品川ヒロシ監督が吐かせた正論「カメラに追いかけられるのが嫌だったら、やめればいい」

「ドロップ」「漫才ギャング」などで知られる品川ヒロシ監督の長編第5弾映画「リスタート」が16日から全国公開された。北海道・下川町を舞台にシンガー・ソングライターを志すヒロイン(EMILY)の再出発を描いた青春ストーリー。映画で初めてクラウドファンディングによる出資を募ったが、そこには意外な事実があった。

映画「リスタート」について語った品川ヒロシ監督【写真:ENCOUNT編集部】
映画「リスタート」について語った品川ヒロシ監督【写真:ENCOUNT編集部】

長編第5弾映画「リスタート」でシンガー・ソングライターの再出発を描く

「ドロップ」「漫才ギャング」などで知られる品川ヒロシ監督の長編第5弾映画「リスタート」が16日から全国公開された。北海道・下川町を舞台にシンガー・ソングライターを志すヒロイン(EMILY)の再出発を描いた青春ストーリー。映画で初めてクラウドファンディングによる出資を募ったが、そこには意外な事実があった。(取材・文=平辻哲也)

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 本作は品川監督にとって、初のクラウドファンディングによる映画プロジェクトだ。2019年にクラウドファンディングサイト「モーションギャラリー」で、目標額500万円で募集をかけたところ、700人からその約2倍の出資が集まった。しかし、品川監督は「クラウドファンディングをやりたかったわけじゃないんですよ」と明かす。

 自身の自伝的小説を原作としたデビュー作「ドロップ」(09年)は興収20億円の大ヒット。佐藤隆太&上地雄輔主演の「漫才ギャング」(11年)、藤原竜也主演のクライム・サスペンス「サンブンノイチ」(14年)、哀川翔主演のゾンビもの「Zアイランド」(15年)はいずれも製作費2億円以上のメジャー映画だ。

「製作費はいままでの20分の1だったんです。(会社から)『SDGsをテーマに、下川町と吉本興行が映画を作るんだけど、それを品川がクラウドファンディングで撮るってどう?』って、言われて、『いいですね』と答えたんです」

 近年では、お笑い以外の活動が目立つが、長編映画の公開作としては「Zアイランド」以来6年ぶり。フォークデュオ「HONEBONE」の女性ボーカル、EMILYを主演に迎えた初の女性主人公という意欲作だ。再出発を意味する「リスタート」はまさに品川監督の心境の吐露、決意表明にも見えた。

「そうかもしれないですね。この間、ミュージックビデオをやったり、10話分書いたドラマの企画自体が流れちゃったりとか、いろんなことがあったんです。それに製作費のことは、お客さんにはまったく関係ない。お客さんは何百億円使った『スター・ウォーズ』にも、1000万円の映画にも同じ額を払うわけで、『1000万円にしては面白かったね』とならないじゃないですか。だから、絶対に映像のクオリティーを下げたくないという気持ちもあったので、それが台本に出たかもしれない」

 インディーズ映画には製作費1000万円規模は少なくないが、地方ロケ映画となれば、話は別だ。「何度も、お金の話になっちゃうんですけど、東京を舞台にした映画で1000万円ならまだしも、下川町までスタッフ、キャストを連れて行くわけです。交通費も宿泊代もかかる。そういう意味でも相当きつかった」と明かす。

 そんな品川監督の熱い思いを仲間やスタッフが支えた。「ブラックマヨネーズ」の小杉竜一、「キングコング」の西野亮廣は自らクラウドファンディングに参加し、出演まで熱望した。「普通、映画に出るなら、ギャラが発生するものです。それは友達であっても同じこと。それが、クラウドファンディングでお金出して、自分で出たいって言ってくれるなんて。スタッフの人たちも絶対に大変なはずなんです。睡眠時間3時間、不眠不休でやってくれて、さらにはクラウドファンディングにも参加してくれた。いつか恩返ししたい」

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