相川七瀬が語る3児の子育てに奮闘の20年 一緒にカラオケも「NiziUは普通に歌えますから(笑)」

12月に出演する音楽フェス「ママホリ」はどんなステージを見せるのか【写真:松蔭浩之】
12月に出演する音楽フェス「ママホリ」はどんなステージを見せるのか【写真:松蔭浩之】

私と同じ大学生の長男、師匠の後ろでドラムを叩いた次男、目指すはリケジョの長女

 今年20歳になった長男は私と同じ大学生です。子育てでいうと自分の手を離れましたが、親としての心配事は今も昔も変わらなくて、小さいころとはまた違う新たな心配事がやってくるんです。きっと皆さんも経験があると思いますが、やっぱり初めての子どもって転ばないようにすごく大切に目の前のちょっとした障害物も取ってあげてきたので、振り返ると自分で選択するすき間をあまり多く与えてこなかったのかなって思うんです。

 長男はすごく穏やかで優しい分、感受性が強くて周りに過敏になって、一時期、学校に行きたくないと悩んだ時期もありました。私は「行きたくなければ行かなくていいし、無理して心が壊れてしまうくらいなら学校を変われば良いんだよ。そこに執着して生きる必要はない」といつも彼に言ってました。「お母さんみたいに簡単に割り切れるような人ばかりじゃない」ってぶつかったこともいっぱいありましたし。でも人生はいつでも何回でもやり直せるし、何事もやり切らないといけないことなんてない。今でも子どもたちには常にそう言い続けています。つらくなったときは躊躇(ちゅうちょ)なく助けてあげるから必ず言いなさいってね。その後、長男は海外に留学して、小さいころから習っていた水泳と空手のおかげで英語が苦手でもすぐに向こうの生徒さんたちと仲良くなれたみたいで、「習い事を続けさせてくれたおかげだ」と話してくれました。

 それから彼も私も大学生になって、息子と同い年の同級生と話していると面白いことに気が付いて、私が若いころ、親やその世代の人たちに押し付けられてきた価値観に「なんて古いんだろう」って思っていたんですが、同じように私たち親世代も気付かないうちに古い価値観を子どもたちに押し付けてしまっていたんだなって。そう考えたら自分が受けてきた教育のひな形みたいなものを子どもたちに押し付けるような時代じゃなくなってきているよねって。それを私たち世代は自覚しておかなくちゃいけないとあらためて実感しました。私のような昭和世代の頭の中と、平成生まれのデジタルネイティブな人たちの頭の中ってそもそも違いますしね。これまでにない可能性が広がっているので、子育ても教育もあらゆる可能性にアクセスできるんだっていうことを覚えておきたいと思います。

 娘は今年9歳で3人の中では一番しっかりしています。算数が大好きで将来は理数系の学校に進みたいらしく、私は苦手なんで彼女がうらやましいですね。私みたいに歌手になりたいっていうのはないみたいです。でも歌が好きで一緒にカラオケに行くこともあります。最近、テレビ番組でいろんな人のカバーをするようになったので、カラオケボックスで練習することも増えたのですが、「一緒に連れていって!」とよく言われます。一緒だと練習できないから、子どもたちは別の部屋に入ってもらって、時々顔を出したりしながら歌っています。やっぱり子どもたちは流行りの歌を見つけるスピードがものすごく早いですよね。TikTokやYouTubeで知らないものをいつも見せてくれて。トレンドに敏感でいられるのは子どもたちのおかげで、NiziUは普通に歌えますから(笑)。私の古い歌も好きだと言って歌ったり聞いてくれたりしますね。

 次男は14歳で、最近、ZARDにハマっています。「あんなにZARDがすごい歌をたくさん出しているなんて知らなかったよ」って、とても好きみたいです。私たちの青春時代に聞いていた曲を彼らが素直に良いと思ってくれることがうれしくて、それ以上に「織田哲郎さんて本当にすごいんだね」って彼が言ってくれたとき、自分がほめられるより私の師匠をほめてくれたことがめちゃくちゃうれしくて、「分かってるじゃーん!」て(笑)。

