋭いキックなど打撃技のスピードにみじんの衰えもない

「永遠のサムライ」船木誠勝が正念場を迎えた。ノアの1・22エディオンアリーナ大阪第2競技場大会でGHCナショナル王者・拳王に挑戦するが、昨年2月に続いて2度目の挑戦となるだけに、今度こそベルト奪取しかない。

 1・5東京・後楽園ホール決戦で右ミドルキック1発、たった10秒で井上雅央を蹴散らした船木。この日、原田大輔を退けGHCナショナル王座V3を飾った拳王の前に仁王立ちし「もう1回だ」とばかり右手人差し指を突き立てた。

 拳王は「メチャクチャおいしい相手。どうしたらこのベルトの価値を高められるか? それは船木誠勝をもう一度、倒すことだ」と挑戦表明を受諾した。

 昨年2・12日本武道館決戦で、第3代王者・拳王のV5戦に挑戦者として臨んだ船木だったが、ドラゴンスープレックスに敗退している。約1年ぶりに第7代王者・拳王に再度、挑むことになった。

 実はGHCナショナル王座史には、船木と同世代のリビングレジェンドたちが名前を連ねている。初代王者は杉浦貴、第4代王者・藤田和之、第5代王者・杉浦、第6代王者・望月成晃である。

 ノアには昨年、ベテラン旋風が吹き荒れた。杉浦軍の杉浦、藤田、桜庭和志、M‘sアライアンスの武藤敬司、望月そして船木が大暴れ。武藤が潮崎豪からGHCヘビー級王座を奪ったのを始め、若き戦士・清宮海斗らを圧倒した時期があった。

 その後、現世代戦士が盛り返し、元旦1・1日本武道館決戦のGHCヘビー級、同ナショナルの2大タイトル戦は、中嶋勝彦、清宮、拳王、潮崎の4人が登場。この4人こそ拳王が言うように「今のノアのトップ戦線」であることは間違いないだろう。

 ぐっと押し返されてしまったベテラン戦士たち。このまま黙っているとは思えない。中でも船木のコンディションは全盛期そのまま。ほれぼれするようなボディー、切れ味鋭いキックなど打撃技のスピードにみじんの衰えもない。精悍(せいかん)な顔つきには年輪が刻まれ、いよいよ迫力を増している。

 思えば波瀾万丈のレスラー人生だった。1984年に新日本プロレスに入門したときから、将来を期待された逸材だった。UWFに移籍し藤原組を経て、パンクラスを設立。そのたびに旋風を呼び込み、注目を集めた。

 2000年5・26東京ドーム決戦では高田延彦が2度敗れたヒクソン・グレイシーにプロレスファンの思いを背負って挑んだ。敗れたものの、船木の勇姿は今でも語り草である。

 いったん引退しタレントとして活動していたが、07年に総合格闘家として復帰。09年からはプロレスのリングにも戻っている。ファイトスタイルは多彩を極め、数々のベルトを腰に巻いている。

 主なタイトルでも96年のパンクラス無差別級キング・オブ・パンクラシストに始まり、12年には全日本プロレスの3冠ヘビー級、14年にはZERO1の世界ヘビー級、15年にはリアルジャパンのレジェンドチャンピオンシップ、そして16年には超花火の爆破王にまで輝いている。

 ストイックさを醸し出しながらも、あらゆるファイトスタイルをこなす船木の魅力は奥深い。ノアの1・16宮城・仙台サンプラザ決戦でもファンキーエクスプレスのキング・タニー、モハメド・ヨネと潮崎とともにタッグを組み、杉浦、桜庭、藤田、ケンドー・カシンの杉浦軍と対戦。鮮やかな黄色のタイツを着こなし、桜庭にあびせ蹴りを叩き込むなど、万全であることを見せつけた。

「永遠のサムライ」はまだまだ最前線で闘い続ける。まずはノアマットでは初のベルトを目指す1・22大阪大会のGHCユニバーサル王座戦を見届けたい。

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