ケイン・コスギ、M-1出場「もうこりごり」 きんに君との挑戦で力不足実感「全然面白くなくて」

俳優のケイン・コスギが、弟シェイン・コスギの長編初監督映画『四十九-SEEK』(7月31日公開)に出演した。父ショー・コスギの作品で子どもの頃に共演した兄弟が、数十年を経て、監督と俳優として再び同じ現場に立った。51歳のケインは、悪役やM-1グランプリにも挑戦。その原動力には7歳の娘がある。

弟シェイン・コスギの長編初監督映画『四十九-SEEK』に出演するケイン・コスギ【写真:冨田味我】
弟シェイン・コスギの長編初監督映画『四十九-SEEK』に出演するケイン・コスギ【写真:冨田味我】

弟シェイン・コスギの長編初監督映画『四十九-SEEK』に出演

 俳優のケイン・コスギが、弟シェイン・コスギの長編初監督映画『四十九-SEEK』(7月31日公開)に出演した。父ショー・コスギの作品で子どもの頃に共演した兄弟が、数十年を経て、監督と俳優として再び同じ現場に立った。51歳のケインは、悪役やM-1グランプリにも挑戦。その原動力には7歳の娘がある。(取材・文=平辻哲也)


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『四十九-SEEK』は、現代に生きる忍者たちが非政府組織「四十九(シーク)」のエージェントとして秘密任務を遂行し、日本のヤクザ・高月組と戦うスパイ・アクション。ケインが演じるのは、冷酷な高月組組長・高月総二郎だ。出演のきっかけは、シェインからの一本の電話だった。

「ショートを作った時は、出来上がったものを見て『あ、すごいな』と思っていました。その後、何年かたって、シェインから電話があって『今度監督します』って。『え、すごい』と。その瞬間、やっぱり出たいなと思っていたんです」

 ケインが「出られる役があったら何でも言ってね」と伝えると、1週間ほどして「悪役で大丈夫ですか」と連絡が来た。「もちろん何でもやります」と即答した。兄弟で映画の現場に立つのは、父の作品に出演した子どもの頃以来だった。

「夢のような感じでした。まさかシェインが監督になると思っていなかったから、それでその作品に出る。僕は40年以上、いろんな映画に出ていますけど、今回は本当に一番の宝ですね」

 現場では、弟の新たな顔も見た。シェイン監督は迷いなく欲しい画や役の方向を伝え、「このテークは良くなかった。もうちょっと静かに」と兄にも遠慮なく注文した。

「僕もだいぶ年を取って、最近は現場で年上になるので、周りがちょっと気を遣ってくれる。でも、シェインがいるとそれは全然ないんです。逆にすごくやりやすかったですね」

 劇中のバーでケインがパンチを繰り出す相手は、実はシェインだ。

「本当に兄弟げんかでした。家族っていいですよね。欲しいものを気を使わずにすぐ言えるし、安心します」

 2人は子どもの頃、学校から帰るとゲームやスポーツをし、負けず嫌い同士で毎日のようにけんかした。アメリカンフットボールも同じチームだった。ケインが日本に来た後も、シェインは夏休みに訪ねてきた。今も何でも相談できる存在だという。

「一番の友達というか、何でも相談できます。自分が悩んでいる時、何も言わなくてもシェインが大体分かるんです。『何か手伝うか』みたいに。そういうのが兄弟ですよね」

M-1グランプリへの出場を振り返った【写真:冨田味我】
M-1グランプリへの出場を振り返った【写真:冨田味我】

海外では「ほとんど悪役…ずっと死んでいます」

『四十九-SEEK』は日本映画でありながら、海外市場も意識したアクション作品だ。ケインが演じるのは悪役。20代、30代は正義側も多かったが、海外に挑戦してからは悪役が増えた。

「海外では、ほとんど悪役が多いですね。アジア人でアクションをやるということは、悪役ですね。この2、3年はずっと悪役で、ずっと死んでいます」

 そう言って笑うが、悪役には自由があるという。クールにもクレイジーにも振れ、主人公ができない部分を引き受ける。特撮ヒーローとして学んだアクションも、今の役作りに生きている。

「アメリカはパワーですよね。一つひとつがバンって。中国とか香港はスピード、速さ。日本は無駄がないんです。侍の剣の振り方とか殺陣とか、全部無駄がない。それを自分のスタイルに入れて、そこに他の国のスタイルを入れると、より面白い」

 俳優の枠も越えた。2023年、なかやまきんに君と「パーフェクトパワーズ」を組み、M-1グランプリに出場。きんに君のYouTubeで冗談半分に「今度はM-1に一緒に出よう」と口にしたところ、半年後に「申し込みしました」と電話が来た。

「えっ、いきなりで、練習なしで。『練習しようよ。これやばいっすよ』って。きんに君は慣れているから大丈夫ですけど、自分はお笑いをやったことがない。1回戦は前の日に12時間ぐらい練習して、本番に出ました」

 アクションならすぐに覚えられるが、ギャグの間やせりふはなかなか頭に入らない。3回戦を突破し、準々決勝へ進出した。

「全部きんに君です。自分は本当にかみかみで、全然面白くなくて。一番笑いを取ったのは、自分がかんでいるところでした」

 再挑戦を聞くと、「もうこりごりです。特に1人は無理っすね」と即答。それでも、ゲーム配信で視聴者に突っ込まれ、「スベっても大丈夫」と思えるようになった経験が、漫才の舞台へ背中を押した。

 挑戦を続ける原動力は、娘の存在だ。

「彼女もこれから壁にぶつかると思うんです。小さい頃から『お父さんもいろんなことに挑戦して、いろんな壁にぶつかったけど諦めない』ということが一番大事だと伝えたい。言葉だけだと全然違うので、ちゃんと見せてやりたいと思っています」

 娘は7歳になった。最近は「もうパパいいですよ」と言われることも増え、成長を感じる。家庭では英語で話し、娘は日本語と中国語も学んでいる。

「ちゃんと勉強してね。漢字とか勉強してね。大きくなったらお父さんの手伝いして。お父さんは読めないから、ちゃんと漢字を読めるようになってね、と言っています」

 自身にも、子どもの頃にもっと日本語や中国語を学んでおけば、役の幅やチャンスが広がったかもしれないという思いがある。

「今はとりあえず、いろんなことに挑戦したいですね」

 弟の長編初監督作で悪役を引き受け、漫才の舞台にも立った。51歳のケインは、挑戦する父の背中を娘に見せながら、これからも新しい壁へ向かっていく。

□ケイン・コスギ 1974年10月11日、米ロサンゼルス出身。8歳の時に映画『ニンジャII/修羅ノ章』(83年)で子役としてデビュー。抜群の身体能力を生かし、TBS系『スポーツマンNo.1決定戦』では歴代最多となる6度の総合No.1を獲得。2002年に映画『マッスルヒート』で初主演。05年から本格的にハリウッドへ進出し、映画『DOA/デッド・オア・アライブ』(07年)などで活躍。大正製薬「リポビタン」シリーズのCMでも親しまれている。

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