『ぎぼむす』娘役から8年、18歳が挑んだ10代妊婦の難役 唯一無二を目指す横溝菜帆の意外な素顔
俳優の横溝菜帆(18)が、日本テレビ系連続ドラマ『ファーストクライ 母子救命救急班』(水曜午後10時)で存在感を放っている。横溝が演じるのは、10代にして子宮摘出という過酷な決断を迫られる妊婦という難役。どういった心境でこの役と向き合っているのだろうか。幼い頃からスタートさせた俳優としてのキャリア、そして、表現者として追求する理想像とは。

『ファーストクライ 母子救命救急班』にゲスト出演
俳優の横溝菜帆(18)が、日本テレビ系連続ドラマ『ファーストクライ 母子救命救急班』(水曜午後10時)で存在感を放っている。横溝が演じるのは、10代にして子宮摘出という過酷な決断を迫られる妊婦という難役。どういった心境でこの役と向き合っているのだろうか。幼い頃からスタートさせた俳優としてのキャリア、そして、表現者として追求する理想像とは。(取材・文=下城万由子)
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同作は、セレブ病院の裏側で結成された「母子救命救急班」が、チーム一丸となって母子の命に向き合い、新たな“産声”を守り抜く姿を描く医療ドラマ。横溝は、凄惨な過去を抱える若き妊婦として、第9話と第10話に出演している。
オファーを受ける前から、いち視聴者として同作を楽しんでいたという横溝。「1話を見た時からすごくいいドラマだなと感じていて、同世代の役者さんが出演しているのを見て『悔しい! 私も出たかったな』と密かに思っていました」。
それだけに、出演が決まった瞬間を「すごくうれしかった」と振り返る。
彼女が演じる希美は、過去に父親からの虐待や流産を経験し、今回は子宮摘出という過酷な決断を迫られる繊細な役どころだ。
「希美が登場するシーンを台本で読み終えるたびに、『本当に私がやっていいんですか?』と確認してしまうくらい難しく、重要な役でした」とプレッシャーを明かした。
役の痛みに寄り添うため、専門用語やリスクについて徹底的に調べたほか、虐待被害を受けるという初挑戦の役柄に向けて、さまざまな作品を観て学びながら、気持ちを作っていった。
「希美はなんとしてでも守らないといけないものがあって、そのためなら強いものにも立ち向かっていける強さを持った子です。大切な人のためなら何でもできるという思いには、私自身もすごく共感できました」

「泣き虫」だった子役時代
幼い頃から芸能活動を始めた横溝。きっかけは母親が応募したオーディションだった。
「母が赤ちゃんオーディションに応募したのが始まりです。母からは『こんなに真剣になると思わなかった』とよく言われます(笑)」
幼少期からNHK大河ドラマ『平清盛』(2012年)や映画『魔女の宅急便』(14年)など数々の話題作に出演してきたが、「実は事務所の中でも有名な『泣き虫』だったんです」と明かす。「嫌で泣いていたわけではなくて、うまくできないことや、どうすればいいか分からない悔しさからの涙でした」。
根底にあったのは、人一倍負けず嫌いで完璧主義な性格だ。自身の出演作を見る時も「納得できたことが一度もなくて、毎回反省点が出てきてしまうんです」と、その妥協を許さない姿勢が自身の成長を支えている。
そんな横溝にとって大きな転機となったのが、10歳の頃に出演したTBS系連続ドラマ『義母と娘のブルース』だ。度重なるオーディションを勝ち抜いてつかんだ役であり、自身の演技観を大きく変えることになった。
「これまでは『このセリフはこういう感じで言えばそう見える』という表現方法ばかりを気にしていたんです。でも、内側の感情の動かし方を丁寧に教えていただいたことで、『お芝居ってちゃんと向き合うとこんなに楽しいんだ』と気づくことができました」
役者としての姿勢を学んだ同作の反響は大きく、放送から年月がたった今でも、初対面の人から「大きくなったね!」と声をかけられることがあるほどだ。
共演者からの言葉も大きな糧となった。日本テレビ系連続ドラマ『君と世界が終わる日に』の現場で、俳優・竹内涼真からもらった言葉は、今も心に強く残っている。
「竹内さんがお芝居の後に『菜帆ちゃんとは波長が合う。お芝居の相性がいいと思う』と言ってくださったんです。その言葉がすごくうれしくて。誰と共演しても『また一緒にやりたい』と思ってもらえるような俳優でありたいと強く思うようになりました」
また、俳優の須賀健太は、現場での立ち振る舞いを学ぶとともに、プライベートでも頼りにする間柄だ。
「須賀さんは現場での気配りが本当にすごくて、ムードメーカーとしても尊敬しています。私が悩んでいるときにすぐ察して声をかけてくださったり、真剣な相談にも乗ってくれる頼もしいお兄ちゃんのような存在です」

