『風、薫る』上坂樹里、直美の母に「まさか」…台本読んで驚き 「見返したくなった」シーンとは

俳優の上坂樹里がこのほど、大家直美役で出演するNHKの連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)について取材に応じ、直美の運命が大きく動いた第17週の撮影や、長期間にわたって一つの役を生きた思いを語った。作品は見上愛と上坂が主人公を務め、明治時代に看護の道を切り拓いたりん(見上)と直美(上坂)の物語。

直美を演じる上坂樹里【写真:(C)NHK】
直美を演じる上坂樹里【写真:(C)NHK】

直美の運命が大きく動いた第17週

 俳優の上坂樹里がこのほど、大家直美役で出演するNHKの連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)について取材に応じ、直美の運命が大きく動いた第17週の撮影や、長期間にわたって一つの役を生きた思いを語った。作品は見上愛と上坂が主人公を務め、明治時代に看護の道を切り拓いたりん(見上)と直美(上坂)の物語。

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 第17週では、直美が持つお守りをきっかけに、文が実の母であることに気付く展開が描かれた。視聴者も予想していなかった母親の正体について、初めて知った際の心境を聞いた。

「第17週の台本を読むまで、文さんが実の母親ということを知らなかったので、『まさか、文さんが』と、私自身もびっくりしました。初めから直美を見ている人からしたら、直美自身もそうですけど、想像もできなかった新しい世界というか、その中に飛び込んでいく週はとても印象深いです。文さんとは第6週で、トメちゃんとりんと瑞穂屋で美津さんが琴を弾いているシーンで、会話はないんですけど同じ場にいました。その時は本当に何も知らなかったので、もう一度見返したくなりました」

 その後、文は胃がんであることが分かり、治療法がないと告げられた。直美の成長をたたえた後、生涯を終える。りんの母・美津(水野美紀)から「よく頑張りました」と声をかけられると、直美が抑えてきた感情は決壊。大号泣する姿も描かれた。

「直美は一ノ瀬家に一緒に住まわせてもらう時点で、美津さんに対する感謝の気持ちは最初からあったんですが、第17週の文さんとの一連の流れが終わって、美津さんに言葉をかけられて、我慢していたものが一気にあふれ出るシーンを撮った時に、人生の経験値が違うからこそ言葉の重みがすごくありました。もちろん、りんだったり、吉江先生だったり、周りの人に支えてもらう描写が第17週には多くあるんですが、その中でもやっぱり美津さんという存在はとても大きくて、美津さんの言葉は素直にうれしかったと思います」

 文との出会いと別れは、直美が看護婦として進む道にどのような影響を与えるのだろうか。

「文さんの看護を経て、実の母親を見つけられたことはとても重要なことだと思います。いろいろな人と向き合う中で、セツさん(夕凪)の看護で直美が今まで目の前の人を『助けたい』という思いの正体が分かったというシーンがあったんですが、いわゆる派出看護を自分がすべきこと、したいことだと確信が持てるのは、文さんとの出会いが決定的なきっかけになってるんだなと思います」

直美(左=上坂樹里)と文(内田慈)【写真:(C)NHK】
直美(左=上坂樹里)と文(内田慈)【写真:(C)NHK】

撮影もいよいよ佳境「終わることへの寂しさが…」

 準備期間を含めて1年弱、直美と向き合ってきた上坂。役の歩みとともに、自身の中にも変化が生まれていった。

「最初の頃は直美の行動に分からない部分が多かったのが、りんをはじめ、いろいろな人と出会う中で、直美の内面もどんどん変わっていきました。その歩みを、演じている私も同じように感じられて、成長したなと思えるところが、“朝ドラ”ならではの1年という時間を使って、一つの役を演じられる良さだと思っています」

 周囲の人々との接し方についても、上坂は直美の歩みを実感している。

「直美の中にある、どんな困難な状況でも立ち向かう強さというのは最初の頃から変わらずあるんですが、その表し方が、とにかく誰にでも突っかかるのではなくて、誰かのためであったり、それこそ患者さんであったり、『誰かを救いたい』という気持ちが、看護婦として働く中で直美に芽生えたのが一つの成長だなと思います。素直に感謝を言えたりとか、人当たりが前より良くなったとか、そういう部分でも感じることが多いです」

 役への理解が深まるにつれ、台本を読む際の視点にも違いが生まれた。

「どんどん直美という役が愛おしく思えてきます。私はもともと役を作っていく上で、最初に自分と比較する癖があるんですが、当初は自分目線で台本を読んでいたのが、不思議と途中から直美として読み込めるようになったのが、大きく変わったことだと思っています」

 芝居に臨む際にも、これまでにはなかった感覚を得られたという。

「自分が、直美という役をちゃんと理解できてるからそうなっているのか分からないんですが、文さんとのシーンも、演技で『こうしなきゃ』と決めつけるよりも、台本に書かれている表情が自然と生まれるようになって、直美として内側から出てくる何かが今回初めてありました」

 撮影も佳境に入り、残された台本は「片手で数えられるほど」になった。「終わることへの寂しさみたいなのが出てきた」と率直な思いも明かした。

「自分の中に、大家直美という人生を背負わせてもらって。同じ役を1年というのは長いかもしれないんですが、それ以上に、違う人の人生を生きていった証を自分の体が一番感じています。演じる以上のものを、この直美という役からもらえたなという感覚です」

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