研ナオコ、初“朝ドラ”で語り担当 苦手分野で“ゼロ”から試行錯誤「自分を見失わないように」
芝居やコントなど幅広い分野で活躍する歌手・研ナオコが、占い師・真風(まじ)を演じ、語りも務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)について取材に応じ、演じる役や初挑戦の語りへの思いを語った。作品は、俳優・見上愛と上坂樹里が主人公を演じ、明治時代に看護の道を切り拓いたりん(見上)と直美(上坂)の物語。

NHK連続テレビ小説で占い師・真風役と初の語り
芝居やコントなど幅広い分野で活躍する歌手・研ナオコが、占い師・真風(まじ)を演じ、語りも務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)について取材に応じ、演じる役や初挑戦の語りへの思いを語った。作品は、俳優・見上愛と上坂樹里が主人公を演じ、明治時代に看護の道を切り拓いたりん(見上)と直美(上坂)の物語。(取材・文=中野由喜)
演じる真風は神出鬼没の占い師。金髪のロン毛というインパクト大の風貌。まずは占い師役と聞いてどう感じたのか尋ねた。
「普通の役より楽しそうだなと思いました(笑)」
どう演じようと思ったのか。役作りは?
「私は俳優ではないので役作りはできないタイプなんです。その場の空気感をキャッチしたらそのままずっとやっていく形。今回はビジュアルが結構なインパクトですから、それだけでオッケーかなと思っています」
初登場の際、金髪のロン毛にSNSで「一気にファンタジー」「笑えて気持ちが明るくなった」といった声が飛び交い、好評だった。どんなキャラクターと捉えているのだろう。
「りんと直美を見守る役で大事な時に登場してアドバイスをしますので母親のような意識で演じています。出番も少ないのでインパクトがあって余計に楽しいです。キャラが強すぎるので出演シーンが多いと邪魔になってしまいますから(笑)」
出演シーンが多ければ視聴者はより楽しめると思うのだが……。
「私、どの番組もちょっとがいいんです。1カット終わって次のシーンもあると、いろいろ考えてしまい、エネルギーが持続できるかなと思ったりします。私は1カットに全エネルギーを注ぎ込んで完全燃焼し、終わるとセリフも全部忘れるタイプなんです。忘れないと次が入ってこないんです。最近も、昔出演したドラマの再放送を見ていた夫に『テレビ出てるよ。主役だよ』と言われましたが、私は『何これ?』という感じで、すっかり忘れていました(笑)」
数多くのドラマや映画に出演し経験豊富な大ベテラン。ここで気になる「俳優ではない」という言葉の意図を聞いてみた。
「俳優さんは基礎からずっとやってきている方々がほとんど。そういう方に対して私が俳優と名乗るのは失礼だと思うんです。だから、私は歌手、俳優さんの仲間にちょっと入れてもらい、お邪魔させていただいているという思いが常にあります」
真風の風貌についても聞いてみた。インパクト大の姿をどう感じたのか。
「かっこいいなと思いました。普段とあまり変わらないですから(笑)。髪の色は同じで、ただ長くなっただけ。周りにも違和感がないと言われます。普段からコントなどいろいろやって被り物の機会もある影響でしょうか。真風は衣装やかつら、小道具などスタッフの方の気合いが凄いと思いましたね。明治時代に金髪のロン毛、付けまつ毛でネイルは緑だったり。あり得ない姿。いろんなものを超越した存在。やっていて楽しいです」
語りの初収録は「すごく不安で心配に…」
もう一つの仕事。語りについても聞いてみた。
「一番苦手な分野です(笑)。『語り』という自分がいない所で物語の世界に入って話すという経験がなかったので、新しい分野に挑戦できることはありがたいと思いました。ですが最初のスタジオでの録音後、すごく不安で心配になりました。全くのゼロからでしたから。その後、プロデューサーの方たちに『どんな感じがいいですかね』と聞き、試行錯誤しながらやっと出来上がった感じです。時間がかかりました」
心がけていることは何だろう。
「ゆっくりしゃべることと姿はないけど同じ空間に一緒にいるような雰囲気を漂わすこと。ただ、しゃべるのではなく、子どもに本を読んであげるような感覚を大事にしています。りんと直美を優しく見守るという意識でいます」
見守るという意識が真風と共通している。語りは真風として話しているのか。
「真風は個人に本当に寄り添って会話をします。語りはもっと上からその人の気持ちを視聴者の皆様と一緒に考えたりします。なので、語りと真風は分けています」
語りの難しさも聞いてみた。
「アナウンサーのようにきれいに語ろうと思えば努力してある程度できると思います。でも私ではなくなります。きれいに、ということならプロの方にお願いすればいい話。私に求められているのは違うはず。研ナオコがどこかにいないといけないと思いました。それに自分を消そうと思っても消せないんです(笑)。悲しいかな何回やっても消えません。ただ、それがいいと言われましたので」
語りに年齢とともに積み重ねてきた人生経験、優しさ、チャーミングさがにじみ出る。自分らしさをどう考え、どう出そうと意識しているのだろう。
「それが分からないんです。無意識でやっていますから。きれいに語っても面白くないしプロにもかなわない。打ち合わせをしている時に『そういう感じがいいです』と言われ、そういう感じってどういう感じ? と思いましたけど、自分では分からないから、打ち合わせをしている気分で語りをやっています(笑)。つまり普段の私のまま自分を見失わないように語っています。素の私が出ているかもしれません」
今後もし再び語りの新たなオファーが来たらどうするのだろう。
「どうしましょう。病んでしまうかもしれません(笑)。すごく悩むと思います。もしやるとしても難しいと思いますし、時間もかかると……多分もうないと思います(笑)。だから『風、薫る』の私の語りはとっても貴重ですよ」
デビュー55周年の節目に“朝ドラ”初出演にして初めての語り。最後にこの作品をどう思い、自身にとってどんな作品と感じているのか尋ねた。
「知らないのはもったいないいい作品。明治という時代に女性たちが命とエネルギーを注いで人を助ける物語です。差別や貧富の差もあった時代にどう女性たちが生き抜いてきたのか。若い人に明治時代がどこまで分かってもらえ、どこまで読み取ってもらえるかな、とすごく感じています。世の中はすべてが風。常に風がどこか吹いています。その中の一つが看護。人間の本来、あるべき姿はこういうことですよと表現しています。人を助けることによって自分に返ってくる。人をさげすむことによってさげすまれる。私自身も人としての基本を教えられているような気がします」
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