RIZINバンタム級GP大予想 格闘技界で20年間生き残ってきた「DEEP」佐伯代表を直撃

坂田亘の引退試合会見の様子
坂田亘の引退試合会見の様子

小池栄子の旦那・坂田亘とのエピソード

 佐伯代表には、田村以外にもう1人、印象深い人物がいるという。

「印象深いといえば、変な意味では坂田亘選手になるじゃないですか」

 坂田亘とは、女優・小池栄子の旦那として知られる元プロレスラー。前田日明氏が立ち上げたリングスで1994年にデビューし、01年にリングスを退団してからはDEEPを含め、さまざまな団体を渡り歩いた。

「あれもホントにフリーになったときは態度が悪かったもんね。いばった感じでツンケンしてたから。だから1回、田村さんと一緒に、『お前はなんで、そんなにツンケンしているんだ?』って言ったことありますもんね」

 佐伯代表はそう当時を振り返ったが、その際に坂田は「関係ないヤツにコビを売りたくない」と答えたという。

「それを聞いて、確かにな、と思ったことありましたよ」

 坂田といえば、16年大みそか、さいたまスーパーアリーナでの「RIZIN」では、桜井“マッハ”速人を相手に引退試合を行っているが、この際には、現役バリバリのファイターに対して気を使っているように見えた。この話を佐伯代表に振ると、思い出したといった面持ちで次の話を始めた。

「言っていいのかな。あのとき、実はミノワマン選手とマッハ選手とどっちがいい? ってことになって。(坂田は)マッハ選手を選んだけど、本当ならミノワマンのほうが勝てる確率は高かったじゃないですか。それを、あえて選んだのは分かるんですけど、会見で、坂田選手らしさがなかったよね。逆に栄子ちゃんがその役割をやった感じになって。かわいそうに。そういうときこそ、生意気なことを言えばいいのにさ」

 佐伯代表の言うとおり、なぜか坂田はあのとき、自分のキャラを忘れていたのか。まったくらしさが見えなかった。結果は2R2分37秒、TKOでマッハが勝利したが、最後までスッキリとした「場面」が見られなかったのが残念だった。

「それを含めて栄子ちゃんが立派だと思いますよ。どこまで行っても」

 裏を返すと、最後までスッキリしなかったのが実に坂田選手らしいとの見方をしていた関係者もいたが、現在は嫁の事務所の社長として確固たる地位を築き上げているのだとしたら、それはそれでよかったのかもしれない。

女子だけの大会を定期開催しているのは世界で2カ所だけ

 実は9月4日には新宿フェイスで、現在、「最も華麗なDEEP」とも呼ばれる「DEEP JEWELS 34」が開催される。これは女子の試合だけに特化した「DEEP」になるが、当日は6試合が行われることが決まっている。

「女子のMMAにしても、年間に4回、5回と女子だけの大会を開いているのは、ウチと(米国の)『Invicta FC』だけ。他は男子の大会に女子の試合が何試合か組まれるか年に一度女子大会やっている感じですね。実際、その中で今、『RIZIN』のアトム級王者の浜崎朱加選手や、ハム・ソヒ選手も育ってきたわけだし。僕としては、ウチが草分けだと思ってますよね」

 20年を越え、本戦100回を越え、四本ロープのリングから金網のリング、そして男子・女子を問わずに進化し続ける「DEEP」。

「ウチは2014年の大みそかにさいたまスーパーアリーナでも開催したけど、とくに大きな大会をやりたいとは思っていないんです。だったら気軽に試合を見てもらえるように、無料の大会をやったりしたい。実際、『CLUB DEEP』という大会は、地方のCLUBにリングを組んで、観客がオールスタンディングでリングにかぶりついて見れるようにしていたんですよ」

 過去には船橋のオートレース場でリングを組んだことも。

「あのとき、その場にいた人の注目を集めていたのは、男子よりも女子の試合だった。思わず見ちゃうんでしょうね。これまでも屋外で試合を組んだこともあったけど、そういうことはこれからもやっていきたい。一つのやり方にこだわらずに続けていきます。うまくやれば必ず、特に女子はビジネスチャンスはありますから」

 そう言って佐伯代表は、今後も試行錯誤を続けていくことを明言したが、ここで一つ素朴な疑問。最近でも交渉でもめる選手はいるのだろうか?

「もめる選手はいますけど、そこまで深く入らないじゃないですか。結構、あの頃はお互いに地を出して、交流があってっていうのがあったけど、今はドライっていうか、そこまでズブズブじゃないところがあるから」

 よく言われるように、昨今は人間関係が希薄になってしまった、ということなのか。だとしても、熱いリング上を作り出すためには主催者にもそれなりの熱が必要なことを佐伯代表は熟知している。そうでなければシビアな格闘技界で20年も生き残れるはずがない。佐伯代表には次なる20年に向けて、「DEEP」の名のごとく、より深く突き進んでもらいたい。

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