海外進出を見据え留学も経験
今年3月には高校を卒業し、18歳という節目を迎えた。芝居に対してストイックな姿勢を見せる一方で、プライベートではアクティブな一面も持ち合わせる。その最たる例が、18歳の誕生日当日に取得した「1級小型船舶操縦免許」だ。
釣りが趣味の父親の影響で、幼い頃から家族で釣りに行っていた横溝。「父と『船釣りもしてみたいね』となって、最初は2級を取る予定だったんですけど、持ち前の負けず嫌いが出て『せっかくだから1級を取りたい!』と挑戦することになりました」。
17歳のうちに試験に合格し、交付可能となる18歳の誕生日に免許を取得した。「エンジンの仕組みを覚える学科試験は苦戦しましたけど、実技はバッチリ褒められました。自分で釣ったマダイをさばいて食べるのが最高なんです。いつか釣り番組や、この一面を活かせるような仕事にも挑戦してみたいです」と、今後の活動への意欲をのぞかせた。
また、将来的な海外進出を見据え、16歳の頃には、ニュージーランドへ約半年間の留学も経験した。
「いつか海外の作品にも出たいという思いがありました。そのためには若いうちに英語を身につけないと、と思って決意したんです」
1人で飛行機に乗るのも初めての経験。乗り継ぎ地のオーストラリアで迷子にもなりかけたが、「ここで泣いたらダメだ」と強い気持ちで乗り越えた。現地では語学学校に通い、ホストファミリーと毎晩映画を鑑賞しながら会話を重ね、徐々に語学力を高めていった。この経験を通して、人や文化に対する価値観も大きく変化した。
「『この国の人はこういう性格』といった先入観や偏見のようなものが少なからずあったのですが、それがすべて壊されました。実際に現地に行って人と接してみないと本当の姿は分からないんだと身を持って感じました」
国籍や年齢を問わず多様な人々と言葉を交わし、視野を広げた経験は、人間としての精神的な成長や役者としての深みにもつながっている。
「帰国してから周りに『自立したね、強くなったね』と言われることが増えて、芝居にもいい影響を与えてくれていると感じます」と手応えを口にする。
子役から実力派俳優へと順調に歩み続けている。これからの未来に向けて描くのは、誰のまねでもない自分だけの道だ。
「『誰かに似ている』と言われるのがすごく嫌いなんです。お芝居の表現も見た目も、誰とも被らない『唯一無二の存在』でありたいと思っています」
幼少期から積み重ねてきた確かなキャリアに甘んじることなく、常に自らの内面と真摯に向き合い続けている。誰かと比較されることのない自分だけの表現を貪欲に追い求めながら歩みを進めるその先に、期待は高まるばかりだ。
□横溝菜帆(よこみぞ・なほ)2008年3月27日、神奈川県出身。18年、TBS系ドラマ『義母と娘のブルース』で主人公の娘・宮本みゆき役で注目を集める。その後も、NHK連続テレビ小説『スカーレット』、日本テレビ×Hulu『君と世界が終わる日に』、カンテレ・フジテレビ系『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』など話題作に出演。最新作は東海テレビ・フジテレビ系『時光代理人』、テレビ朝日系『タイムトラベルダディ』、映画『ハローマイフレンド』など。フジテレビ系『めざましテレビ』内「イマドキ」にも“イマドキガール”として出演中。
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