山崎貴監督、“生グローグー”に衝撃「想像を絶するかわいさ」 アナログだから実現できる魅力とは
7年ぶりのシリーズ劇場公開作品となる映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が大ヒット公開中。3週連続No.1を記録し、興行収入も25億円を突破するなど“スター・ウォーズ熱”が高まる中、ENCOUNTでは芸能界の『スター・ウォーズ』ファンにインタビューを実施した。第5回は、映画『ゴジラ-1.0』などを手掛けてきた映画監督の山崎貴氏に、『スター・ウォーズ』から受けた影響や本作の見どころを語ってもらった。

『新たなる希望(エピソード4)』で受けた衝撃「全部すごい」
7年ぶりのシリーズ劇場公開作品となる映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が大ヒット公開中。3週連続No.1を記録し、興行収入も25億円を突破するなど“スター・ウォーズ熱”が高まる中、ENCOUNTでは芸能界の『スター・ウォーズ』ファンにインタビューを実施した。第5回は、映画『ゴジラ-1.0』などを手掛けてきた映画監督の山崎貴氏に、『スター・ウォーズ』から受けた影響や本作の見どころを語ってもらった。(取材・文=猪俣創平)
1978年に日本公開されたシリーズ1作目となる『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』。当時13歳の山崎氏は、初めて見た時の興奮を今も鮮明に覚えているという。
「僕らが特撮と呼ばれているジャンルで見ていた宇宙船と全く違って、とんでもなく制御された動きをしていて、本当の宇宙船に見えたんですよね。それがやっぱりすごく衝撃的でした」
心を奪われたのは映画冒頭。レイア・オーガナが乗船する反乱軍の宇宙船・タンティヴIVが帝国軍のスター・デストロイヤーに追跡されるシーンだ。
「最初にスター・デストロイヤーが出てきて、延々と終わらないじゃないですか。とてつもなく船が大きくて、エンジンが出てきた時にホッとしたのを覚えています。やっと船の全景が見えたっていうぐらい、ものすごく長い時間に思えて、しかもデザインもカッコいいし、ビジュアルショックがめちゃくちゃ大きかったですよね」
そして、『新たなる希望(エピソード4)』から受けた衝撃が映画界を目指したきっかけにもなったと振り返る。
「最初はゴジラ映画や怪獣映画から始まって、『あれは大人たちがみんなで寄ってたかって作ってるらしいんだ』と分かった時に、『そんな仕事があるんだ』という驚きがありました。その後に『未知との遭遇』(1977年)と『新たなる希望(エピソード4)』がつるべ打ちで公開されて、こんなことが仕事でできたらなんて素晴らしいんだろうと思いながら、『俺はなんで日本に生まれたんだ』とちょっと思ったりもしました(笑)」
長野県出身の山崎氏はその後、特撮の道へと進んだ。2005年には監督・脚本・VFXを担当した映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞の最優秀作品賞・監督賞など12部門を受賞。23年公開の映画『ゴジラ-1.0』では、第96回アカデミー賞・視覚効果部門でアカデミー賞を受賞し、世界にその名をとどろかせた。
日本を代表するVFXクリエイターの山崎氏は、旧三部作は今も色あせない名作だとし、「全部すごいんですよ。いまだにセンス・オブ・ワンダーにあふれています」と作り手目線でも絶賛する。
「実在するように見えながら、どこかに手作り感の温かさがありますし、当時の技術が足りていない部分が逆にすごく魅力になっています。相変わらずスター・デストロイヤーの最初のオープニングはやっぱり体が覚えている感じで『たまらん!』って興奮しますよね(笑)」
山崎氏は『ゴジラ-1.0』でデジタル技術だけでなく、スタッフによる人力で動かした素材を駆使して、迫力のある映像を完成させていた。CGなどに頼らないメイキングシーンは、旧三部作の特殊効果を手掛けたILM(インダストリアル・ライト&マジック社)の舞台裏に迫ったドキュメンタリーシリーズ『ライト&マジック』(ディズニープラスで独占配信中)を彷彿(ほうふつ)とさせた。
今もあの頃の“手作り感”を大切にしているのか尋ねると、「半分は意識していますけど、大切にせざるを得ないです。もう半分は最新テクノロジーが使えないっていう悲しみがあるわけですけど」と笑いながら本音をこぼしつつ、手作りだから生み出せる“マジック”があると説明する。
