「ボーカルはAIなんです」s**t kingz、新曲でフィーチャリング入れず “ダンス勝負”に戻った理由
4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingzが、配信シングル『slow burn』をリリースした。新曲は、あえてフィーチャリングを入れず、自分たちが本当に踊りたいダンスに向き合った1曲だ。23年の日本武道館単独ライブ、24年の初主催フェスを経て、4人が選んだのは、もう一度、ダンスで勝負することだった。制作を主導したOguriをはじめ、NOPPO、kazuki、shojiに、新曲とグループの現在地を聞いた。

配信シングル『slow burn』をリリース
4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingzが、配信シングル『slow burn』をリリースした。新曲は、あえてフィーチャリングを入れず、自分たちが本当に踊りたいダンスに向き合った1曲だ。23年の日本武道館単独ライブ、24年の初主催フェスを経て、4人が選んだのは、もう一度、ダンスで勝負することだった。制作を主導したOguriをはじめ、NOPPO、kazuki、shojiに、新曲とグループの現在地を聞いた。(取材・文=平辻哲也)
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「今回の新曲は、いつも僕たちの楽曲を作ってくれているMASAKI TOMIYAMAというトラックメーカーと一緒に、僕がスタジオに入って制作を進めました」
そう語ったのはOguriだ。s**t kingzが最後にパッケージの形で楽曲を出したのは、日本武道館単独ライブ直前の『踊救急箱』収録曲『No End』。そこからしばらく時間が空いた。昨年は楽曲を出し切り、走り抜けた。その先に、同じ形を続けるのか。あるいは、新しい変化を作るのか。メンバーで話し合った。
「今回はあえて他アーティストとのフィーチャリングを入れず、僕たちs**t kingzの『ダンス』そのものにひたすらフォーカスを当て、自分たちが本当に踊りたいという思いを具現化する曲を作ろう、という結論に至りました。スタジオで3パターンほどデモを作ってメンバーに聴かせ、そこから一番良いものを広げていった形ですね」
狙ったのは、ダンサーのためだけの楽曲ではない。聴いても体が動く。見れば、さらに熱が上がる。ダンスの良さはもちろん、曲単体としてもテンションが上がるポイントを入れ込んだ。
今回の楽曲には、もう一つ特徴がある。ボーカルだ。表立った歌い手の名前はない。Oguriは「ボーカルはですね、実は『AI(人工知能)』なんです」と明かす。いわゆるボーカロイドを採用した。
「そうです、そうです。なので、本当に『トラックメーカーが主導して作った曲』という位置づけに近いんですよね」
この試みを、NOPPOは制作の途中から面白がっていた。
「デモからだんだん曲が出来上がっていくプロセスを見ていたのですが、普段僕たちが作る楽曲に比べて、とにかく展開が多いなと感じました。ベースにあるファンクのグルーヴがとにかく心地よくて、何よりOguriが言っていた『ダンスをテーマにして作る』というコンセプトが明確だったので、聴いた瞬間に本当にワクワクしましたね」
振り付けはすでに完成している。リリースに先駆け、一部のフェスではパフォーマンスも披露された。Oguriは「その時のステージ映像や、新しく撮影したパフォーマンスビデオなども、ファンの皆さんに近いうちにお届けできればなと思っています」と話す。
「僕たちの本質が詰まったもの」と手応え
音源が解禁された段階で、ファンの反応は熱を帯びた。kazukiは、その期待値の高さを感じている。
「パフォーマンス自体はまだ一部のフェスでしか披露していないので、すべてのファンの方が見られたわけではないのですが、音源が解禁された時点での『どんなダンスになるんだろう!』という期待値の高さが、いつも以上にすごくてうれしいです」
kazukiに不安はない。
