SUGIZO、亡くなった恩師「DEAD END」足立祐二さんに捧げる魂のギター「大切なメッセージを込めた」

LUNA SEAやX JAPANのギタリストとして活躍するミュージシャンのSUGIZOが3年ぶりとなるソロアルバム「愛と調和」を完成させた。バンド活動とは一線を画す、独自の音楽世界を築いてきたソロ活動だが、今回は、パンデミック禍で心に傷を負った人々に寄り添い、希望の光を照らす癒しの音楽を作り上げた。経験したことのないこの1年で感じたことや新作から見えてくる音楽家としての原点を探るロングインタビュー。後編は、新作を通した音作りから見えてくる音楽家・SUGIZOの原点を探る。

3年ぶりのソロアルバム「愛と調和」をリリースしたSUGIZO【写真:秦 達夫】
3年ぶりのソロアルバム「愛と調和」をリリースしたSUGIZO【写真:秦 達夫】

SUGIZOの原点は“音色を探す旅”

 LUNA SEAやX JAPANのギタリストとして活躍するミュージシャンのSUGIZOが3年ぶりとなるソロアルバム「愛と調和」を完成させた。バンド活動とは一線を画す、独自の音楽世界を築いてきたソロ活動だが、今回は、パンデミック禍で心に傷を負った人々に寄り添い、希望の光を照らす癒しの音楽を作り上げた。経験したことのないこの1年で感じたことや新作から見えてくる音楽家としての原点を探るロングインタビュー。後編は、新作を通した音作りから見えてくる音楽家・SUGIZOの原点を探る。

――前回はソロアルバムを作るに至った経緯や、SUGIZOさんの思いをお聞きしましたが、今回は、音楽的な内容を中心に作品のお話を伺っていきます。早速ですが今作のテーマの一つが縄文時代だとお聞きしました。その辺りの経緯など、改めて教えてください。

「前回のインタビューでお話しましたが、コロナ禍を経験して『これからの現代社会をどう進めばいいのか?』『過去はどうだったのか?』など、いろいろと文献を読み漁りながら考えていきました。そこで今必要なのは『利己』じゃなくて『利他』だと気付いたんです。これがヒントとなり、ようやく見つかった答えが、“太古の文明”だったわけです。よって今回はそういったコンセプトをどう作品として形にするかという“構想”にたっぷりと時間をかけました」

――太古の文明ですか?

「はい。確かに驚かれる方もいるかもしれませんが、個人的にその中でも縄文時代に非常に興味を持ちました。現代の支配的な競争社会ではなく、民衆が皆平等に同じ立場で社会を作り、1万5000年以上も続いた平和で進化した文明。いろいろと文献を調べれば調べるほど、いかに素晴らしい時代だったのか分かりました。そんな太古の文明に思いを馳せながら、『平和や自由、愛とは何か?』というテーマを音にしたのが今回の作品です」

――そのイメージを具体的にどうやって音楽に落とし込んでいったのでしょう? SUGIZOさんは、LUNA SEAを離れたソロ活動では、ギタリストやバイオリニストという枠に収まらない、作曲家・音楽家として独自の世界を築いてきましたが、今回の作品「愛と調和」は、むしろそのギターや電子音楽にこだわった。いわばプレーヤーとしての一面も垣間見えます。一方で最新のテクノロジーを使いながらも非常にプリミティブ(=原始的)であり、今まで聞いたことがない独自の音楽世界観も広がっていて……。

「全くその通りです。実は次の作品は、さまざまな方々とのセッションアルバムを作ろうと考えていたのですが、コロナ禍でそれが出来なくなってしまった。そこでほぼ1人で作れるインストゥルメンタル作品にトライしようと考え、自分が最も扱えるギターとシンセサイザーを中心に作業を進めていきました。エレクトリックギターの演奏を中心にしたアンビエントミュージックやヒーリングミュージックって、あまり聞いたことがないですよね?」

――はい。確かにそうですね。ヒーリング音楽のギターというとすぐに思いつくのはアコースティックギターです。

「ですよね。僕は今回エレクトリックギターの持つ可能性を駆使してアンビエント、ヒーリングのジャンルに新しい風を吹き込みたいと考えました。それゆえ派手さはないのですが、これまでのソロ作品の中では、1番ギターを弾いている、ギターの存在がとても大きいアルバムになりました。一方で、ご存知の方も多いかもしれませんが、僕は、まるで音色のパレットを操るように、エレクトロニクスを多用して新しい音を追求することが大好きで、それが自分のスタイルだと思っています。そういう意味では、シンセサイザープログラマー的な“音色を探す旅”をいつもしている感覚なんです。今回は、オーガニックな響きや自然界と呼応できる音を追及して、電子音楽と実際の自然の音とミックスさせ、自然界にある音の安心感や響きを込めたかったんです」

――1曲目の「Nova Terra」は、“新しい大地”という意味でしょうか? いきなり異次元の空間へと引き込まれていくような約1分間にもおよぶエレクトリックギターの“ジャラーン♪”という幻想的なストロークから始まり、次に流れてくる清流の音で大地や樹々を感じ、生命の叫びにも似たバイオリンの音、そして神々しい鈴の音と1曲に詰め込まれた音の数々が、まるで立体的に次々と飛び出してくるような。とても心地よい感覚を味わいました。

「この曲は特に縄文文化と屋久島の大自然にインスパイアされて生まれた曲で、ある意味、禊(みそぎ)のための曲です。水の音は実際に屋久島を訪れた際に録音した音を使い、鈴は神楽鈴(かぐらすず)を使用しています。神楽鈴は、我々の邪気や溜まった汚れを振り払うための音なんです。数千年におよぶ樹々の恩恵や大自然に対しての畏敬の念……地球上の生き物の一つとして忘れちゃいけない感覚。人間は自然と空と水とすべての生き物とつながっていて宇宙へとつながっている。だから決して僕らは孤独ではない。そんなメッセージを込めた曲です」

――シンセサイザーが、自然と絶妙に融合していて、壮大な6曲目の「The Gates of Dawn」やスピリチュアルを感じる8曲目の「CHARON ~四智梵語~ 」も印象的でした。

「まさに、今作のとても重要なアプローチで、みなぎる生命のイメージとか、動植物の狂い咲く命の協奏曲というか、それらをすべてアナログシンセで表現したんです。元々シンセサイザーの開発された目的というのは、自然音をエミュレートすることでしたよね。今はそんな存在理由を重要視して使っている人は、なかなかいないと思うんですが、“シンセサイザーフェチ”としては(笑)、その原始的な使い方をしたかったので、あらゆる自然音のイメージをシンセで作ろうとトライしたのが、『The Gates of Dawn』を始めとする今作のテーマでした。『CHARON ~四智梵語~』は、人々の世の中の疫病を取り払うお経が欲しかったので、実際に僧侶の方をスタジオにお招きして声明を録音させていただきました」

次のページへ (2/3) 大黒摩季、miwa、アイナ・ジ・エンド(BiSH)も参加
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