外国人が消えた東京・山谷地区の簡宿街 コロナ2年目試練の年末 生き残り策に成果も

新型コロナウイルスの発生から2年。宿泊業界は顧客離れで苦境に立たされている。東京・台東区と荒川区にまたがる山谷地区は、簡易宿泊施設(簡宿)が約120軒密集し、手ごろな宿を求めてかつては世界中からバックパッカーが殺到した。しかし、コロナの影響により、状況は一変。廃業や長期休業を余儀なくされる宿もあるなど、街の風景が再び変わりつつある。出口が見えない中、各宿泊施設はこのピンチをどう乗り切ろうとしているのか。現地から届いたのは切実な声だった。

三畳間に2人で泊まるデンマーク人【写真:帰山哲男さん提供】
三畳間に2人で泊まるデンマーク人【写真:帰山哲男さん提供】

コロナ2年目の窮状 廃業や長期休業の宿も

 新型コロナウイルスの発生から2年。宿泊業界は顧客離れで苦境に立たされている。東京・台東区と荒川区にまたがる山谷地区は、簡易宿泊施設(簡宿)が約120軒密集し、手ごろな宿を求めてかつては世界中からバックパッカーが殺到した。しかし、コロナの影響により、状況は一変。廃業や長期休業を余儀なくされる宿もあるなど、街の風景が再び変わりつつある。出口が見えない中、各宿泊施設はこのピンチをどう乗り切ろうとしているのか。現地から届いたのは切実な声だった。(取材・文=水沼一夫)

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 コロナ流行からもうすぐ丸2年。日本国内の情勢は落ち着いているものの、オミクロン株が世界中で猛威を振るうなど収束の兆しは見えない。山谷地区で代々、宿泊業に従事し、外国人も受け入れてきたエコノミーホテルほていやのオーナー、帰山哲男さんは「赤字。厳しい。一般の旅行者もほとんど来ない。来るとしたらリピーターさんや行商の人」と、台所事情を明かす。

 約70室で、7割ほどだった客室稼働率は「今は逆になっちゃっている」と逆転。スタッフを整理し、清掃日を減らすなど、コスト削減は可能な限り、実施した。オミクロン株の影響で、新規外国人の入国は停止されたまま。「外国人はほとんどゼロだよね。1か月に1人いればいいくらい。相撲の本場所に必ず来るアメリカ人もいたけど、予約自体もない」

 東京五輪のもくろみも外れた。帰山さんは五輪に向け、別館を改修した。予約は埋まっていたが、無観客に。キャンセル料は取らなかった。「レガシー効果で五輪後もお客さんが増えるということだったが……」。恩恵はいまだに得られていない。

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