【週末は女子プロレス♯29】コミカルヒールの第一人者は「千の技を持つ女」 前代未聞の引退試合から8年の今

2013年12月30日、東京・後楽園ホールにて前代未聞の盛大な引退興行が行われた。ハチャメチャすぎる引退試合については後述するとして、同大会で24年のレスラー生活に別れを告げたのは、プロレスリングwaveのGAMI(二上美紀子)だった。社長兼レスラーだったGAMIは現在、waveを運営する株式会社ZABUNの取締役として裏方に徹し、団体を支えている。現社長は一緒に旗揚げした桜花由美。たった2人で07年8月に船出したWAVE(当時)だが、団体誕生のルーツをたどればGAMIの引退計画にいきつくというから驚きだ。

自身のキャリアを熱く語ったGAMI【写真:新井宏】
自身のキャリアを熱く語ったGAMI【写真:新井宏】

引退試合のバトルロイヤルでまさかの序盤失格

 2013年12月30日、東京・後楽園ホールにて前代未聞の盛大な引退興行が行われた。ハチャメチャすぎる引退試合については後述するとして、同大会で24年のレスラー生活に別れを告げたのは、プロレスリングwaveのGAMI(二上美紀子)だった。社長兼レスラーだったGAMIは現在、waveを運営する株式会社ZABUNの取締役として裏方に徹し、団体を支えている。現社長は一緒に旗揚げした桜花由美。たった2人で07年8月に船出したWAVE(当時)だが、団体誕生のルーツをたどればGAMIの引退計画にいきつくというから驚きだ。

「私、8年前に引退しましたけど、実は2005年にやめるつもりやったんですよ。この年、地元の大阪でGAMILIBRE(ガミリブレ)という自主興行をやろうとなって、引退を考えていたので無理くりいろんな人に声かけて出てもらったんです。当時は自主興行ブームやったんやけど、まだまだ大阪では少なくて、メチャクチャお客さん入ったんですね。それでメッチャ盛り上がって、大会のエンディングでビールかけが始まったんです。そしたら、そのせいで会場のNGKスタジオが借りられなくなった。いまだから言える(苦笑)。しかも、引退発表するの忘れてた(笑)。今でも菊タローに言われますもん、『姐さん、あの日引退発表するんじゃなかったでしたっけ?』って。それ聞いて、そういえば忘れとったなあと(笑)。と同時に、あのとき気づいたんですよ。いろいろ準備しながら、私、裏方に向いてるやんって。それから何度か自主興行やるうちにイベント依頼とかも入ってくるようになって、自主興行やなくて団体できるんちやうかなあって。それで生まれたのがWAVE。ちょうどJDがなくなるってことで、(当時長期欠場中の)桜花に声をかけて、2人で旗揚げすることになりました」

 ビールかけとひそかな引退撤回が原点とも言える新団体。しかし観客動員に苦戦し、当初はすぐにつぶれるとやゆされていたものだ。それでも、11年にはZABUNを立ち上げGAMIは社長を兼任。引退後も団体は独自路線を掲げ、来年には旗揚げ15周年を迎えることとなる。GAMI個人はジャパン女子からスタートし、LLPW、アルシオン、フリーを経てWAVEにたどり着いた。そんな彼女の選手としての集大成が、「GAMI引退試合ほぼ70人ぐらい参加のバトルロイヤル」。前代未聞でハチャメチャすぎる引退試合、いや、引退パーティーとしたほうが適切だろう。

 当日はバトルロイヤルのみのワンマッチ興行。主役かつファイナルマッチのGAMIは一番手で登場した。ところが、序盤で里村明衣子に敗れ早くも失格してしまう。もはや、引退選手なしの引退試合…?

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