品川ヒロシ監督が吐かせた正論「カメラに追いかけられるのが嫌だったら、やめればいい」

厳しい表情で撮影現場を指揮する品川ヒロシ監督【写真:(C)吉本興業】
厳しい表情で撮影現場を指揮する品川ヒロシ監督【写真:(C)吉本興業】

コロナで公開が延期、プロモーションできない、地方にもいけない…どん底から再出発

 ヒロイン・未央はシンガー・ソングライターを志しながら地下アイドルグループのメンバーとして活動していた。しかし、恋人の有名アーティストといるところをパパラッチに激写され、グループをクビに。さらにはその恋人の裏切りまで発覚し、失意のまま故郷の北海道・下川町へと戻り、同級生たちや雄大な自然に励まされていく……。

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「映画は28歳の縮図のつもりで描きました。登場人物のセリフには僕の意見が入っています。『カメラに追いかけられるのが嫌だったら、やめればいい』というセリフもあります。自分も芸人だったりしますが、立場が違えば、正論と言えば、正論だなと思います」

 この映画公開もどん底からの再出発だという。「撮っている時は、面白いものさえできれば、『みんなに見て』と言うだけだからと思っていたら、公開がコロナで1年延期になってしまった。お金がないから、テレビ、ラジオでプロモーションできない。地方にもいけない。主演のEMILYはTシャツを作って、自分で会場を押さえて、上映会をやってチケットを手売りしているんです。主演女優が自らやるなんて、熱くなりますよ。でも、コロナで大変なのは映画だけではない。そんな人たちに映画を見てもらって、頑張りたいと思ってもらえたら」

 自身の監督作品で主人公を女性にしたのも初めて。「僕の映画は、アクションやセリフのやりとりを面白いと言ってくださる方が多いのですが、『今までの品川の映画っぽくない、映像がきれい』と言ってもらえた。人間を撮りたいというのは、よくできたんじゃないかな。やっぱり、新境地って言ってもらえると、うれしいですね」。

 映画は大変だったから、見返りがある、というものではない。しかし、品川監督は今後も監督業を中心に活動していく考え。「僕は単なるルーティンが苦手なんだと思います。映画はしんどいです。作り終わると、しんどいことから開放されて、次の映画に進む。それがやめられないのでしょうね。作っている時は雨を降らせたいとか、もっと車をぶつけてみたいとか、そういう思いはあるけど、できないことも多い。そういう時にどうすればいいかと、いろいろと考える。きっとM気質なんでしょうね」

 6年ぶりの新作は、品川にとって、監督としての“リスタート”を飾る作品となる。

□品川ヒロシ(しながわ・ひろし)1972年4月26日、東京都出身。95年に庄司智春とお笑いコンビ「品川庄司」を結成。2009年には自身の自伝的小説を原作とした「ドロップ」で長編映画監督デビュー。11年には原作・監督・脚本作品第2弾として「漫才ギャング」が公開。主な監督作品には「サンブンノイチ」「Zアイランド」「異世界居酒屋『のぶ』」「半径1メートルの君~上を向いて歩こう~ 『戦湯~SENTO~』」など。

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