山でクマ発見→「いちいち通報しないで」と議論に… フンの痕跡だけでも? ハンターが明かす見解

昨年、全国のクマ被害は過去最悪を更新。冬が明け、今年も各地でクマの目撃情報が寄せられている。ネット上では、山の中でクマを見かけた際の対応が議論に。クマ本来の生息地である山中であっても、自治体や警察に通報を行うべきなのか。クマ駆除の対応を行う現役のハンターに詳しい実情を聞いた。

山の中でクマを見かけた際の対応が議論に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
山の中でクマを見かけた際の対応が議論に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

山でクマを見かけた場合は通報すべき? クマ対策全般に携わるハンターが解説

 昨年、全国のクマ被害は過去最悪を更新。冬が明け、今年も各地でクマの目撃情報が寄せられている。ネット上では、山の中でクマを見かけた際の対応が議論に。クマ本来の生息地である山中であっても、自治体や警察に通報を行うべきなのか。クマ駆除の対応を行う現役のハンターに詳しい実情を聞いた。

 今月中旬、ネット上では「山でクマを見かけた場合、自治体や警察に通報すべきか」という議論が白熱。

「山に熊がいるのは当たり前です。見かけたからといっていちいち自治体とか警察に連絡しないで」「山に行って熊がいますとか言う奴アホだろ。嫌なら入るな」「元々住んでいる山まで入って来て、通報される熊が気の毒」といった声や、「連絡はした方が良い。自治体から市・町・村ないの住民に熊目撃情報を発信する必要があるから」「駆除しろって事じゃなく、警戒しろよって事です」「情報共有は大切だと思う」という意見など、さまざまな反応が寄せられている。

「実際、どのレベルから連絡すべきなんだ?」「登山道から遠く離れたところにいるのを見かけた場合でも通報した方がいいのかな」など、通報の線引きを巡り疑問の声も。「姿だけでなく、フンなどの痕跡だけでも通報を呼び掛けている自治体もあります」といった意見も上がっている。

 実際のところ、対応にあたる現場では頻繁に寄せられるクマの目撃情報をどう捉えているのか。

 関西在住で狩猟歴10年、自治体からの要請を受けて捕獲・防除を含めたクマ対策全般に携わっているという40代の男性ハンターは、「通報を受けて対応する仕事をしている立場としては、町中でも山中でもクマを見たら通報してほしい。とりあえず見たら警察や役場に連絡してほしいというのが現場の感覚です」と通報の重要性を解説する。

「場合にもよりますが、山奥は基本的にクマの生息域(コアゾーン)に入るので捕獲の対象外。山でクマが出たからと直ちに駆除を行うようなことはありません。寄せられたクマの目撃・痕跡情報は、出没したクマの危険度の判断や今後の動向の推察、出没原因の推察と対策に役立てることができます。現場で適切に対応するためには情報が必要不可欠で、情報は多ければ多いほど正確かつ迅速な判断ができる。逆に通報がないと対策が遅れ、被害につながったり、人慣れや集落への依存が起きて、本来は防除で防げていたものを駆除せざるを得なくなったりします。人の安全はもちろん、クマの不必要な駆除を行わないためにも情報の集積が大切なんです」

 目撃情報が寄せられると、まずは自治体や関係機関に情報が共有され、必要に応じて現場の確認や防除、誘引物の調査・除去などの対応が行われる。駆除の必要があると判断されれば、市町村を通じて都道府県に捕獲許可申請を行い、わなを設置、捕獲を行う。市町村から許可申請を行うには、出没情報や農作物の被害情報などが必要となり、情報が少ないと捕獲許可が出ないこともあるため、クマやその痕跡を発見した際はできる限り役場や警察に連絡をすることが大切だという。

「昨年度の大量出没の影響で、クマ=怖いもの、というイメージが非常に強く刷り込まれてしまったように感じますが、『怖い』だけで終わらせず、現場の対策がどうなっているのか、どういう行動原理で動いているのかを知っていただく機会となれば幸いです」

 この他、個体数の把握など、クマを保護していくためにも必要となる目撃情報。この先も人とクマが共存していくためにも、ためらわず積極的に通報を行っていくことが求められている。

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