富士山“駆け込み登山”、悪天候でもお構いなし 「地獄行きのチケット売るな!」行政の対応に山小屋が警鐘

東海~関東地方を中心に記録的な豪雨被害が続くなか、富士山では10日に迫った閉山日を前に駆け込み登山が相次いでいる。御殿場口では9日朝、五合目から30人ほどが入山。六合目でも数人の登山者が山小屋スタッフの制止を聞かず先に進んでいるという。元静岡県警の警察官で、御殿場ルートで2つの山小屋を管理する橋都彰夫館長は、「こんな日に入山料を取るのはやめるべき」と無謀な登山や行政の対応に警鐘を鳴らしている。

開山シーズン終盤を迎えている富士山(写真はイメージ)【写真:写真AC】
開山シーズン終盤を迎えている富士山(写真はイメージ)【写真:写真AC】

記録的豪雨が続くなか、10日に迫った閉山日を前に駆け込み登山が急増

 東海~関東地方を中心に記録的な豪雨被害が続くなか、富士山では10日に迫った閉山日を前に駆け込み登山が相次いでいる。御殿場口では9日朝、五合目から30人ほどが入山。六合目でも数人の登山者が山小屋スタッフの制止を聞かず先に進んでいるという。元静岡県警の警察官で、御殿場ルートで2つの山小屋を管理する橋都彰夫館長は、「こんな日に入山料を取るのはやめるべき」と無謀な登山や行政の対応に警鐘を鳴らしている。

 富士山周辺では今月3日頃から断続的に雨が降り続き、6日から8日は1日平均50ミリリットルを超える非常に激しい雨を観測。気象台は8日午後8時16分、富士宮市に「レベル4土砂災害危険警報」を発表している。9日も猛烈な雨となる見込みで、夜には標高の高いところで雪予報となっている。山梨・吉田口の富士スバルラインでは、雨量規制と土砂の流出に伴い、8日夜から全面で通行止め。9日午前0時頃には、富士宮口五合目駐車場で土砂が流出し、駐車車両3台が巻き込まれる事故が発生している。報道によると、9日朝、富士山の山頂付近と富士宮ルート新七合目付近で登山客の男性2人が意識不明、呼吸がない状態で発見。6日にも御殿場ルートの八合目付近で60代の男性の遺体が見つかっている。

 連日の荒天が続くなか、閉山を前に駆け込み登山に訪れる人も後を絶たない。静岡県警に34年間勤務、現在は退職し御殿場ルートで標高3090メートルの七合四勺わらじ館、2590メートルの六合目半蔵坊の2つの山小屋を管理する橋都館長は、9日午前6時過ぎ、「土砂崩れが発生する程の大雨です! 静岡県側も通行止に出来ませんか? クローラーも運休する荒天です! 本日は入山料取って入山させるの止めてください! 地獄行きのチケット売るな!」とSNSに投稿。無謀な登山を行う登山者と、悪天候でも入山料の返金を行わない行政に疑問を呈した。

 3日前まで小屋に駐在し、現在は麓の御殿場市内の自宅にいるという橋都館長は、取材に「わらじ館に4人、下の半蔵坊に1人スタッフがいますが、今朝は日本人、外国人合わせて約30人が五合目のゲートを通過したと連絡が入っています。そのうち、約10人が六合目の半蔵坊まで来て、小屋番が引き返すよう必死に説得しましたが、3人が制止を聞かずに行ってしまったと。荷揚げ用のブルドーザー道も土砂で流れ、この天候ではヘリも飛べない。救助は人力のみで、低体温症で倒れたら間に合いません」と登山道の状況を説明する。

 山小屋の管理をしていて感じるのは、行政や警察が入山基準を判断することの難しさだという。

「ゲートで止めても強制力があるわけじゃない。体力や技量があれば登れてしまう人だっている。だからといって、登るなら払ってくださいと入山料を徴収したら、行政が登ってもいいと認めているようなもの。静岡県は登らなければ入山料は返金しているが、山梨側は悪天候でも自己都合として返金すらしていない。これじゃあ無謀登山はなくなりません。

 山小屋もキャンセルポリシーに従ってきっちりキャンセル料を徴収すれば、もったいないからと登ってきちゃう人もいるから、うちは悪天候のときは電話をもらえればキャンセル料も取らない。でも、そこは山小屋によってそれぞれ。山小屋に上の天候を問い合わせてくることもないから、こっちから警察に『今日はやめさせてくれ』と連絡を入れることもあります。やるからには行政が通行止めをするなり、主体性を持って取り組んでくれないと。強制力がないからとなあなあな今の状況は、登山者の安全も守れず、山小屋も振り回されているだけ」

 シーズン終盤に露呈した富士山入山料制度のほころび。来年以降に向けて、まだまだ課題は山積みとなっている。

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