自然災害や台風に便乗した損害保険トラブル急増 「無料で直せる」騙る悪徳業者の手口

日本損害保険協会作成の注意喚起を呼び掛けるチラシ【写真:日本損害保険協会提供】
日本損害保険協会作成の注意喚起を呼び掛けるチラシ【写真:日本損害保険協会提供】

知らず知らずのうちに保険金詐欺に加担させられているというケースも

「自然災害による保険請求は3年が時効になります。2018年は保険金支払額が過去最高となった台風21号をはじめ、台風24号、西日本豪雨など特に自然災害の多かった年。『今ならまだ間に合います、これを逃すと保険が使えませんよ』という勧誘も増えており、2020年は前年と比べれば自然災害が多くはなかった年でしたが、相談件数は倍増しています。もちろん、実際に当時の被害で破損した箇所なら保険金は支払われます。ただ、保険請求を代行させることで、経年劣化で破損した箇所や、場合によっては業者にわざと破壊された箇所を請求され、知らず知らずのうちに保険金詐欺に加担させられているというケースもあります」

 最近ではSNSやYouTubeなどで、契約者に不正請求を持ちかけるノウハウをシェアしたり、動画から申請サポートを受け付けるケースもある。日本損害保険協会では、災害発生時に災害救助法の適用地域に新聞広告を掲載し、各種損害保険の継続契約手続きや保険料の支払いの猶予、保険金請求の受付窓口などの案内を行っているが、「保険の本来の目的は、契約者が被害の復旧をするのに必要な金額を保険金としてお支払いすること。保険請求のために代行業者に高額な手数料を支払うことで、本来の修理ができないといったことを懸念している」という。

 さらに「保険金の請求はしっかりしていただきたいですが、保険は公共性の高い相互扶助の制度であり、その仕組みを維持していくためにも、消費者自らも、意図する・しないに関わらず、このような不正請求に加担しないようご注意していただければ」と担当者は訴える。

 災害に遭った地域での火事場泥棒的な行為はもちろん許されないが、保険のシステム自体を崩壊させないためにも、代行業者の横行を防いでいく手立てが必要だ。

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