DDT新世代エースが臨む“特別な年”「僕はそもそも王道プロレスを知らない」【連載vol.16】

上野にとっては「DDTこそがプロレス」

 現在は開幕戦(22日、後楽園ホール)の樋口和貞戦に全力集中している。「まるでヒグマ。重いし速いし、何度もボコボコにされている。今のところ、勝利をイメージできない」と、珍しく頭を抱えている。

 そして、上野の同級生・竹下幸之介を下している「王道」秋山準との初一騎打ち(12月12日、東京・成増アクトホール)に注目が集まっている。竹下は「僕のやってきたことが間違っていたのか……」と、トラウマになりかねないショックに襲われているが、上野は秋山の歴史をリスペクトしながらも「僕にとっては、今の秋山準さんしかない」と、気後れは一切ない。

 16年にDDTに入門している上野は「僕はそもそも王道プロレスを知らない」と言ってのける。もちろん、DVDなど映像で研究はしているが、10年頃、プロレスを見始めた上野には「DDTこそがプロレス」だったのだ。秋山のコーチを受けても「レスラーとして生まれも畑も違うけど、大きな差や違いは感じなかった。新しい発想、ヒントをいただけた」と、気負いはない。

 長州力とトリオを結成したことがある上野だが「長州さんはDDTとの違いに、ピリピリしていたが、秋山さんは柔軟で、身近な存在になっている」と、秋山アレルギーは皆無に近い。しかも、同じ南大阪出身とあって「イラッとくるポイントが僕と似ている」とも指摘。「ただ、秋山さんはそのイラッをすごみにしている。僕にはできないこと」と分析しており、秋山研究は進んでいるようだ。

 ディザスターBOXを離れ、竹下、勝俣瞬馬、MAOとDDTサウナ部を結成した。いわゆるユニットとは違うが、リング上でチームをとして戦うこともある。「サウナとトレーニングが趣味。体にいいことに集中している」というだけに、コンディションも最高潮。「DDT制圧」を掲げる「レジェンド」秋山にも、全く気後れしない上野が「特別な年」の最後で高笑いを決めるのか。DDTに大どんでん返しの気運が高まっている。

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