大島優子、家族を持って変わった仕事観 共に働くスタッフにも「素敵な時間だったと思ってもらえるように」

俳優の大島優子が、アニメ映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』(公開中)で、日本語吹き替え版のゲスト声優を務めた。演じたのは、恐竜に詳しいジャングルのエキスパート・ハーパー。3歳の上の子どもは、試写会で母親の登場場面を瞬きもせずに見つめていたという。親子で親しんできた作品への参加は、大島にとって特別な仕事となった。

インタビューに応じた大島優子【写真:増田美咲】
インタビューに応じた大島優子【写真:増田美咲】

映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』吹き替え版でゲスト声優

 俳優の大島優子が、アニメ映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』(公開中)で、日本語吹き替え版のゲスト声優を務めた。演じたのは、恐竜に詳しいジャングルのエキスパート・ハーパー。3歳の上の子どもは、試写会で母親の登場場面を瞬きもせずに見つめていたという。親子で親しんできた作品への参加は、大島にとって特別な仕事となった。(取材・文=平辻哲也)

 出演の話を聞いた時、最初に浮かんだのは驚きだった。

「『いいんですか』と思いました。子どもがリアルタイムですごく好きなので、親子で見ていましたし、遊び場やおもちゃ屋さんに『パウ・パトロール』があると、ずっと遊んでいるんです。『いいんですか。ありがとうございます』と思って、本当にうれしかったですね」

 子どもたちのお気に入りは、警察犬のチェイスと、空を飛ぶスカイ。大島自身は、都会で暮らすダックスフントのリバティが好きだ。

「街の案内人として『パウ・パトロール』に憧れつつ、自分の役割を一生懸命、みんなのために全うしていたら、みんなが感謝してくれて仲間になった。あの喜びにすごく感動しました。親心ですね。人から感謝されるとうれしいよね、と思いました」

 大島が演じるハーパーは、島に眠る資源を狙うダイヤモンドハンター・アリステアのパートナーとして登場する。パウ・パトロールとは反対側にいるが、単純な悪役ではない。

「敵側、ライバル側にいながら、別に敵ではないんです。ジャングルのエキスパートとして出てくる役です」

 収録前には、役柄に合わせ、普段よりも低い声を準備していた。

「最初は声を低めに作っていったんですけど、監督さんから『普通に大島さんのトーンでいいですよ』と言われました。『あ、そっか。悪くないんだ』と思って、普通に、自分自身の声で楽しくやらせていただきました」

 アフレコは1人で行った。レギュラーキャストの声は収録されており、作品の世界に入り込む助けになったという。

「(アリステア役の)ジャンボたかおさんの声は、まだ入っていなかったと思います。一緒にいる場面が多いんですけどね。ライバール市長の声は入っていて、私もライバール市長がすごく好きなので、あのテンションに引っ張ってもらいながらやりました」

『パウ・パトロール』との出会いは、オープニング曲だった。子どもが、メンバーの名前を1人ずつ呼ぶ部分を気に入り、何度も繰り返して見るうちに作品全体が好きになった。

 子ども向け作品を見せる時は、大島も一緒に内容を確認する。

「一度、一緒に見てみて、『ちょっと怖いかな』と思ったら、なるべく避けるようにしています。まだ小さいので、どういうところで怖い、不安だと思うか分からないですし、言葉にもできないと思うので。こちらも気にしながら見ています」

 今回の仕事について、上の子どもには「ママは『パウ・パトロール』のみんなとお仕事をするよ」と伝えた。

「『ええっ!』と、すごく喜んでいました。でも、『声をやるんだよ』と言っても、何のことかはよく分かっていなかったと思います」

家族ができたことで変化した仕事観を明かした【写真:増田美咲】
家族ができたことで変化した仕事観を明かした【写真:増田美咲】

変化した仕事観「一つ一つを丁寧に」

 その意味を理解したのは、試写会だった。大島は上の子どもを会場に連れて行った。

「すごく楽しんでいました。皆さんが静かに見ている中で、『あ、マーシャルが!』と声を出しながら見ていて。私が出る時に『ママ、出てた?』と聞いたら、瞬きもせずに、じっと見てくれました」

