少年隊・植草克秀とは今も気軽に会える仲 錦織一清が語る30数年の空白を超える“同期”の絆

演出家・錦織一清(61)が演出・脚色を手掛ける舞台『あゝ同期の桜』が、戦後81年となる今夏、3年連続で上演される。主役の諸木文晴を演じるのは、今作が初舞台、初主演となる中山脩悟(23)だ。稽古初日に行われた取材で、錦織は中山に感じた「透明感」、高校時代の同級生であるパパイヤ鈴木との再会、そして「同期」という言葉への思いを語った。

インタビューに応じた錦織一清【写真:増田美咲】
インタビューに応じた錦織一清【写真:増田美咲】

自身が演出務める舞台『あゝ同期の桜』、主演は中山秀征の23歳長男

 演出家・錦織一清(61)が演出・脚色を手掛ける舞台『あゝ同期の桜』が、戦後81年となる今夏、3年連続で上演される。主役の諸木文晴を演じるのは、今作が初舞台、初主演となる中山脩悟(23)だ。稽古初日に行われた取材で、錦織は中山に感じた「透明感」、高校時代の同級生であるパパイヤ鈴木との再会、そして「同期」という言葉への思いを語った。(取材・文=平辻哲也)


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 舞台は、学徒出陣によって海軍航空隊に入隊し、特攻隊員となった若者たちの青春を描く。2024年に初演され、今年で3年目を迎える。

「初年度に見てくださった大人の方から、『これは節目の年だけにやる芝居ではないよね。どこかでずっとやっていなければいけない芝居だと思う』と言っていただいたんです」

 戦後79年の年に始めた舞台だった。しかし、その言葉を受けて、錦織の中でも作品の意味は変わった。

「例えば、僕じゃなくても、学生演劇で誰かがやってくれているとか。そういうふうに語り継がれていく芝居なのかなと思っています」

 3年間、物語の軸となる俳優は毎回変わった。昨年は中山優馬が諸木を演じ、今年は脩悟が引き継ぐ。

「主軸となる主人公が変われば、同じ芝居には決してならないんです。去年、優馬にやってもらった時も、後半になって『ここで、こんなせりふを言いそうだな』と思い、せりふを足したことがありました」

 俳優が1人変わるだけで、共演者との組み合わせも、舞台上で起きる反応も変わる。

「組み合わせは無限大に近くなる。芝居には、そういうところがあります。稽古に入って、これからどう転がっていくのか、僕にもまだ分かりません」

 諸木は、成績優秀で確固とした理念を持つ学生として登場する。仲間たちと訓練生活を送る中で、その死生観が少しずつ変化していく。

「大変難しい役だと思います。最初は無駄に命を捨てることを否定し、ちゃんとした理念を持っている。それが隊員たちと一緒に生活するうちに、考え方が変わっていくんです」

 錦織はこれまで、特攻隊員たちの遺影や遺書を目にしてきた。靖国神社の遊就館を訪れた際にも、若者たちのたたずまいに目を奪われたという。

「写真を見ると、皆さん、本当に目が聡明なんです。若いのに、筆で書いた字も、国旗に残された寄せ書きもものすごく達筆だった。日本人としての凜としたものを持っていた時代だったんだと思います」

 中山と初めて会った時、その姿が若き日の隊員たちと重なった。

「背筋がピンと伸びている感じがしたんです。諸木を演じるのにふさわしいと思いました」

 中山は今春、青山学院大学を卒業した。高校まで野球に打ち込み、大学在学中に俳優を志した。

「これは偉そうに聞こえるかもしれませんけど、ご両親がちゃんと育てたんだな、と感じました。大学まできちんと修学して、野球を辞めてから、この仕事に入ってきた。僕らは子どもの頃から芸能界にいて、どうしても変にすれっからしになるところがある。でも、脩悟にはそれが一つもない。その透明感が、諸木を演じる上で大きいと思います」

