“悪夢の戦犯”KENTAが新章のメインもバッドエンドに 新日本大田区大会を振り返る

IWGP2冠王者の内藤哲也【写真:山口比佐夫】
IWGP2冠王者の内藤哲也【写真:山口比佐夫】

新日本に呼んでくれた柴田勝頼を利用する“裏切りのKENTA”

 KENTAは昨年のG1から新日本に参戦。リーグ戦はアメリカで開幕したが、日本での初戦は大田区だった。ここでKENTAは棚橋を破りリーグ戦を連勝発進。あいさつ代わりのマイクアピールで、”新生KENTA”をファンの心に刻んだのだ。その半年後、KENTAはブーイングのターゲットとなり大田区に帰ってきた。振り返ればG1最終戦でも、衝撃のアップセットを引き起こしている。新日本に呼んでくれた”ソウルメイト”柴田勝頼を裏切り、まさかのバレットクラブ入り。それだけに、”裏切りのKENTA”と言われても仕方ないだろう。が、現在のKENTAはブーイング上等、むしろエネルギーに変換させている。この日も終始、超満員札止めの客席からブーイングを浴びつづけていた。

 試合はSANADAがジェイをフォールしたものの、その後の光景は勝者と敗者が逆転。イスで殴打されリング上で大の字になっていたのは、内藤とSANADAの方だったのだ。

 鳴り止まないブーイングの中、KENTAは内藤の口調を真似て「昨日の東京ドームは楽しんでいただけたでしょうか?」とマイク、さらなるヒートを買ってみせた(「KENTAは帰れ!」のコールに「レッツゴーKENTA!」のチャントも発生したが、これはタイチのパロディだろう)。そして、「なにが言いたいかっていうと、この2本のベルトをいただいちゃうよってこと!」と、その真意を口にした。やはりKENTAは2冠狙いでドームのエンディングに最大級のインパクトを残したのである。

 ダメージの大きい内藤はバックステージで、「遊んでやるよ」と一騎打ちでの対戦を受諾した。が、2本のベルトを懸けるかどうかは新日本の判断に委ねるとしている。実際、KENTAはドームでNEVER無差別級のベルトを失っている。2冠をかけた”4強”にも入っていない。もしもNEVERを防衛した上での襲撃ならば、3冠を要求したのだろうか。あるいはNEVERを”卒業”と認識し新たなターゲットを定めたのか。さまざまな憶測が飛び交うであろうKENTAの言動。内藤は以下のようなコメントも残している。

「メイン後に入ってくる。それは素晴らしい行動だよ。勇気のいる行動だと思うよ。でもそれをやっただけで、なんでもかんでも認められてしまうほど、オレたち4人が作った伝説はヤワだったの?」

 オカダ、飯伏、ジェイ、内藤によるイッテンヨン&イッテンゴは死闘につぐ死闘だった。その末に、内藤ひとりが辿り着いた史上初の偉業。その頂をぶち壊したKENTAに、2冠挑戦は認められるのか。内藤は団体の判断しだいでは「不信感が沸いてきてしまうよね」ともコメントした。これは一方的になりかねない決定に予め釘を刺す形だ。ダブルタイトル戦はファン投票に委ねられたが、今回は……?

 なお、過去のアフタードーム同様、今大会もサプライズが続出。ジョン・モクスリーが現れ鈴木みのるに前日のリベンジ。やはり両者によるIWGP USヘビー級王座戦は避けられそうにない。鷹木信悟がNEVER無差別級新王者の後藤をタッグで破り挑戦を表明、この日の絡みからしても激闘必至だ。また、チームを組んだ棚橋&飯伏&ジュース・ロビンソン&デビッド・フィンレーが試合後に対峙。ジュース&フィンレーのIWGPタッグ王座に棚橋&飯伏で挑戦か? 2020年も、新日本の闘いから目が離せない!

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