 次男は音楽が好きでドラムを叩いていて、今回のツアーで織田さんと初めてステージ上でセッションさせてもらいました。演奏を終えて織田さんから「なかなか良いドラムを叩くね」って言葉をかけてもらったのですが、思うような演奏ができなかったみたいで終演後、悔しくて泣いてましたね。「次はもっと良い演奏をします!」って織田さんと約束していました。そんな師匠と息子のやりとりを横で見ていた私は思わずニヤリとしてしまいました(笑)。いつか私の後ろでドラムを叩く日が来たら面白いかもしれないですね。

 最近、彼はギターも始めてようやく音が鳴るようになってきたんですが、それがYouTubeのギター教室みたいな動画を見ながら練習しているんですよ。私たちの時代では考えられないことで、これからの子どもたちは本当に可能性が無限大にあるなって思いますね。

 長男は最近あまり表には出ていませんが、コンサートの物販を手伝ってくれたりしていますね。スタッフやファンの皆さんから「大きくなったね」って言われるのが照れくさいって言ってました(笑)。でも事実としてこういう仕事を親がしていて、良くも悪くも注目される世界にいる子どもたちですから。それは彼らにとって生きづらいと思うこともあるだろうし、学校でからかわれたりしたこともあったかもしれません。でもそれもすべてひっくるめて相川七瀬のもとに生まれてきた意味があるんだって思っています。

 私自身こうやって長い間、母親をやっているからこそ気が付いたこともたくさんあって、それは1人でも2人でもなく3人いたから分かったんです。長男の子育てで気付いたことを次男にしてあげる。次男で気付いたことを娘にしてあげる。そして3人そろったところでようやく気付いたことを3人に与えてあげる。そんな母親でいられることに感謝しています。

 12月に、音楽フェス「ママホリ2021」に参加させていただきます。私が長男を生んだ20年前って、子育てしながらステージに立つ女性シンガーってほとんどいなかったんです。当時だと私と安室(奈美恵)ちゃんくらいだったかも。それが今どんどん時代が変わって、お子さんがいてもすぐに社会復帰できて、ママとしても社会人としてもこれまでのキャリアを生かせるような時代になりましたよね。それでも今も昔も変わらずに子育ては大変ですよね。そんなときに私たちの歌を励みにしてくださっているファンの皆さんに「明日も頑張ろう」って思ってもらえるような歌を歌いたいですね。私にとっても皆さんにとってもいくつになっても大切な時間、絶対に戻ってこないからこそ悔いのない楽しいステージにしたいです。

□相川七瀬(あいかわ ななせ)1975年、大阪府出身。95年11月織田哲郎プロデュースにより「夢見る少女じゃいられない」でデビュー。5thシングル「恋心」はミリオンセラーを記録した。2001年に長男、07年次男、12年に長女を出産。現在、國學院大學の現役大学生。12月11日に品川ステラボールで開催する音楽祭「ママホリ2021~Genking Live」に中村あゆみ、NOKKO、MAX、hitomi、土屋アンナらと出演。

相川七瀬公式HP:https://www.nanase.jp/
ツイッター:https://twitter.com/nanase_aikawa
インスタグラム:https://www.instagram.com/nanasecat/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCDmW7aoLTqCTMrNHzvOpC4Q

音楽祭「ママホリ2021~Genking Live」
日時:2021年12月11日(土)開場午後3時/開演午後3時45分
※午後6時45分終演予定
会場:品川プリンスホテル ステラボール
料金:全席指定9900円(税込み)
出演:相川七瀬、土屋アンナ、中村あゆみ、NOKKO、hitomi、MAX(REINA&MINA)
※男性のみでの入場は不可。女性のみ、もしくは女性を含むグループが条件
主催:株式会社WOWOWプラス、株式会社K’s
ママホリ公式HP:https://mamaholi.com/
Facebook:https://www.facebook.com/mamaholi2021
ツイッター:https://twitter.com/mamaholi2021
インスタグラム:https://www.instagram.com/mamaholi2021/

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