「今回の振り付けは間違いなくその高い期待を超えられる仕上がりになっています。僕自身、踊っていて本当に大好きなパフォーマンスですし、なんというか、めちゃくちゃ『ちゃんとかっこつけられる』振り付けなんです。曲調もそうですし、漂う大人の雰囲気も、昔からシッキンが持っていたかっこよさが凝縮されている感じがします。最近の活動では意外に見せられていなかった、僕たちの本質が詰まったものになっているので、一刻も早く皆さんに見てほしいですね」
s**t kingzの公式ファンクラブは「062(オムツ)」という名前を持つ。グループ名の「s**t kingz」から連想し、ファンクラブから発信する情報を一滴も「漏らさず」届けるという意味を込めた。kazukiは「最初は『オムツです!』と名乗ることに、みんなちょっとだけ抵抗があったみたいですが、今ではファンの皆さんも迷いなく『062です』と言ってくれるようになって、最高ですね」と笑う。
ファンの愛称は「シッター」。ファンクラブができる前、ラジオ番組の企画で募集した際、一番人気が高かった呼び名だという。shojiは「今でもライブのMCやSNSなどで、親しみを込めて『シッターの皆さん』と呼びかけることはよくありますね」と話す。
そのシッターたちが見つめる4人は今、グループの外でも動いている。ドラマ、舞台、演出、YouTube、講演、デザイン。Oguriはその形を「出稼ぎスタイル」と呼ぶ。
「年齢を重ねるにつれて、それぞれが『今、本当にやりたいこと』が昔よりも明確になってきていると感じます。それに対してメンバーがお互いに口出しをすることは一切なくて、『とにかくやりたいように自由にやろう、みんな』というスタンスをとっています」
“出稼ぎスタイル”で相乗効果「母体がどんどん強くなっていく」
kazukiは、他アーティストのライブ演出や個人YouTubeの経験をグループに還元している。
「演出の仕事は、自分たちのステージを作る際のアイデアにダイレクトに生きるので、日々勉強だなと痛感しています。コロナ禍に始めた個人YouTubeも6年ほどたち、カメラの前で1人でしゃべる経験を重ねたことで、フリートークへの苦手意識がなくなりました」
NOPPOは、他アーティストへの振り付けやデザインに加え、ソロでのプロデュース公演「GOOFY~マヌケな2人の間で~」を上演した。
「個人で少し大きめのプロジェクトを動かすときは、意識的に『s**t kingzがまだやったことのない新しいアプローチや告知方法』を実験的に試すようにしています。グループで挑戦して失敗すればメンバーやスタッフにもリスクが及びますが、個人活動なら責任は自分で負える。だからこそ試し、成功体験やノウハウをグループに持ち帰るんです」
shojiは、専門学校や高校、ビジネスフォーラムなどで講演する機会が増えた。
「これまでs**t kingzで培ってきた経験を、ダンス界以外の方々とシェアする中で、多くの学びを得ています。メンバー全員が外で仕事をすればするほど、いろんなものをs**t kingzに持って帰ってこられて、母体がどんどん強くなっていくのを肌で実感していますね」
『slow burn』は、そうした現在地から生まれた曲だ。歌ではなく、言葉でもなく、まず体で見せる。原点に戻ったのではない。外で得たものを抱えたまま、もう一度、ダンスのど真ん中に立った。
□s**t kingz(シットキングス)shoji、kazuki、NOPPO、Oguriの4人によるダンスパフォーマンスグループ。2007年10月結成。アメリカのダンスコンテスト「BODY ROCK」で10、11年と日本人初の2連覇を達成。三浦大知をはじめ数多くのアーティストの振り付けやライブ演出を手がけ、ストリートダンス界をけん引。作・演出・振り付け・出演をすべて自身で行う「単独公演」を確立し、23年には初の単独日本武道館ライブを成功に収めた。24年7月には、1万人を動員した初の主催フェス「s**t kingz Fes 2024 ももたろう」を神奈川・横浜BUNTAIで開催し、今年7月25日・26日には「s**t kingz Fes 2026 会社」を神奈川・ぴあアリーナMMにて開催。
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