 普段、演出する俳優を手放しで褒めることは少ないというが、中山への期待は隠さない。

「去年の優馬も良かったですけど、今年は諸木という役がさらにグレードアップしていくんじゃないかと思っています。大変心強いですね」

「同期」の概念について明かした【写真:増田美咲】
「同期」の概念について明かした【写真:増田美咲】

 父親の中山秀征とは以前から交流がある。脩悟の出演が決まり、LINEでもやり取りした。

「新聞の取材で脩悟君と会った時に、『ヒデちゃんと、どこか似た感じがする』と話したんです。それでヒデちゃんに『そんなに言うなら、うちの子になるか。養子にする?』と送ったら、『もらってください』と返ってきました。面白いですよね」

 今作では、錦織の高校時代の同級生であるパパイヤ鈴木がオープニングの振り付けを担当する。2人は近年、ユニット「Funky Diamond 18」としてライブ活動も行っている。

「高校の同級生です。でも、仕事が変わって、お互いに忙しくなり、数十年会っていなかったんです」

 テレビ番組へのゲスト出演をきっかけに再会し、再び一緒に仕事をするようになった。

「数十年間、お互いに違う道を歩いてきた。それが今、ユニットを組んでいる。僕が踊りを間違えても、向こうが間違えても、それを2人で楽しめるんですよ」

 若い頃から同じグループで活動していれば、意見の違いや小さな失敗が積み重なり、許せなくなることもある。少年隊のメンバーとして長く活動した錦織だからこそ、その難しさも知っている。

「グループの解散理由で『音楽性の違い』という言葉がありますけど、僕もグループをやっていたので、よく分かるんです。だから、パパイヤとは、いい意味での再びの出会いなんでしょうね」

 振り付けが入るのはオープニングだけで、作品そのものはストレートプレーだ。

「ミュージカルではありません。ただ、小劇場の芝居では、オープニングや途中で踊ることもある。芝居には、それくらいの自由さがあるんです」

重苦しい題材も「しっかりと楽しい作品にしたい」

 題材は特攻隊だが、重苦しさだけを前面に押し出すつもりはない。中心にあるのは、20代の若者たちが限られた時間を生きる青春劇だ。

「語弊があるかもしれませんが、しっかりと楽しい作品にしたいんです。見ている方に楽しんでいただいて、その上で『当時、こういう若者たちがいたんだな』と感じてもらいたい。楽しみながらでいいんです」

 錦織にとって「同期」は、同じ学校や同じ年に入った相手だけを指す言葉ではない。

「その時代を一緒に生きた人間は、年齢が少し離れていても、同期的な世代なんだと思います」

 少年隊の植草克秀とは、今も気軽に会える間柄だ。近年、自身の配信番組では、30数年ぶりに堤幸彦監督とも再会した。錦織が堤監督の初監督作品に出演して以来の縁だった。

「30数年ぶりに会ったのに、あの当時に戻るだけだったんです。まだ兄貴みたいで、昔と変わらず、ふざけ合える。時間を超えてしまう。それが同期という仲間なのかなと思います」

 長い空白があっても、会えばすぐに元の関係に戻れる。若い俳優たちが演じる『あゝ同期の桜』は、錦織自身が歩いてきた時間とも重なっている。

■錦織一清(にしきおり・かずきよ)1965年5月22日生まれ、東京都出身。1977年に芸能界入りし、85年に少年隊のリーダーとして「仮面舞踏会」でレコードデビュー。ミュージカル『PLAYZONE』を23年間にわたって上演した。俳優として舞台、映画、ドラマに出演する一方、演出家としても活動。2020年末に所属事務所を退所し、22年に株式会社アンクル・シナモンを設立した。著書に自叙伝『少年タイムカプセル』など。

舞台『あゝ同期の桜』公演概要
原作:榎本滋民(海軍飛行予備学生十四期会による遺稿集『あゝ同期の桜 帰らざる青春手記』に基づく)
脚本:上田浩寛
演出:錦織一清
オープニング振付:パパイヤ鈴木

【東京公演】
日程:2026年8月13日(木)から8月17日(月)
場所:三越劇場(東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 6F)
【木更津公演】
日程:2026年8月22日(土)
場所:かずさアカデミアホール(千葉県木更津市かずさ鎌足2-3-9)

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