格闘技未経験“普通の大学生”、デビュー3年で元RIZIN王者撃破 人生を変えた朝倉未来との“出会い”
きっかけは“朝倉未来”だった。「この人面白い」。偶然目にした動画が人生を変貌させた。現DEEPフェザー級暫定王者の水野新太(23=フリー)は「RIZIN.54」(8月11日・TOYOTA ARENA TOKYO)で待望のRIZINデビュー戦に挑む。激戦のフェザー級に加わった新たなスター候補。プロ10戦9勝と躍進を続ける男に、これまでの歩みを聞いた。

8月11日にRIZINデビューの水野新太「やり合える自信はある」
きっかけは“朝倉未来”だった。「この人面白い」。偶然目にした動画が人生を変貌させた。現DEEPフェザー級暫定王者の水野新太(23=フリー)は「RIZIN.54」(8月11日・TOYOTA ARENA TOKYO)で待望のRIZINデビュー戦に挑む。激戦のフェザー級に加わった新たなスター候補。プロ10戦9勝と躍進を続ける男に、これまでの歩みを聞いた。(取材・文=浜村祐仁)
【PR】全戦無料で熱気を体感…アジア最高峰のフォーミュラレース『スーパーフォーミュラ』決勝レースをABEMAが生中継
5月に行われたDEEPフェザー級暫定王座戦。死闘となった試合終盤。水野の左拳はすでに折れていた。それでも前へ出続ける。もはや執念だった。数年前まで格闘技とは無縁だった男はその夜、元RIZIN王者・牛久絢太郎を撃破してベルトを巻いた。
高校まで野球一筋の人生。卒業後は映画撮影の経験がある父と、脚本家だった母の影響を受け、日本映画大学に進学した。
「家族で映画を見る機会も昔から多かったですし、『映像の仕事がしたいな』と思っていました。せっかくなら専門的に学びたいなと」
そんな大学生活を一変させたのが、新型コロナ禍だった。自宅で過ごす日々。偶然目に止まったのは、路上の伝説の動画だった。
「たまたま朝倉(未来)選手のYouTubeを見たんです。『すごい面白い人がいるな』と思った。最初は喧嘩自慢の動画とかを見ていたんですけど、試合も見始めて『かっこいいな』って。そこで初めて総合格闘技というものを知りました」
「それまではボクシングとかも全然見ていなくて、そういう世界があることも知らなかった。段々はまっていって大学の近くのトイカツ道場で習い始めました」
MMAの世界に足を踏み入れ、わずか8か月でアマチュアデビュー。しかし、待っていたのは厳しい洗礼だった。
「パンクラスのアマチュアの試合に出たのが最初です。トーナメントの2試合目くらいですかね。柔道出身の選手に投げられて肘を折られました」
心までへし折られそうな大怪我を負ったが、この一戦でファイターとして生きていく覚悟が決まった。
「このままじゃ終われねぇって、逆に燃えましたね。ちゃんとやらなきゃダメだなって」
その後、2023年にプロデビューを果たすと連勝街道を突き進む。当時大学4年。卒業を間近に控えたタイミングで下したのは、後戻りの出来ない決断だった。

MMA挑戦のきっかけは朝倉未来「すごい面白い人がいるな」
映画か格闘技か。選択が迫られていた。選んだのは後者。卒業を待たずに、大学を中退することを決めた。
「本当は理由があって。映画のプロの現場に2日間だけお世話になったんですが、それがしんどすぎて。朝6時集合で終わるのが24時過ぎ。『これ俺には無理だ』と思って(笑)。両立はさすがに厳しいなと。格闘技の方が好きだったので、そっち一本で行こうと決めました」
すでにプロスペクトの片鱗は見せていた。25年にはDEEPのフェザー級トーナメントに抜擢。勢いそのままにプロ8連勝で優勝し、一気に日本MMAにその名を知らしめた。
「プロになってからも自信はなかったし、格闘技に対する怖さはあった。でも、僕は人よりも練習をこなしてきているという自信がある。量は誰にも負けないと思っています」
「あとは良いコーチに出会えたこと。大塚(隆史)さんだったり、ボクシングトレーナーの山田陽一郎さんとか。出会うべきタイミングで良い人たちに出会えたことが大きかったです」
唯一喫した敗戦は2025年12月、青井人とのフェザー級タイトル戦。しかし、その敗北が牛久絢太郎からの勝利につながった。
「待っているだけじゃダメなんだって。(青井戦後に)大塚さんと話したんですけど、『殺しのモードが足りない』と。『相手を殺す』という強い気持ち。練習からもっと激しく、遠慮せずにやらないと。『意識を変えよう』という話をしました。今は週6日、組みの練習も入れて、苦手な部分も深めています。(牛久戦でも)全然問題なくやれました」

RIZINデビュー戦の相手は、Road To UFCで決勝まで勝ち上がった中国屈指の実力者、リー・カイウェン。キャリア初の外国人選手との対戦にも、水野は臆さない。
「自分がどう戦えるのか楽しみです。付け入る隙はあると思っています。佐伯さんからも『勝ち方が大事』と言われている。“対世界”への入り口として、絶対に勝たなければいけないです」
勝ち上がれば待っているのはフェザー級の強者たちだ。「若くて勢いもある高木(凌)選手ともやりたい。やり合える自信はある」と強気に宣戦布告もした。
最後に、格闘技を始めるきっかけになった朝倉未来について聞いた。少しだけ間を置いて、鋭い目つきで静かに言葉を残した。
「そうですね、殴り合えるか分からないですけど……。そこはある意味目標にしてもいいかもしれないですね」
いつか、リングで顔を合わせるその日まで。恐れを知らない23歳がRIZINフェザー級に旋風を巻き起こす。
あなたの“気になる”を教えてください