 上映後、「ママ、分かった?」と尋ねると、子どもは「分かった」と答えた。

「うれしかったです」

 本作の舞台は、地図にも載っていない未知の島、ダイノ・アイランド。パウ・パトロールのメンバーが恐竜たちと出会い、火山の異変によって起きる危機に立ち向かう。大島が作品の魅力として挙げるのは、それぞれの個性を生かしたチームワークだ。

「一番魅力的なところは、仲間思いで助け合う心だと思います。1人で頑張ることはできるし、諦めないことは1人でもできます。でも、助け合うことで成り立って、できることがある」

 それは、芸能活動や子育てを通じて、自身が実感してきたことでもある。

「私も周りに助けられてきた人です。仲間がいるからこそ、できたことがたくさんあります。そういうことを全国の子どもたちに知ってもらえたら、焼き付いてもらえたらいいなと思います。母親としても教え続けてあげたい。自分1人では何もできないので」

 作品には、メンバーそれぞれの能力や性格を認める姿勢が一貫して描かれている。

「それぞれに個性があって、『そのままの君でいいんだよ』と言ってくれている作品です。私も自分の子どもに、『そのままでいいんだよ』と言えるようになりたいと思います」

 家族ができても、俳優としての仕事内容を意識的に変えたわけではないと話す。一方で、仕事への向き合い方は変化した。

「一つ一つを丁寧に、誠実に、大切にしようと思うようになりました。以前は、数をこなすような部分もあったと思います」

 自分に家族がいるように、撮影現場や取材の場で一緒になるスタッフにも家族がいる。その人たちも、大切な人との時間を使って仕事をしている。

「家族ができたことで、一緒に仕事をする皆さんにも家族があって、その時間と引き換えに仕事をしているんだと考えるようになりました。相手に『この時間がすごく素敵だった。よかった』と思ってもらえるようにしたい。ちゃんと誠実に向き合おうと、より強く思うようになりました」

 今後、挑戦したい仕事を聞くと、「何でもやりたいです」と即答した。その上で、これまで経験がない仕事として挙げたのが、ラジオのパーソナリティーだった。

「ラジオのパーソナリティーをやってみたいですね。普段は子どもとしか話していないので、自分の中にあるものをアウトプットする時間が欲しい。インプットしていることの方が多くて、アウトプットできていないなと思うことがあります。声だけで、届く人に届けばいい。ただのつぶやきみたいな感じでやってみたいです」

 自身も車の中でラジオを聞く。映像を見る必要がないため、運転や家事をしながら情報や言葉を受け取ることができる。

「音だけだと、ながら作業もできます。動画を見ていると手が止まって、意外と家事が進まない。じっとしている時間がもったいないと思ってしまうんです。ラジオはいいな、声だけでもいいなと思います」

 子どもと一緒に見てきた作品では、声の演技に挑んだ。次は、声だけで自分の言葉を届ける仕事を思い描いている。

□大島優子(おおしま・ゆうこ)1988年10月17日生まれ、栃木県出身。96年から子役として芸能活動を開始。2006年にAKB48へ加入し、中心メンバーとして活動した。14年のグループ卒業後は俳優業を本格化。映画『紙の月』で第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、ドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』で第85回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞した。主な出演作にNHK連続テレビ小説『スカーレット』、大河ドラマ『青天を衝け』、ドラマ『アンチヒーロー』『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』、映画『教場 Requiem』など。声の出演ではディズニー映画『メリダとおそろしの森』で日本語吹き替え版の主人公メリダを演じた。

【作品情報】
映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』
2026年7月24日公開。監督はカル・ブランカー。日本語吹き替え版では潘めぐみ、石上静香、小市眞琴、井澤詩織、松田颯水、小堀幸、矢作紗友里らが声を担当。ゲストキャストとして大島優子、レインボーのジャンボたかお、池田直人が出演する。配給・東和ピクチャーズ、東宝。

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