瀧内公美「SNSばかりがあなたの価値じゃない」“裏垢”にのめり込む女性を熱演して感じたこと

瀧内公美はSNSの裏アカウントにのめり込んでいく女性を演じた【写真:(C)2020 映画『裏アカ』製作委員会】
瀧内公美はSNSの裏アカウントにのめり込んでいく女性を演じた【写真:(C)2020 映画『裏アカ』製作委員会】

「SNSばかりがあなたの価値じゃないよ」

――非常にリアルなキャラクター像が伝わりました。SNS社会には、実物の人格とSNSで見せるキャラクターの境目が分からなくなるような怖さもあると思います。それに、もしかしたら、実際に真知子のような女性がいるのではないのかと思わせる作品でした。

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「SNSは日常に当然あるものになっていますよね。それだけに、これは身近な話であるのだと思っていただきたいため、リアリティーを持ってやらないといけないな、と思いました。私自身、『フォロワー数でお仕事に発展していくこともあるよ』と言われたこともあったんです。でも、私は、それは一過性のものであって私には必要がない、と思ってしまいまして。SNS上の自分ってなんだろう、と。SNSにどこか惑わされ、悩まされることもあるんじゃないか。真知子を自分に置き換えたとき、どう感じるのかを意識しましたね」

――重厚な人間ドラマの仕上がりです。全体の撮影はどのように行ったのでしょうか。

「このシーンはどういう風に表現をして見せていこうか、何度も話し合いやリハーサルをしながら進めていきました」

――監督、共演者との話し合いをまじえて、丁寧に作り込んでいったということですね。

「日々の生活実感に根差して丁寧にやろうという形で進めました。今回の作品が何か大きな物語になってしまうと、見ている人は共感しづらくなってしまう。共感していただくことがすべてではないのですが、途中で観客の方が、『そんなことがあるわけがないだろう』と思ってしまわないように。テーマが身近なものであるからこそ、丁寧に作り上げていかないといけない。そんな思いでした」

――真知子は一度堕落してしまい、再生していきます。

「スマホが関わる最後のシーン。それでこそスタートだなと感じたので、すごく大事な場面だと思っています。SNSばかりがあなたの価値じゃないよ、また自分の内面に自分自身で目を向けて見つめていってほしいなという気持ちになりました」

□瀧内公美(たきうち・くみ)1989年10月21日、富山県生まれ。2012年に本格的に女優としての活動を開始する。映画「グレイトフルデッド」(14年、内田英治監督)、「彼女の人生は間違いじゃない」(17年、廣木隆一監督)に主演。19年には「火口のふたり」(荒井晴彦監督)で、第93回キネマ旬報主演女優賞、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した。今秋「由宇子の天秤」(春本雄二郎監督)が公開予定。

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