山崎貴監督、『マンダロリアン・アンド・グローグー』をIMAXで見るべき理由 ジョン・ファヴローへの敬意も「大変だったと思います」

7年ぶりのシリーズ劇場公開作品となる映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が大ヒット公開中。“スター・ウォーズ熱”が高まる中、ENCOUNTでは芸能界の『スター・ウォーズ』ファンにインタビューを実施した。第6回は、第5回に引き続き映画監督の山崎貴氏に、IMAXだから生まれた本作の見どころと、同じ作り手として「Filmed For IMAX」に挑戦する意義を聞いた。

インタビューに応じた山崎貴監督【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた山崎貴監督【写真:ENCOUNT編集部】

SW初の「Filmed For IMAX」作品…映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』で共感も

 7年ぶりのシリーズ劇場公開作品となる映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が大ヒット公開中。“スター・ウォーズ熱”が高まる中、ENCOUNTでは芸能界の『スター・ウォーズ』ファンにインタビューを実施した。第6回は、第5回に引き続き映画監督の山崎貴氏に、IMAXだから生まれた本作の見どころと、同じ作り手として「Filmed For IMAX」に挑戦する意義を聞いた。(取材・文=猪俣創平)

 伝説の賞金稼ぎ・マンダロリアンと、強大なフォースの力を持つグローグーの冒険を描く本作は、5月22日に公開されると、3週連続で興行ランキング1位を獲得。国内興行収入25億円を突破するなど大ヒットを記録している。

 かわいらしいグローグーの姿だけでなく、『スター・ウォーズ』映画初の「Filmed For IMAX」として製作された本作は、大画面での高画質な映像と音響による壮大なスケールも話題となっている。山崎氏は、IMAXで鑑賞することで「没入感が圧倒的に違います。視界が覆われることで、映画の中にいるような感覚になるので、特別な没入感がありますよね」と特別な映画体験につながると強調する。

 奇しくも、山崎氏が監督・VFX・脚本を務める映画『ゴジラ-0.0』(11月3日公開)も邦画作品として初めて「Filmed For IMAX」に認定されている。その特徴の一つとしては、一般的な横長のシネマスコープアイズのアスペクト比が「2.35:1」に対し、IMAXスクリーンのフルサイズでは「1.43:1」と上下に大きく広がることが挙げられる。

「いま自分でも『Filmed for IMAX』の映像を作っていて、服を脱がされちゃったような恥ずかしさがあるんですよ。全部がスクリーンになって隔てているものがない。普通は上下に余白が見えることで『劇場』とか『スクリーン』と感じるんだけど、全視界がIMAXの映像で埋められちゃうと、その世界の中に自分も一緒にいる感じになれます。ただ、なんだか知らないけど妙な恥ずかしさがあります(笑)」

 照れくさそうに話す山崎氏に、その理由を聞くと「映像の全部を見られちゃうので、毛穴まで見られている感覚がありました。言い換えれば、本当に全部を見せちゃうすごさだと思いますし、観客にとっては映画の“その場所”に行って見ている感覚になれます」と解説した。

 本作でも冒頭、雪の惑星でのAT-ATとの戦闘シーンなど、IMAXだからこそ迫力が増すアクションが印象的だ。同じ作り手として、IMAXのための映像を手掛ける際のポイントについて、IMAXの名手でもあるクリストファー・ノーラン監督作を例に説明した。

「まずスペクタクルを意識しますね。僕は全編IMAXよりも、途中でスクリーンが上下に開く映画が好きなんですよ。IMAXの本社でプレゼンテーションをしてもらった時に、IMAX作品の短いクリップをいくつか見せてもらったんですけど、その中で一番衝撃的だったのが『インター・ステラー』の宇宙でのシーンでした。本当に宇宙に行った気がしたんですよ。宇宙船の中はシネスコなんだけど、宇宙に出るとIMAXサイズになるシーンで、カットバックで切り替わるのがとにかくすごくて、宇宙船が飛んでいった船外になると“バーン!”と上下に広がるところを見て、『ああ、絶対IMAXやる!』と強く思いました(笑)」

CGで描くアクションシーンのポイント

 IMAXに衝撃を受けた山崎氏だったが、「『ゴジラ-0.0』でそれに挑戦しているんですけど……見る方がいいですね」と笑いながらも本音をこぼし、本作を手掛けたジョン・ファヴロー監督ら製作陣の苦労を慮った。

「IMAXでやるとなると、とにかく大変で大変で……。何もかも作らなきゃいけないんです。怪獣がいたとして、(横に長い)シネスコだったらその周りの風景はそこまで作り込まなくても大丈夫なんですよ。でもIMAXだと上下に増えちゃうので、下の手前のところや、上の背景とかまで作らなきゃいけなくて、それがすっごく大変です(笑)。あと、通常の劇場ではシネスコのサイズで上映されるので、シネスコでもIMAXでも両方で画として成立させるものを作るのが本当に難しいです。だから、ジョン・ファヴローさんも大変だったと思いますよ」

 インタビュー直前には、そのファヴロー監督と対談を果たしたと明かし、「時間は25分くらいだったんですけど、3時間ぐらい話していたかったです。『あそこどうしたの?』『あそこのIMAXとシネスコのフレーミングとかをどう考えりゃいいんですかね?』って聞きたかったです」と話題が尽きなかったという。

 そんな山崎監督といえば、23年公開の映画『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞・視覚効果部門でアカデミー賞を受賞し、世界にその名をとどろかせた。本作では、ロッタ・ザ・ハットやデジャリック・マッチのクリーチャーたちが登場するように怪獣映画の側面もある。

 CGでのアクションシーンを描くにあたって、どのようなことを意識しているのか尋ねると、少し考えこんでから「あまり好き放題に撮らないようにすることが大事ですね」と答え、リアリティーの重要性を挙げた。

「CGのキャラクターって、カメラを自由に動かせるので好き放題になっちゃうんです。でも、本当にそのキャラクターがいた場合、実際に撮りに行ったとしたら、どこにカメラを置くのかを割と意識している気がします。だから、僕の場合はそこまで好き放題に作っていなくて、現行の機材を使って撮っている部分がすごくあります。それで言うと、今回も見ながら『分かる分かる』って思いました(笑)。好き放題になっちゃうと“作り物”になっちゃうんです。だから今回は“本当にそこにいる”と思わせる空気感がいいですよね」

 山崎氏が語った言葉からは、『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が追求した映像表現の奥深さと、その世界観を支えるクリエイターたちへの敬意が伝わってきた。

□山崎貴(やまざき・たかし)1964年6月12日、長野県松本市出身。幼少期に映画『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』や映画『未知との遭遇』と出会い、特撮の道を志す。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、1986年に株式会社白組に入社。2000年に映画『ジュブナイル』で監督デビュー。05年、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞の最優秀作品賞・監督賞など12部門を受賞した。23年、監督・脚本・VFXを務めた映画『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞・視覚効果部門でアカデミー賞を受賞した。今年11月3日には映画『ゴジラ-0.0』の公開が控えている。

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猪俣創平

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