SUGIZO、亡くなった恩師「DEAD END」足立祐二さんに捧げる魂のギター「大切なメッセージを込めた」

未来に残る作品を作っていきたいと語った【写真:田辺 佳子】
未来に残る作品を作っていきたいと語った【写真:田辺 佳子】

大切な人へ捧げる曲「YOUさんが弾いたままのフレーズを弾かせてもらった」

――今作では大黒摩季さんやmiwaさん、アイナ・ジ・エンド(BiSH)さんといったボーカリストを招いた歌も3曲収録されていますが、どれも「希望」や「光」、「絶望から立ち上がる」といったテーマが歌の根底に流れていますね。

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「そうですね。図らずしもこのタイミングにふさわしい曲になりました。3曲目の『A Red Ray』と、『光の涯』は去年担当したアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のエンディングテーマとして既発のガンダム40周年記念コンピレーションアルバムに収録されていた曲を今作のために再ミックスし、『ENDLESS ~闇を超えて~ feat. 大黒摩季』はもともとアニメ『GIBIATE』のエンディングテーマが元曲なのですが、医療従事者の方々へのチャリティー楽曲としてパンデミック以降の世界をイメージして、歌詞を一部書き換えたバラードバージョンとしてリアレンジしたものです。“今、僕らは暗闇の中にいるけれど、必ずその先には心地良い光の世界が待っている”というとても重要なメッセージを込めています」

――そして最後の曲「So Sweet So Lonely」は、SUGIZOさんも敬愛するロックバンド「DEAD END」の代表曲の一つです。6月にギタリストYOU(足立祐二)さんが、ご病気により56歳という若さでお亡くなりになりました。YOUさんへの思いが込められた、まるでご本人が弾いているかのような、とてもエモーショナルでメロディアスなギターの音が、さらに込み上げてくるものがありました。

「ありがとうございます。僕が最も影響受けた日本人3大ギタリストがいて、最初に影響受けた僕の師匠が土屋昌巳さん。そしていまだに太刀打ちできない大師匠が、渡辺香津美さん。そして高校に入ってからノックアウトされたギタリストがYOUさんだったんです。その3人を超えるギタリストは、僕の中では存在していなくて。ありがたいことに3人とも親しくさせていただいて。YOUさんは、ここ10数年は本当に仲良しの先輩だったんです。だから……ねえ。突然いなくなってしまったからびっくりです。YOUさんは、しょっちゅう体調を崩されていて。昔からずっとマスクをしていて会うたびに『大丈夫?』って声をかけていたんですが、こんなに早く亡くなってしまって……。本当に残念ですね」

――突然だったのですか?

「突然でしたね。ライブをやった直後に亡くなったんです。僕はこれまで自分のアルバムの中に誰かのカバー楽曲を収録したことはなかったのですが、YOUさんは、あまりにも大きな存在なので追悼したくて。DEAD ENDは、大好きな曲がたくさんありますが、この曲は、最も“祝福”を感じた曲です。YOUさんの次への新しい扉、新しい旅を“祝福”することでたたえたかったんです」

――すごく希望にあふれたギタープレーです。

「実はほぼ全て31年前にYOUさんが弾いたままのフレーズを僕も弾かせてもらいました。ただし、大切な人へ捧げる曲をアルバムに入れることで浮かせてしまうことは絶対にできない。だから実は今回の作品のなかで1番苦労したのはこの曲です。DEAD ENDのロックバンド・バージョンをいかにアンビエントな世界と融合させるかをすごく大切に作りました」

――そう考えると結果論ですが、アルバム自体がYOUさんへのトリビュートになっているのかもしれませんし、新たな世界や価値観といったものをSUGIZOさんにしか作れない音楽で表現した新しい形とも言える非常に重要な作品になりましたね。

「そういう意味では自分の大切なメッセージを込めたアルバムですし、ぜひ多くの人に聴いてもらえたらうれしいのですが、まったく今のヒットチャートとは無縁な音ですからね(苦笑)」

――目指した先が違うということですね。

「そうですね。僕の中で。今大切なのは目先の損得ではないです。未来に残る作品を作っていきたいんです」

□SUGIZO 作曲家、ギタリスト、バイオリニスト、音楽プロデューサー。日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。音楽と平行しながら平和活動、人権・難民支援活動、再生可能エネルギー・環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。

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