震災10年「漂流ポスト」管理人が訴え 「漂流ポストは心の復興。区切りをつけるつもりはない」

「現地の人間として、忘れないでほしい」

「カフェに遊びにいらっしゃる方は、能天気に楽しく遊びにいらっしゃる方もいらっしゃるんです。涙を必死にこらえながら来る方も一緒になってしまうので、そういう方たちに一粒の涙を流せるスペースを作ってさしあげようと何年後かに『漂流ポスト小舎』と名付けた6畳位のログハウスの小舎をひっそりしたところに設置して、手紙の閲覧をしたり、そこでお手紙を書いたり、そういう境遇の方が初めてお会いした方とお話ができる場所を作ってあります」と続けた。

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

 今までに受け取った手紙の数は約800通で、森の小舎に手紙関係で来る人は1日10人に上るという。

 一方、清水監督は「岩手にボランティアに行って、瓦礫(がれき)の撤去などをしたんですけれど、避難所でのお手伝いがメインでした。被災者の方は仲良くなったら心情を話してくれるのですが、『明日は普通に来ると思っていたけれど来なかった』という当たり前になっていた日常の大事さを話してくれたんです。それは震災だけでなく私たちが生活していることにもつながると思ったので、そういったことを色々な人が考えてくれることが震災から得た教訓を忘れないことにつながるかと思い、被災者心理を訴えていきたいと考えました」と述懐。

 漂流ポストを題材にした映画について、「被災者の方の心理を描く際に、題材選びを慎重にしなくてはいけないと思った時に、テレビのドキュメンタリーで漂流ポストについて知りました。手紙を書くということが自分と向き合うということにつながる。被災者の方は現実と向き合えない方が多いということもボランティアをして感じたことでした。過去と向き合って一歩踏み出すことは被災していない人も怖いことだと思うんですけれど、背中を押せるような映画を作りたいともともと考えていたので、そういう役割をしている漂流ポストという題材を見た時に、これだったら被災者の方の心理も考慮して作品を作れるのではないかと思いました」と当時の心境を打ち明けた。 

 質疑応答で、赤川さんは、東日本大震災から節目の10年の公開となったことについて、「5年、10年というのはメディアの方が作っていることで、漂流ポストは心の復興なんです。この方たちには5年も10年もなく、毎日闇から抜け出そうと必死になっています。区切りをつけるつもりはありません」と強調。

 清水監督も「10年というところでの公開になりましたけれど、被災した方はこの先も現実に向き合っていかなくてはいけない」と話した。

 最後に赤川さんは、「現地の人間として、忘れないでほしい。これだけの苦しさを抱えた方たちがまだまだおいでです。ですので、忘れないでいただきい」と訴えた。

次のページへ (3/3) 【動画】数々の賞を受賞している話題の映画「漂流ポスト」予告編、実際の動画
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください