SUGIZO独白「僕たちは孤独ではない」新作で描いた“ポストパンデミック”の世界

LUNA SEAやX JAPANのギタリストとして活躍するミュージシャンのSUGIZOが3年ぶりとなるソロアルバム「愛と調和」を完成させた。バンド活動とは一線を画す、独自の音楽世界を築いてきたソロ活動だが、今回は、パンデミック禍で心に傷を負った人々に寄り添い、希望の光を照らす癒しの音楽を作り上げた。ENCOUNTでは、これまで被災地のボランティア活動や難民キャンプ訪問など、積極的な社会活動を行ってきたSUGIZOが、経験したことのないこの1年で感じたことや新作から見えてくる音楽家としての原点を探るロングインタビューを2回にわたって紹介する。前編は激動の2020年を独自の視点で振り返ってもらった。

SUGIZO【写真:秦 達夫】
SUGIZO【写真:秦 達夫】

命を大切にすることや喜びを分かち合うことが、あまりにも足りない

 LUNA SEAやX JAPANのギタリストとして活躍するミュージシャンのSUGIZOが3年ぶりとなるソロアルバム「愛と調和」を完成させた。バンド活動とは一線を画す、独自の音楽世界を築いてきたソロ活動だが、今回は、パンデミック禍で心に傷を負った人々に寄り添い、希望の光を照らす癒しの音楽を作り上げた。ENCOUNTでは、これまで被災地のボランティア活動や難民キャンプ訪問など、積極的な社会活動を行ってきたSUGIZOが、経験したことのないこの1年で感じたことや新作から見えてくる音楽家としての原点を探るロングインタビューを2回にわたって紹介する。前編は激動の2020年を独自の視点で振り返ってもらった。(取材・文=福嶋剛)

――先日、ブルーノート東京でSUGIZOさんのソロプロジェクト「SUGIZO’s SHAG」のライブが、観客を入れた形式で開催されました。お聞きするまでもないですが、やはり「無観客ライブ」と「有観客ライブ」は、まったく違いますよね?

「もちろんです。やはりライブは目の前にオーディエンスの方々がいることで瞬間的なインスピレーションが湧きますから。画面越しでの『無観客』とは全くテンションは変わりますね。そもそも『有観客』という言葉自体が変ですよね(笑)。当たり前ですから」

――おっしゃる通りです。まるで今年生まれた新語みたいですよね。しかし「有観客」とは言え、人数制限や徹底した感染対策、観客も声を出さず距離を取って座ったまま拍手で応える等々。明らかにこれまでの光景とは違います。

「それは致し方ないと思います。今の時代に合わせてやっていくしかないです。まずは当然ですが極限まで気をつけなくちゃいけない。僕たちもステージに上がって、演奏する前まではマスクを付けたままでしたし(コロナ前と比較して)正直満足いく完璧なライブとは言えませんが、逆に今の時代だからこそ出来ることや新しい発見、感動もありますから。個人的にはこの状況をただネガティブに捉えるだけでは何も進まないと思っています。むしろ“ライブをやりたい”という気持ちを大切にしたいです」

――再び感染も拡大しており、エンタメもアクセルとブレーキをこれからどう調節していくか問われています。

「僕はこの状況を『正しく怖がること』が大切だと思っています。この半年間、いろいろと見て、感じて、経験して、僕の中ではっきりしたことは、やっぱり動き始めないといけない。そうじゃないと全てが……本当に全てが共倒れしてしまいます。残念ながら演奏家や音楽家の社会的地位は欧米と日本では違います。僕らはたまたま蓄えがあったから何とかなっているけれど、その日その日で生活しているミュージシャンは、皆さんが考えている以上に多いんです。特にクラシックの世界はとても厳しくて今もどん底だと思います。その状況を見ていると、いても立ってもいられない気持ちになります」

――1日も早く前進したい一方で感染拡大を防ぐため、ブレーキを踏まざるを得ない。今年は取材をするたびにエンターテイナーだけでなく、イベンターやステージを運営する方々など、エンタメ周辺の全ての人の声にならない声があちこちから聞こえてきます。

「音楽や芸術やエンタメ、スポーツは生存のためには必要ない。残念ながら効力がないと思いながら音楽を続けています。一方で生存が保障されている人にとっては、音楽やアート、スポーツといったエンタメが人生の糧であり喜びになります。だから僕は人間にとって楽しんだり感動したり愛を分かち合うことは、絶対に必要なものだと思っています。
 ところが、今、本当に困っている人たちに手を差し伸べられていないという状況が日本でも露呈しました。資本主義社会、競争社会の世界ですが、あまりにも個人が得をすること、儲かること、所有すること、より多くを勝ち取ることばかりに固執してしまい、競争に負けてしまった人は人生を放棄しなくてはいけない。そういった状況を目の当たりにしてきて、社会の限界や今の価値観への疑問を強く感じています。『命を大切にする=喜びを分かち合う』が、あまりにも足りない気がしていて」

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