「今の時代だからこそ逆に悪くない気がしています。まさに『ライト&マジック』を見ると、すごくワクワクするじゃないですか? 『うわ、こんなことをやっているんだ』という驚きや感動があるんですよ。我々も目指している映画を作る上で、CGだけじゃできなかったり、CGで作っても『何かイマイチだね』という時に、ミニチュアを使ったり、いろいろな手作りをすると、画に怨念がこもるんです。だから、半分はしょうがなくやっていることなんだけど、もう半分には手作りでの工夫にこそ我々のわずかな勝機があるんではないかという気がしていますね」

“生”グローグーに大興奮「うわ、大スターじゃん」
あえてデジタルを駆使しない手法でいえば、本作でのグローグーだ。パペット(人形)で撮影され、そのかわいらしい姿が多くのファンを夢中にさせている。山崎氏も「それは本当に素晴らしいことですよ」と絶賛し、「さっきね、本人に会ったんですよ!」とグローグーとの対面に声を弾ませた。
「たまらなくかわいかったです。劇中のグローグーもかわいいんですけど、“生グローグー”は想像を絶するくらいかわいかったです。今、インタラクティブに反応してくれて、同じ空間に動くグローグーがいて、『映画に出た人だ! うわ、大スターじゃん』と思って、久々に興奮しました(笑)」
本作では、そんなグローグーと伝説の賞金稼ぎ・マンダロリアンの壮大な冒険が描かれ、グローグーの活躍する場面も多い。
「とにかく健気なキャラクターがいっぱい出てくるところが良かったですね。『頑張れ!』とずっと応援していました。グローグーが今回、マンダロリアンを助けるために頑張るシーンもあるじゃないですか。これまでは食べてばかりいるかわいい子どもだったのに、今は一生懸命になってマンダロリアンを助けるために頑張っているのが良かったですね」と見どころを語った。
また、グローグーと同じくパペットで撮影された、ドロイド修理に長けた小さな種族・アンゼランたちの活躍も挙げ、「グローグーがあの小さいアンゼランたちと一緒にスピーダーの操縦席に乗ったり、ちっちゃい宇宙船に乗ったりするところとかね。アンゼランもたまらないですね。グローグーよりも小さいキャラクターがいるっていうのもかわいいですよ」と目尻を下げた。
そして、『スター・ウォーズ』という長年愛されてきたシリーズで、マンダロリアンやグローグーを生み出したジョン・ファヴロー監督をはじめとした製作陣に賛辞を送った。
「旧三部作の世界観をものすごく大事にしながら、そこに出てきた端っこのモブキャラにもちゃんと力を与えて、人生も与えて、彼らの生きざまを見せています。極端なことを言うと、ストームトルーパーも一人一人いろんな人生があるんだと感じさせてしまう、その世界観を裏打ちしている力が本当に素晴らしいです。それと、『スター・ウォーズ』という枠組みの中で、新たなキャラクターたちを作り上げていくことはすごく難しいことだと思うんですよ。レガシーキャラクターたちが魅力あるのは当たり前ですし、みんなにずっと愛され続けてきているわけですから。でも、新たなキャラクターを生み出して、それが初見から魅力的に見えちゃう。グローグーなんて出た瞬間にかわいいじゃないですか。そういう力が本当にすごいです」
□山崎貴(やまざき・たかし)1964年6月12日、長野県松本市出身。幼少期に映画『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』や映画『未知との遭遇』と出会い、特撮の道を志す。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、1986年に株式会社白組に入社。2000年に映画『ジュブナイル』で監督デビュー。05年、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞の最優秀作品賞・監督賞など12部門を受賞した。23年、監督・脚本・VFXを務めた映画『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞・視覚効果部門でアカデミー賞を受賞した。今年11月3日には映画『ゴジラ-0.0』の公開が控えている。
猪俣創平
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