始球式での“天然ぶり”でも話題 女優・鳴海唯が語る、広瀬すずとの“3度目の初共演

12月17日公開の映画「偽りのないhappy end」(松尾大輔監督)で初主演を務めた女優・鳴海唯(23)。NHK連続テレビ小説「なつぞら」(2019年)では大ファンと公言する同い年の女優・広瀬すずとも共演、役者として日々演技の幅を広げている。一方、6月に横浜スタジアムで行われたプロ野球・DeNA-広島戦の始球式では、バッターボックスと反対のバックスクリーンに向かって投げようとし、しかもボールを持っていなかったという“天然ぶり”も話題に。若手女優としてさらなる活躍が期待される鳴海に、本作の見どころと舞台裏、私生活での素顔を聞いた。

映画「偽りのないhappy end」で初主演を務める鳴海唯【写真:荒川祐史】
映画「偽りのないhappy end」で初主演を務める鳴海唯【写真:荒川祐史】

始球式での“天然ぶり”も話題、自身とはまったく違う役柄への挑戦

 12月17日公開の映画「偽りのないhappy end」(松尾大輔監督)で初主演を務めた女優・鳴海唯(23)。NHK連続テレビ小説「なつぞら」(2019年)では大ファンと公言する同い年の女優・広瀬すずとも共演、役者として日々演技の幅を広げている。一方、6月に横浜スタジアムで行われたプロ野球・DeNA-広島戦の始球式では、バッターボックスと反対のバックスクリーンに向かって投げようとし、しかもボールを持っていなかったという“天然ぶり”も話題に。若手女優としてさらなる活躍が期待される鳴海に、本作の見どころと舞台裏、私生活での素顔を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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――いじめや風俗、死など重いテーマを扱った初主演作だが、率直な感想は。

「脚本を読んだときはすごく難しいテーマだなと思いましたし、これを自分が演じきれるのかなって不安もありました。ここまでシリアスな役はやったことがなかったですし、自分自身が根っから明るい人間なので、苦戦した部分もあります。松尾監督は納得がいかなければ何回でも撮り直すという方。『こういう風にやってみて』と外面のことを言えば簡単に済む話でも、あえてそう言わず、自分で考えさせる演出をしてくださって、そのおかげで私も深いところまでお芝居ができたと思う。完成した映像を見てようやく、細やかな感情の描写を表現することができたかなと思いました」

――松尾監督は「役と自分を重ねられる人」を起用したというが、エイミと自身の共通点は。

「私自身はエイミとは全然違うと思うんですけど、ひとつ挙げるとするなら人目を気にして自分を取り繕ってしまうところ。背伸びしてしまうというか、人からよく見られたいという性格は少し似ているのかなと思います。監督は、まだ何も経験がないからこそ、役に染まることができる人をキャスティングしたとおっしゃっていた。経験が浅いがゆえに出せる、そのときしかできないお芝居が見たかったと。『役と自分を重ねられる人』というのはそういう意味なのかなと思います」

――始球式での“天然ぶり”も話題だが、私生活での素顔は。

「えへへ、そうですね。自分では天然とは思ってないですけど、周りからはよく言われます。昔から人を笑わせるのが好きで、仲のいい友達の前では常にボケ担当。地元では完全にいじられキャラです。始球式は本当に緊張以外の何物でもなくて、確か2万人くらいお客さんが入っていたんですけど、あそこまで大勢の人の前に出たことがなくて。役者って意外とカメラの前ばかりで、舞台でも2万人はまずない数字。もともと野球はあまり見たことがなくて、事前に勉強していったんですけど、緊張で水の泡になってしまいました……」

――過去を捨てて上京した役だが、大学を中退して上京した自身と通じるところは。

「何かを断ち切って上京したってところは似てるのかな。エイミの場合は過去から逃げてきた感じですが、私は早く次のステップに行きたいというどちらかというとポジティブな動機。小学生の時からこの世界に憧れていて、『ちはやふる』のエキストラ出演をきっかけに、ずっと我慢してきたものが沸騰してしまって。大学を辞めるか休学かとなったとき、周りからは『休学した方がいいよ』って言われたんですけど、それだとなんか保険をかけてるみたいで。今行くしかない、ここで行かなかったら一生後悔するっていう感じで、不安はなかったですね」

広瀬すずとは握手会、エキストラを経て、3回目で同じ女優として共演

――「なつぞら」ではエキストラ出演した「ちはやふる」で主演だった広瀬すずと共演。広瀬に対する感情に変化は?

「もちろん憧れの女優さんなんですけど、それ以前にただただ『大好き!』『ファン!』という感じで、業界の大先輩というより一般人から見た大好きな女優さんという意味での『好き』。私、握手会にも行ってるんです。握手会でお会いして、エキストラでお会いして、3回目での共演だったので、“生広瀬すず”を見るのは初めてではなかったんですけど、まさかお仕事でご一緒させていただけるなんて思ってもみなかった。本当に自分はツイてるなと。

 一ファンとして好きな気持ちは今も変わらないですが、同じ女優としてお会いして、舞台裏での姿を見れたのは大きかったですね。カットがかかってもずっと笑顔を絶やさず周りのスタッフさんに接してて、私みたいなペーペーにも『一人暮らしなんですかー?』とか『普段ごはんどうしてるの?』とか本当に他愛もない会話をして気にかけてくださって。カメラが回ってないところでの座長としてのすばらしさを間近で見れて、トップの女優さんってここまで気が回るんだなと学ばせていただいた。

 私は撮影期間が少なくて、『好きです』という思いを伝えることしかできなかったんですけど、もしまたご一緒できる機会があったらもっとお話したいなと思います」

――本作でも同年代の役者と多数共演しているが、刺激を受けた点は。

「今回の作品に出ている女優さんは一人一人個性が強くて、1人も雰囲気がかぶってる人がいない。それぞれのお芝居のアプローチの仕方も違って、私の受けの芝居も変わってくる。それはすごく貴重な経験でした。(仲)万美さんとは鬼気迫るシーンが多く、魂のぶつかり合いみたいな芝居の連続だったんですけど、カットがかかると本当に優しくて明るい方で、ずっとシリアスなシーンでも気が落ち込まずに乗り切れたのは万美さんだったからだと思います」

――あらためて本作の魅力を。

「登場人物がそれぞれ人には言えない悩みを抱えていて、過去からずっと逃げ続けてきたエイミがそういう人たちと関わっていくことで、過去に追い詰められ逃げられなくなっていくというお話。悩みを抱えている方が見て、自分だけじゃないんだと思っていただければ、少し救われるのかなと思います」

――自身の人には言えない悩みは。

「私の人には言えない悩みですか? ありますよ、いっぱい。でも言わないですよ、『人には言えない悩み』ですから(笑)」

□鳴海唯(なるみ・ゆい)1998年5月16日、兵庫県西宮市出身。小学生の時に上野樹里主演のドラマ「のだめカンタービレ」を見て女優を志す。地元関西の大学在学中、広瀬すず主演の映画「ちはやふる -結び-」のエキストラ撮影参加をきっかけに、大学を中退して上京を決意。事務所所属後、2018年に映画「P子の空」で女優デビュー。19年度前期のNHK連続テレビ小説「なつぞら」では柴田夕見子役のオーディションに落選するも、柴田明美役に合格し主演の広瀬と共演を果たす。初主演作となる映画「偽りのないhappy end」が12月17日公開。

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